ガッツ
不合格の通知を手にした日の夜、美桜は机に突っ伏した。
悔しさと情けなさで涙が止まらない。
「諦めない。絶対に、誰かを救える人になるんだ」
心の芯の近くで小さかった囁きが……どんどん叫びに変わる……
翌朝、目を覚ますと、美桜はパソコンの前に座っていた。
画面には「消防・レスキュー隊 採用試験 合格のために必要なこと」という検索結果が並ぶ。
体力テストの基準
救急知識の筆記問題
災害現場での心理適性
チームワークやコミュニケーション能力
一つずつチェックリストに書き出す。
美桜の手は震えていたけれど、指先は確実に文字を刻んでいく。
「体力……足りない。持久力も、腕力も。
知識……覚えなきゃ。手順や応急処置。
心……怖くても、現場で動ける強さ。
仲間と協力する力……私はいつも逃げてきた……」
膝を抱えて机に突っ伏す日もあった。
でも、美桜は目を閉じて思い出す——
瓦礫の下で、絶望の中で助けてくれたあの人の顔を。
「あの日、あの人は迷わず手を伸ばした……。私も、必ず!」
体力作りは毎日のランニングから始まった。
腕立て伏せ、懸垂、ロープ登り。
疲れても、夜空を見上げて、胸に火を灯す。
参考書を開き、救急法や災害対応の知識を徹底的に暗記。
模擬試験では間違えて泣きそうになるけれど、必ずやり直す。
誰も褒めてくれない。
けれど、美桜は自分の胸に問いかける——
「私は、本当にこの手で誰かを救いたいんだよね?」
答えは、いつも静かに、でも確かに「うん」だった。
瓦礫の下で震えたあの恐怖は、もう二度と取り戻したくない。
だから、美桜はひたすら前に進む——。




