2日目
三人目が寺院から戻ってきた。女戦士の彼女だ。血の気の失せた頬に冷や汗がにじみ、ひどく疲れているように見えた。蘇生の影響だろう。彼女は目を開いたものの、しばらくは虚ろに天井を見つめ、やがて小さく「頭が痛む」と言った。声はかすれていて、かろうじて聞き取れる程度だった。それでも、戻ってきてくれた。まだこちらの世界に留まってくれた。それだけで、私は安堵の息をついた。
寺院では、今日もお布施を払った。ひとりにつき五七八〇ゴールド。冷たい銀貨の重みが手の中から消えていくとき、心臓の奥に小さな痛みが走る。だが、その痛みなど、仲間の命に比べれば取るに足らない。私は支払った。命を買い戻すような感覚で。
もっとも、すでに二万ゴールドをギルドに借りている。この上さらに三人分――あと一万七千あまりを借りなければならない。数字を思い浮かべるたび、胃の奥が重く沈む。借金という鎖が、日ごとに強く足を絡め取っていくのを感じる。それでも、仲間を取り戻すためならば仕方がない。金はまた稼げばいい。だが命は、一度失えば戻らない。蘇生の奇跡が必ずしも叶うわけではないことを思えば、なおさらだ。
迎えに行ったとき、呼ばれるまで三刻を待った。石造りの壁の間に並ぶ木の椅子は固く、長く座っていると腰に鈍い痛みが走る。だが苦痛とは思わなかった。待つことは、彼らの苦しみに比べれば些細だ。あの冷たい石の床で横たわり、祈りの声に身を晒し、魂が揺れ動く仲間の痛みを思えば、私の待つ時間など塵に等しい。むしろ、待つことで彼らを迎える準備ができるのなら、喜んで椅子に座り続ける。
だが、彼女の虚ろな目を見ていると、どうしても不安がよぎる。あれほど強靭だった女戦士が、まるで骨から力を抜かれたように項垂れている。戻ってきた彼女は、果たして以前の彼女と同じなのか。それとも、何かを失ったままの姿なのか。蘇生とは本当に「生を取り戻す」ことなのか、あるいは「死を先延ばしにする」ことに過ぎないのか――。そんな問いが胸をかすめる。
仮面の下で私は苦笑した。疑問を抱いても、選択肢は他にない。私は祈るしかないのだ。次の仲間も、無事に帰ってくるように。借金に押し潰されようと、信頼を失おうと、仲間を揃えなければ、私には進む道がない。
今日もまた、薄暗い部屋で灯りを落とし、紙にこの言葉を刻む。明日も、迎えに行く。仮面の内側に刻まれた罪の影は消えずとも、私は待ち続けるだろう。