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潜水艦☆(640文字)

ちょっとだけ汚いお話ですので、ごはん中あるいは前の方はご遠慮ください

 長くて苦しい戦いがどうやら済んだようなので立ち上がり、戦闘結果を和式便器の中に確かめようとして、それを見たあたしはびっくりした!


『……ほんとうに、これは、あたしの中から出たものなのか……?』


 薄く水の張られた和式便器の中に、潜水艦が鎮座していた。


 それは黒光りのする船体にあたしの体液や血液を纏い、胸を張るように少しだけ船首を上に向け、これからどこかへ攻め入ろうとするような勇ましさで便器の水に船底を浸している。


 あたしは迷った。


 これを流してもいいものだろうか?


 これはもしかして何者かの陰謀なのではないだろうか?


 水を流した途端、この潜水艦は発進し、地下を進んでどこへ行くつもりなのだろう? 何をしようとするのだろう?


 それより何より流すのがもったいなかった。


 こんな立派な潜水艦を流してしまうなんて、人生で一度きりのチャンスをふいにしてしまうようなものだ。


 しかし写真に撮って保存するわけにもいかず、私は決意するしかなかった。


 あたしは潜水艦に言い聞かせた。


 あなたはこの世でもっともいらないものなの。


 何が何でも人目に触れないところに隠して、あなたは存在しないってことにしとかなきゃいけないの。


 ごめんね、潜水艦──


 さようなら、潜水艦──


 あたしが青いボタンを押すと、それはゆっくりと前へ進みはじめる。


 これが地下世界で暗躍し、どこかの国に厄災をもたらそうと、あたしには関係ない。


「発進!」


 あたしの命令に従うように、潜水艦は出口の穴に向かい、その巨体を潜らせていった。ズゴゴゴゴゴ! という轟音とともに──





さようなら──


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― 新着の感想 ―
面白い! 一言です。(>▽<) 筒井康隆のニオイがします。 いや、決して決して、筒井センセーが◯◯◯だなんて言ってるわけではないです!
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