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ねこリブ!☆(連載)

ジョン・カーペンター『ゼイリブ』のパロディー

 もう、10日ぐらい、外に出てない。


 あたしニートじゃないんだけど、正社員なんだけど。でも会社が「しばらく来なくていいよ」っていうから、お言葉に甘えて部屋でゲームばっかりしてる。


 あぁ……


 楽しいな。


 こんな日がずっと続けばいいのに。


 そんなことを思いながら、コタツで寝転びながらゲームをやっていると、呼び鈴が鳴った。チリンチリンと、ほんとうに鈴の音で鳴った。



「鈴川さん」


 ドアを開けると同僚の柴野くんが立っていて、あたしの名前を呼んだ。


「ど……、どうしたの、柴野くん? あたしのアパートの部屋を知ってるなんて──」


「ずっと暇を出されてるけど、それでいいの?」

 叱責するような口調だ。

「このままじゃ鈴川さん、成り行きでクビにされちゃうよ?」


 なんでただの会社の同僚にこんなこと言われなきゃいけないんだろう?


 あたしは彼を部屋の中に入れることもせず、ピシャリとドアを閉めた。もちろん散らかりまくった部屋を見せたくなかったからだ。


 柴野くんは「きゅん、きゅん……」と、犬らしく寂しそうな声を廊下に響かせると、大人しく帰っていった。




 とかく犬の世は生きにくい。


 知に働けば角が立つし、情に棹させば流される。あ、もちろんこれは夏目漱石犬のパクりだけどね!



 あたしは犬として出来損ないだ。


 あたし──鈴川タマは、とても犬らしくない。


 もしかしたら別の生き物なんじゃないか? って思うほどだ。




 ほんとうに自分が犬じゃないなんて、この時はまだ思いもしてなかったけど。




              (続く)



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