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第2話 現状把握その②

誤字脱字や物語の矛盾点などありましたらご指摘いただけるとありがたいです。



「食パンが20pだと!!!」


 食パンのあまりの高さに思わず声が出てしまった、正直家の物をあらかた交換すればかなりの間生きることはできるが、それも限りがあるし、中には我が家の家宝などもあり、俺の独断で交換するのもためらわれる。


 さらに問題なのは、世界的にこの価格設定だと早い段階で食料を求めて人と人で争いが起こることは想像に難くない。


 やはり早急にpを稼ぐ方法を見つけるか食料を手に入れる方法を見つける必要がある。両親はおそらく会社の人たちなどをまとめるだけで精一杯だろう。あの人たちはそもそものスペックが高いので心配はしていないが、まずはこの屋敷の人達を守ることに専念するしかない。


 「みんな、いったん状況を整理しよう。思ったよりも厳しいようだ」


 そう言ってみんなと意見交換をすることとなった。


 「このステータスボードについてわかったことを共有しよう。とりあえず最初の画面のステータスや職業についてはまだわからないことが多いが、SPとその他のSPショップについてわかったことがある。

 まずSPは新しい通貨の代わりになるもののようだ。SPショップで所有物をpに変換したところ、とりあえずお金が一年間だけ100円で1pに変換することができることがわかった。

 そのうえで購入するためには食パンで20pも必要だ。つまり食料を手に入れることはできるが、最低でも食パンが2000円すると考えると、いくらこの屋敷に資産があるとしてもここにいるみんなを養うには何とかしてpを稼ぐか食料を手に入れる方法が必要不可欠だと思う。」


 「坊ちゃん、この短時間でそこまで現状を把握できるなんて、さすが黒神家次期党首。爺は誇らしいですぞ」


 「確かに、坊ちゃんに言われるまで、俺なんかは何が何やらちんぷんかんぷんでしたぜ」


 「坊ちゃまの成長がまじかに見れて、私は嬉しゅうございます」


 俺の発言を持ち上げてくれたのは、爺、警備員のケビン、家政婦長の鈴木さんだ。みんな俺が鼻たれ小僧の時からこの屋敷で働いているからかいつまでたっても子ども扱いだが、爺と鈴木さんに関しては父さんも同じようなものだから何も言えない。

 

 なんだかむずがゆく、緊張の糸が切れかかったが気を引き締めなおして話を続ける。


「まだステータスボードについて把握しきれていないが、とりあえず食糧問題だけでも把握しておきたい。鈴木さん、この屋敷の食料はどのくらい持つ?」


「そうですね、普通に食事して3日、切り詰めたとしても食材が傷んでしまうのでもって一週間といったところですかね。あと備蓄用の非常食がございますので、それも含めて二週間といったところです。」


「なるほど、最大で二週間。とりあえず二週間で自給自足は現実的ではないから、まずはpを稼ぐ方法を見つける必要があるな。これが最優先事項だ。食料はとりあえずは最低限の消費にとどめてくれ。最悪この屋敷の物をpに交換していけばかなりの間はしのげると思うから、当面は大丈夫だな」


 そう言うとみんなかなり安心した様子だ。先のことはわからないが、安心材料があるということはいいことだ。


「それと俺はまだ確認してないんだが、その他のサービスについて見た人はいるか?」


「それでしたら私が確認しました。」


 そう言ってくれたのは家政婦の南さんだ。南さんは下の名前を真紀という。夫の慎太郎さんは屋敷の料理長として一緒に住み込みで働いており、小学4年生になる娘の真美ちゃんと一緒にこの屋敷に住んでいる。


「サービスの中には、フレンド、ギルド、SP授受、質問の欄があり、質問を開くとこのステータスボードの使い方を聞くことができるようです。そこで、私はフレンドとギルド、SP授受について質問しました。

 フレンドは直接会ったことがある人に対してフレンド申請をして認証されると、pを消費して通話やメールなどを送ることが可能になるようです。

 ギルドは、ギルドと呼ばれるものに参加、もしくは立ち上げてギルド内でグループチャットなどができるようになるフレンドの拡大版みたいなもので、その中で遠隔で依頼を出したりするのが主な使い道のようです。最後に、SP授受はその名の通り二者間でお互いの納得の上でSPの授受ができるようでした。」


「なるほど、連絡手段があるのは大きいな。先ほどからケータイの電波がつながらず、Wi-Fiもダメになっていたからどうしようかと思っていたんだ」


 そう言って早速サービスを開いてフレンドを開いてみたのだが、ここにいる人にしかフレンド申請が送れない。あくまでもこの世界になってから会ったことのある人じゃないといけないということか。とりあえず全員に申請を送ってフレンド登録が完了した。


「ちょっと試しに使ってみるぞ」


 そういって爺にフレンドチャットを送ろうとしたのだが、フレンドチャットだと送れる文字数をpで購入しなければいけなく、100文字1pだった、今度は通話も試してみたのだが通話の場合1秒当たり1pとかなりの高額なのでめったなことでは使えないことがわかった。


「便利な機能だが、これもかなりのpを消費するな。やはりこの世界で生きていくにはpの稼ぎ方を探すしかないな……」


 何をやっても堂々巡り、結局のところpを稼ぐ方法を見つけるしか生き残るすべはなさそうだ。漫画や小説だと、現れた魔物を倒してpに変換するのが王道だと思うが、実際問題魔物と戦って生き残ることができるのだろうか。少なくともこの中の人は半分以上非戦闘員だから、その方法だとしても簡単ではないだろうし、まず魔物とやらがどこにいるのかも皆目見当がつかない。


 とりあえず問題点がいろいろ見つかったが、戦闘を行うにしてもやはりステータスの存在を無視することはできない。


「よしみんな、とりあえずこのままステータスについて話し合っていこう。正直漫画とかでの知識はあるけどその知識がどこまで通用するかわからないし、みんなで意見を出し合っていこう。しかしステータスボードが他人にも見せることができたら話し合いがスムーズなんだけどな」


「それでしたら先ほど質問したところ、フレンド間なら任意の上で見せることが可能のようです。」


「南さんありがとう。そうしたらおそらくこのステータスボードの情報は今後かなり重要な個人情報になっていくと思う。だから強制はしないけどみんなで見せ合って話し合いを進めていきたい。いいかな?」


 そういうと一人残らず承認してくれて、みんなのステータスボードを共有しながら、理解していくことにした。


 そこでまず分かったのが、ステータスボードの表記の仕方は人によって異なるということだ。ケビンは母国語の英語で書かれているし、人によっては攻撃力が筋力と表記されていたりといった具合だ。要するにこの名前はその人個人の解釈であって、攻撃力=筋力というわけではなく、与えられた数値をわかりやすい言葉で表記しているだけのようだ。


 だからといって何というわけではないが、こういう細かいところが気になってしまうのは癖なのだろう。


 また、それぞれのステータスの値は当たり前だが一人一人異なり、攻撃力はケビンが最大で12、耐久力も最大はケビンの11、速度の最大は俺の11、知力の最大は爺の13だった。もちろん男性より女性のほうが攻撃力は低く、一番低いのはまだ9歳の真美ちゃんの3だった。


 耐久力は意外にも女性陣のほうが平均的に高く、ケビンは筋肉量が大きいからか高いようだ。出産の痛みに男だと耐えられないという話はよく聞くが、なるほどなと思った。速度や、知力に男女差はあまりないようだ。


 また、選択可能ジョブはみんな異なっていた。もちろん同じ職業の人もいたが基本的に異なっており、その人の潜在的な資質などから選ばれているのだろう。


 なぜなら、警備員の人の中に戦闘系のジョブを持っておらず、鍛冶師などの職人系のジョブしか選択できない人や、人を殴ったことのないような家政婦の人の中に戦士などの戦闘系ジョブを選択可能な人がいたからだ。


 また、俺ともう一人を除いてみんな複数のジョブの中から選択可能なのにもかかわらず、俺が選べるのは死神という物騒なジョブのみ。俺は潜在的な資質として殺す才能があるということなのだろうか?


 基本的に何でもそつなくこなせるタイプであったが、何かの才能に秀でていると感じたことはなかった。いつも優秀ではあったが上には上がいるといった具合だ。


 人によってはなんでも優秀にこなせているというだけで十分、という意見もあるだろう。もちろん俺もそう思っていたし、何不自由なく暮らせていたので不満を持ったことはなかった。しかし、これには黒神家という特殊な家の事情が問題なんだ。


 黒神家は特殊な家柄で、昔から日本を支えてきた名家の一つなのだが、ある伝説が存在する。それはもはや呪いといっても過言ではないかもしれない。


 その呪いとは、党首の子供たちは必ず何かしらの天賦の才能を持って生まれてくるということだ。そしてそれは長子(長男もしくは長女)の子供たちにも遺伝していく。そうやって代々長子が家を継ぎ、脈々と血を繋げてきたのが黒神家という家だ。


 もちろん父さんと何人かの叔父、叔母も何らかの天才たちだった。父さんは人の心を読む天才だ。あの人の前では何もかもが見透かされてしまう。こんな感じに、何らかの分野で天才としか言えないような才能の持ち主たちの中で、優秀だがそこまでと言われていた俺の才能が、殺しの才能ということなのか?


 もちろん小さな虫以外は殺したこともないし、そんな才能、あったところで使う場面などないはずだった。しかし状況が変わった。もしその才能があるのだとしたら、その才能を使ってみんなを守る必要があるのだ。


 とにかく、みんなを守るためにもこのステータスとジョブの理解を進めなくてはいけない。また、ジョブレベルや必要経験値などから考えて、経験を積んでレベルを上げるとステータスが強化されたり、もしかしたらスキルを手に入れたりすることも可能かもしれない。

 

 黒神家の呪いともいうべき才能についてはいったん置いておいて、まずはステータス、ジョブについて話し合いを始めることにする。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 本文は適度に空白段があるから読みやすいけど、 長い会話は「」の中の文章が繋がってて読み難く感じました。 「」の中は適度に改行しても良いと思いました。
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