3日目
昼を過ぎたころ、ようやく四人目が寺院から戻ってきた。魔術師の彼女だ。以前の彼女は皮肉を交えた言葉で場を和ませ、明るさと冷静さを併せ持つ存在だった。だが今日の彼女は、血の気を失った青ざめた顔で、まるで魂の一部を置き忘れてきたかのように弱々しかった。それでも、自らの足でしっかりと歩き、寺院の門を出てきたのだ。私はその姿に、一瞬だけ安堵した。しかし次の瞬間、彼女は糸が切れた人形のように崩れ落ち、気を失った。私は彼女を背に担ぎ、宿まで運んだ。その体は以前よりも軽く、頼りなく、まるでこの世とあの世の狭間にまだ揺れているかのようで恐ろしかった。
宿に戻ると、僧侶に彼女を託した。私にできることはそこで尽きる。彼女が意識を取り戻すまで、私はただ待つしかない。祈る言葉を持たぬ私は、仮面の奥で歯を食いしばり、胸の痛みに耐えるばかりだ。仲間が一人また一人と帰ってくるたび、喜びよりも不安と痛みが増していく。全員が揃えば心は晴れるのだろうか。いや、もしかすると、この胸を締めつける影は二度と消えないのではないか。そんな考えが頭から離れない。
私は今も宿屋に連泊している。全員が戻るまで、ここを離れる気にはなれない。石造りの壁に囲まれた狭い部屋で、寺院と宿を往復するだけの生活。夜になって灯りを落としても、暗闇は安らぎを与えず、むしろ罪悪感を浮かび上がらせるばかりだ。
残りの二つのパーティが稼ぎを支えてくれている。彼らは迷宮に赴き、依頼をこなし、報酬を持ち帰ってくる。私は感謝している。だがその感謝の言葉は薄く、胸の奥では恥と劣等感が渦を巻いている。彼らに依存している自分を自覚するたび、私はますます小さく、弱くなっていく。
今日、私は仲間を集め、訓示を行った。今回の失敗への謝罪と、今後の指揮に対する改善の誓いを語った。クランの代表として口にするべき言葉だと思ったからだ。仮面の奥で震える声を押さえ込み、冷静を装って言葉を並べた。誰がどのように受け取ったかは分からない。信じてもらえたのか、それともまた仮面に遮られてしまったのか。
それでも、言葉にしたことでわずかに肩の重みが軽くなったように感じた。罪は消えない。失敗は消えない。それでも私はまだ立っている。だから語らねばならない。謝罪し、誓い、そしてまた歩みを続けるしかないのだ。