5日目
仲間が全員戻ってきた。昨夜はひとときの安堵に浸ったが、今朝になってから、また重苦しい思考が頭を離れなくなった。なぜ俺たちは全滅したのか。その理由を考えていた。戦い方を誤ったのか。退くべき時に退けなかったのか。いや、もっと根本の問題かもしれない。装備が足りないのか、それとも経験が足りないのか。どちらだ。どちらであったにせよ、敗北は敗北だ。
だが、経験を一夜にして積むことはできない。ならば、まずは装備を充実させるしかない。防具も武器も、誰もが古びたものを使い続けていた。刃は欠け、鎧の継ぎ目は緩み、盾は薄い。これでは魔窟の奥に進むほどに、身を守る術を失っていくのも当然だ。あの試験の場で俺たちが崩れ落ちたのも、力そのものが不足していたからだろう。だから、今は装備をすべて揃えると決めた。
問題は資金だ。借金で蘇生費用を賄ったばかりで、財布は空に近い。だからしばらくは鉱石を獲りに行くしかない。金を稼ぐには手っ取り早く、そして確実な道だ。土の魔窟に通うことになる。何度も、何度もだ。
計算してみた。六人分、一人につき一部位を新調するのに十五個の鉱石が要る。部位は五つ。つまり一人七十五個。六人分で四百五十個。頭の中で数字を弾くたび、溜息が漏れる。土の魔窟で、一度の探索で得られる鉱石はせいぜい五個程度。四百五十個を集めるには、いったい何度潜ればいいのか。気が遠くなる。
だが、仕方ない。仲間を守るには必要なことだ。借金を重ねて装備を買うわけにはいかない。俺たちの手で血と汗を流し、少しずつ積み上げるしかないのだ。仮面の奥で歯を食いしばる。数字が示す現実の重さが、胸にのしかかる。だが背を向ければ、また全滅が待っているだけだ。
今度こそ、俺は導かなければならない。失敗を繰り返せば、仲間を再び死なせてしまう。土の魔窟の暗がりに通い詰めることが、贖罪の一歩であり、未来への礎だと信じたい。