表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

2話:初めての接触、未知の温もり

地面の冷たさに体温を奪われ、意識が遠のきかけていたその時。

カサリ、という音がした。

宇宙の星が弾ける音とも、風が唸る音とも違う。規則正しく、柔らかく地面を叩く、命の鼓動のようなリズム。

(なにか……くる……)

それは私のすぐそばで止まった。

吸い、吐き出される、湿り気を帯びた空気の音。

次の瞬間、私の、泥に汚れた頬に「なにか」が触れた。


「……っ!」

びくりと体が跳ねる。

けれど、それは私を傷つける衝撃ではなかった。

羽毛のように軽く、日だまりのように温かい。

その「温もり」が触れた場所から、氷のように冷え切っていた私の内側に、じわりと熱が溶け出していく。

(……やわらかい……)

それは、私の頭をそっと撫でた。

何度も、何度も。

宇宙の孤独にはなかった、自分以外の存在が私を肯定してくれるような、優しい摩擦。

その時、私の耳に届いたのは、高く、低く、波のように揺れる不思議な音色だった。

「……ぁ……ぅ……?」

それが「言葉」だとは、まだ知らない。

けれど、その音が自分を慈しみ、案じていることだけは、震える鼓動を通じて伝わってきた。


抱き上げられた瞬間、ふわりと鼻をくすぐる匂いがあった。

乾いた草のような、お日様をいっぱい浴びた土のような、なぜか懐かしい匂い。

運ばれた先で、私は「ふかふか」とした何かに横たえられた。

重力に抗う必要のない、すべてを預けられる柔らかい場所。

唇に触れたのは、温かな雫。

口に含むと、喉の奥までとろけるような甘い香りが広がり、空っぽだった内側が、幸福な重みで満たされていく。

目を開けることはできない。

けれど、今、私の世界は「暗闇」ではなくなっていた。

頭を撫でる手の温かさと、自分を呼ぶ穏やかな音色。

それだけで、私はこの「重たい体」を持って、この星に落ちてきた意味を知ったような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ