幸せ
「まこ、俺さ」
「うん」
「凛には、幸せでいて欲しいんだ!これは、出会った時から何も変わってない」
「うん」
「だから、凛が浮気相手といて幸せなら、それでいいかもな」
「せやな!多分、苦しかったんやと思うで!ほら、龍もなかったか?義務みたいで嫌やった時」
「あったよ」
俺は、まこにそう言ってから砂肝を食べる。
「せやろ!龍は、自分に理由ないからわからんのやない?俺は、運動率やら何やらゆわれてたから!凛ちゃんの気持ちわかるわー。それに、まいかて排卵障害もっとったから!凛ちゃんみたいに治療やめなアカンかったら普通やおられんかったやろなー」
まこは、思い出して泣いていた。
「俺等は、続けれたから深雪を授かれたけど…。凛ちゃんは、もうその手段もないんやなーって思ったら泣けるわ!何て言うんかな?行きたい場所決まってんのに、金ないみたいな感じやな」
「まこ、それ本当にあってるか?それ言うなら、間に合ったと思った電車が目の前で閉まる感じじゃないか?」
「あー、何かそれ!ごっつい悲しいなー」
まこは、そう言ってポケットからハンカチを取り出して涙を拭いてる。
「妊活って、永遠に終わりがないって聞くよな」
「確かにな!一人出来たら、この子に姉弟おったらとか思うからなー。現に、俺とまいも思ったけど…。病院の先生に、高齢出産のリスクとか聞いてやめたからなー」
「そうだよな!女性はタイムリミットまであるんだよな」
「命がけやからな!深雪時に、まい死にかけてるから!俺は、もうせんでええってゆうたわ!まいが死んで、赤ちゃんだけ残られてもなって思ってもうたんや!龍は、どうやねん!40歳で、凛ちゃんが奇跡的に産めたとして、凛ちゃんは死んでしもたら?龍は、それでも凛ちゃんに子供産んでくれって言えるか?」
まこからの考えもしなかった言葉に、俺は内心驚いていた。凛と赤ちゃん、答えなんてすぐに出た。
「もしも、凛ちゃんを龍が選ぶんやったら!龍と凛ちゃんに子供はいらんよ」
そう言って、まこはねぎまを食べてる。
「俺は、凛を選ぶよ」
まこは、俺の言葉にニコニコ笑った。
「その方がええで!俺も、深雪が産まれたんは嬉しかったんやけどな!俺への扱いは雑いし、よう喧嘩するようなったわ!治療してた時よりもっとやで!何や、やり方が気に入らんとか抱き方が気に入らんとかな!赤ちゃんが出来たら幸せで溢れるって思っとったんやけどな!それは、それで何か違うかったわ」
「贅沢な事ゆうなよ」
俺は、まこに笑ってからビールを飲み干した。手に出来た方と手に出来なかった方か…。女性同士なら、辛くて悲しいだろうな。俺は、男だからまだ少しはマシだけどな!




