第四話 幽霊講座 其ノ一
どんどんだしますよ~~~~~。
あれから僕達は空き地の近くにあるコンビニ前にいた。
近くと言っても田舎感覚の近くである。距離にすると大体
二キロメートル位だと思う。
当然ながら現在の時刻は、二時を過ぎている。生まれて初めて
こんな長い夜遊びをした。しかも隣には学校一の美女がいる。
なんなのだろうこの状況は…。
「ねぇ…」と歌穂が話を切り出した。
「ん…?」少し動揺してしまった。
「私達でさぁ…パーティー組まない?あなたのそれ守護霊でしょ?
私の守護霊は霊感が強くても見えないレベルだけど…あなたの
は霊感が強いだけで見えているから相当強いのね」
「かっかっ。この娘、よくわかっとるのう」博氏はうれしそうだ。
「幽霊に詳しんだね」
「それはそうでしょ。霊を成仏させることにおいてこれぐらいの
知識は必要だからね」
「俺、昨日こいつと知り合ったばかりだからあまりしらないんだ。
よかったら教えてくれない?」
「私とペアになってくれたらね」
やけに積極的だ。学校では物静かな女の子なのに…。
「わかった」
「じゃあ、これから毎日ここに集合ね」
「ああ。じゃあ早速教えて欲しいんだけど…」
「どこから?最初から?途中から?完結に?」
「できれば…最初から…」ていうか途中ってなんだーー。
「いいわ。教えてあげる。」
こうして歌穂による説明は二時間くらい続いた。しかし僕にとって
は幸せの時間だった。それにこれから幽霊が出てきても歌穂の
おかげで対処できるのだから。
歌穂が僕にした説明はまだ秘密である。この物語において歌穂の
説明が必要な時だけ言おうと思う。
目が覚めると僕のベットの上だった。
時刻は午後二時。何時に家に帰ってきたのか覚えてはいない。
携帯電話の電話帳を見てみると歌穂のアドレスと電話番号が入っていた。
初めて家族以外の登録だった。
お盆二日目。夜までまだだいぶ時間がある。
何もしないと言うのは、歌穂に怒られそうだったので漫画の主人公みたい
に守護霊と修行でもしようかと思う。しかし、修行といっても何をすれば
いいかわからないので、メールで歌穂に聞きたいのだが、さすがに一日も
たたずメールするのは申し訳ないと思いしなかった。
ここは自分で考えることにしよう。
そうだな…やっぱりここは守護霊との親睦を深めておいた方がいいと思い
博氏を呼ぼうとしたのだが、呼び方さえまだ知らなかった。
昨日はたまたま守護霊交代の日で初めから見えていたが、今は見えていない。
「博氏…」とりあえず名前を呼んでみた。
「なんじゃ…うるさいのう」
あっさり成功した。
「電気の使い方を教えてくれ」僕は土下座して博氏に頼みこんだ。
「いいじゃろ。その代わり儂に対して敬語じゃ。よいの」
「わかった…わかりました。」
「まずは基礎からじゃ。あの時はたまたま儂が電気を出したにすぎん。
儂の電気を使うならば、+エネルギーが必要じゃ。」
+エネルギーとは、喜び、楽しさなどと言ったものから出ている
エネルギーである。
「その+エネルギーを電気に変えて放出するのじゃ」
「なるほど。じゃあ+エネルギーが強いほど威力はあがるのか」
「その通りじゃ。じゃが自爆霊や浮遊霊などはーエネルギーを取り込み
やすく、+エネルギーを取り込みにくいのじゃ。
昨日の霊はまだ弱い方なのじゃ。それに儂がやったしのう。」
ーエネルギーとは、怒り、悲しみ、憎しみといったものから出ているもの
である。それに加えて周囲の物や、害のない霊に吸い込まれやすいので、
悪霊が生まれやすいそうだ。
それにそれらのエネルギーは人間や、動物にも影響するそうだ。
「じゃから、昨日と同じく電気をイメージして楽しい思い出を頭いっぱい
に広げればよいだけじゃ。それだけでよい」
「じゃあ、もう僕には力があるんだな」
「あたりまえじゃ」
「わかった。練習してみるよ」
「まぁ、頑張れ。儂は眠いからもう一度寝るからの。夜にまた起に来い」
「ああ」ていうか守護霊も寝るのか…。
そう言って僕は電気を制御する修行に入ったのだった。
楽しい思い出と言うのは案外、以外なところにあるものである。僕の場合
それはどうなのだろうか…家族との楽しい思い出など記憶を探しても
見つからない。友達もいなかったし、一体全体どうすれば……。
しかし、本当に意外なところにその楽しい思い出はあった。
それは、歌穂という新しい友達ができたことである。
それを頭の中に広げて、僕は右手を前へだす。そして電気のイメージだ。
こんなところを親にみられたら、死んでも死にきれないだろうなぁ。
バチッ!
わずかに少しだけ電気が親指から人差し指へと流れた。
「よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
まだ完全に使いこなせてもないのに自分の口から勝利の雄叫びのような声が
家中に響きわたった。
そして僕は、この後も夜になるまで電気変換の修行を永遠と続けた。
片コル。