決着
ーー魔力が少ない分、持ち前の体力で補うしかない!
そう判断した私がとった行動は…
まず魔法でゴルフボールくらいの水の玉を沢山作り出し、先程のユリウスの攻撃で破壊された石壁から、野球バッドくらいの丁度いい長さの石の塊を拾う。そう、前世でいう野球である。…球は小さいがナズナの魔力ではこの位の大きさまでしか作れないから仕方がない。
(本来は攻撃するためのスポーツじゃないんだけど、遠距離からの攻撃をするとなると、これが1番やりやすい!打った球にすこし風の魔力を上乗せすれば豪速球でユリウスまで届くはず…!)
不思議そうにこちらを見ているユリウス。再び攻撃を放とうと腕を持ち上げた瞬間、
「っよいしょーー!」
変な掛け声と共に打たれる水の塊。普通に飛ばせばなんてことないただの水滴だろうが、如何せん体力が人の何倍も優れているナズナが攻撃の隙も与えないほどに幾つもの球を何度も何度もユリウスまで打ち込んでくるのである。
「なんだ、この速さは?」
少しの魔法で風力を上乗せしている分、更に球は早く飛び、さながら傍から見ていると一種の弾丸のようであった。
その珍妙な攻撃にユリウスが少し退いたその瞬間。
「うらぁ、捕まえたあ!!!」
なんとナズナは、先程まで十数メートル離れていた場所から瞬時にユリウスの元まで走り寄り、ユリウスの小さな体を掴んだのだった。そしてバトル終了のマークである蛍光色のシールをユリウスの体に貼るナズナ。
「…なに、!?」
これにはさすがのユリウスも驚いた様子。もちろん生徒も、先生達も。こんなおかしな戦い方見たこともないし、まさかそれで勝つとも思わなかったからだ。
(ま、まさか前世の野球が役に立つとは…!野球っていうよりただのバッティングだったけど!!)
ナズナ自身が1番驚いているが、とにかく第1試合はナズナの勝利で終わったのだ。
ーそしてそのとき会場には、半分放心状態でステージに立ち尽くしているナズナを見ている2人の人物がいた。