6日目
5日目:
何日も土の魔窟に潜り続けていた。同じ通路をぐるぐると回り、灯りに照らされる岩肌を睨みながら、宝箱をこじ開け、下級鉱石を探す日々だった。迷宮の奥深くへ進むこともなく、ただ浅い階層で同じ作業を繰り返す。戦いと呼ぶにはあまりに退屈で、だが骨身に染みるように疲れる作業だった。
ようやく今日、二人分の鉱石を揃えることができた。数を数え、袋の重みを確かめたとき、心の中でほっとする一方で、残りの数を思い浮かべては途方に暮れた。四百五十個という数字に比べれば、まだほんの小さな一歩に過ぎない。だが、それでも一歩は一歩だ。俺は鍛冶屋に足を運び、強化の依頼を出してきた。二日ほどで仕上がるという。しばらくは装備の完成を待つ時間となる。
久しぶりに宿の寝台に横たわる。魔窟の冷たい石床や粗末な野営の毛布ではなく、柔らかな布団と乾いた毛布に身を沈めることができた。ほんのそれだけのことなのに、身体がほどけていくような感覚を覚えた。干し肉ばかりの食事からも解放され、宿の厨房で用意された温かな肉のスープを口にした。脂の浮いた香りと、舌に広がる塩気。胃の奥から熱が広がり、久しく忘れていた「人心地」が戻ってきた。仲間たちも無言でそれを啜り、皆同じように疲れと安堵を噛みしめていた。
身体を休められるのはありがたい。だが、心の奥には不安が居座り続けている。鉱石はなかなか取れない。どれほど潜っても、手に入るのは一度にわずか。必要な数を思えば、今の進みはあまりにも遅い。これでは全員分の装備が整うまでに、どれほどの時間がかかるのか。仲間の士気も、やがては摩耗してしまうだろう。
それでも、俺は諦めるわけにはいかない。仮面の内側で自らに言い聞かせる。あの全滅を繰り返さぬために、俺たちは一歩ずつ進むしかないのだ。例えそれが泥に足を取られ、途方もなく遠回りに見えようとも。
今日は休養の日とする。明日からまた、暗い土の魔窟へ足を運ぶために。