体力育成大会 1
キーンコーンカーンコーン…
授業終了のチャイムが鳴り、ようやく魔法属性の確認の時間が終了した。チラホラ私のことを横目に見ながら、小声で何か話している生徒も何人かいるが、なんとなく予想していたことだったため特に動揺はしていない。
「ナズナちゃん、すごいねぇ、魔力あんまり無いのにこんなすごい学校に受かっちゃったんだぁ。元々才能あるんじゃないかなぁ?」
後ろでエマがのんびりとした口調で褒めてくれる。や、優しい…!
「いやいや、たまたま運がよかっただけだよ。体力だけは自信があるから、今回の試験との相性がよかったかんじ。」
正直に話すが、エマは「ええ~何それ、魔力使わないで試験受けたってこと?その方がすごいよ~」と相変わらずのほほんと笑っている。これはたぶん本気にされてないんだろうな。そんなことを考えていると、ある男子生徒からも声を掛けられた。
「ねえキミ、さっきのびっくりしたよ!あんな事ってあるんだな!いや、バカにしてるとかじゃなくて純粋に驚いたんだ」
視線を上げるとそこには、先程無理やり先生に統括委員に決められていた男子生徒がいた。爽やかで快活で、笑顔が優しそうな男の子、という印象を受ける。目鼻立ちがくっきりしているため恐らく女子受けも良さそうだ。
「俺はアラン・セドニックっていうんだ。気軽にアランって読んでほしい。ナズナ、キミはなんというか、不思議な印象を受けるね。とりあえずこれから仲良くして欲しい!」
明るく挨拶をした後、爽やかな笑顔を残してアランは他の男子グループの輪の中に去っていった。何だったんだ…
ガヤガヤしていた休み時間も終わり、再び先生が教室に戻ってきた。そしてまた突然、「今度は体力育成大会について決めるぞー。2週間後に大会やるからなー。」と面倒臭そうに言い放った。
(た、体力育成大会…?つまり、体育祭みたいなものか!?)
この世界も、なんとなく元の世界と似たようなイベント事があるらしい。先生の話をざっとまとめるとこうだ。様々な種目を魔力を応用しながら突破していき点数を競うらしい。この学校は学年1クラスしかないためクラス内での競走になるらしく、その結果によって成績にも加点されるのだとか。
(これ、私圧倒的に不利じゃない…?魔力の応用も何も、魔力自体がそもそもミジンコくらいしかないんだから…私の成績終わったな)
このクラスの誰もが内心思っただろう。私より下はいないと。