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~過去と復讐~

4年という長い年月で、俺は剣術を身につけた。少女のように華奢だった細い腕は、たくましくなり、今では誰も俺のことを馬鹿にするやつは、いない。


4年前。俺は遼寧省の小さな村にいた。小さな身体を理由に,村の子どもたちにいじめられ、友達と呼べるやつはいなかった。それに、俺の父親。彼のことを許すことはないだろう。憎しみと、子どもの時に感じた恐怖が今でも溢れる。

酒に溺れ、俺たちのもとに帰らず、女と遊び回っていたあいつが、いつだったか、俺たちの家に戻ってきたことがあった。俺は外からその様子を見ていた。罵声とともに彼は、母親を叩きつけ、殴りまくっていた。狂ったように殴り、止まることはなかった。俺は母を助けることができなかった。そこで見つめることしかできなかった。いつの間にか、その場から立ち去っていた。恐怖に締め付けられた俺の心臓はものすごい波打っていたのを今でも、感覚的に覚えている。そして、夜になって再び家に帰ると、母は真っ赤な血を流していたのだ。母さん、母さん、そう何度も呼びかけたが、母は動くことはなく、冷たかった。死んでしまっていたのだ。父親は、もういなかった。逃げたのだ。声をあげて、泣いた。泣け叫んだ。現実は絶望でしかなかった。それと自分の無力さが死にたいくらいに情けなかった。


それから、村長が俺を引き取ってくれ、そこで俺は必死に勉学だけに励んだ。良い成績をとれば、ここを抜け出せるから。俺を変えることができるたった一つの希望だと、信じていたから。絶望の中にあった希望を逃すわけにはいかなかった。そのため、無事に難関を突破することができたとき、俺は嬉しさよりも安心したのを覚えている。


大学校に来てからも日々剣術に励んでいた。人よりも、何倍も何倍も努力した。そのために、首席で卒業することができた。また、ここに来て大きく変わったことが、あった。それは、良い女と簡単に遊べ、寝ることができることだ。警察部隊の一人と聞けば、女が寄ってくる。それに、俺は充分に男前だと自分でも自負することが、今ではできるのだ。絶えず、女と身体を重ね、寝ていた。


俺は、もう昔の俺では、ない。過去は変えることはできない。もちろん、今でも父親のことは憎んでいる。彼への復讐心を忘れたわけではない。でも、今俺にとっての一番の復讐は自分の過去を見返すことでしかなかった。世間は俺のことを称えてくれる、それに綺麗な女も俺をほっておかない。劣等感は自尊心に変わった。これだけで、充分だ。もう、そのことが俺にとっての大きな復讐なのだから。



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