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1話:地面への落下、そして「重さ」との出会い

安穏とした漂流は、唐突に終わった。

何の前触れもなく、不可視の巨大な手が、私の「意識の核」を掴んで引きずり下ろしたのだ。

それは、宇宙の微かな震えとは比較にならない、圧倒的な「力」だった。

(なにかが、私を呼んでいる……?)

抗うすべなどない。私はただの「点」となって、その巨大な引力に向かってまっ逆さまに落ち始めた。


落ちるにつれて、周囲の音が変わった。

「しーん」としていた真空が、次第に「ゴォォォ」という低い唸りに変わり、やがて「バリバリ」と何かが引き裂かれるような轟音へと成長する。

(熱い……!)

熱を知らなかったはずなのに、私はその熱を感じた。

大気という壁に激突し、私の輪郭が、猛烈な摩擦によって焼き尽くされていく。

けれど、不思議と恐怖はなかった。むしろ、溶けていく意識の端々から、何かが新しく形作られていくような、奇妙な疼きを感じていた。

思考だけの存在だった私が、初めて「輪郭」を持つ。

それは、風を切り、熱を受け止めるための「カタチ」。

私の意志とは無関係に、この星の環境に適応しようとする本能が、肉体を編み上げていく。


そして、その瞬間は来た。

――ドォォォォォォン!!

全身を貫く、凄まじい衝撃。

意識がパチンと弾け飛ぶかと思った。

けれど、違った。

衝撃が去ったあと、私を包んだのは、未だかつて経験したことのない感覚だった。

(……動け、ない?)

宇宙では、思えばどこへでも行けた。上も下もなく、ただ漂っていればよかった。

けれど今は、何かが私を地面に縫い付け、一寸の身動きも許さない。

それは、自分の「肉体」が持つ質量。そして、それを地球が引き寄せる力。

「……これが、……おもさ……?」

私は、湿った、冷たい何かの上に横たわっていた。

痛みに痺れる体と、地球の重力。

その圧迫感こそが、私が実体を持ったことの、何よりの証明だった。

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