第15話 長い一日のおわり
誤字脱字や物語の矛盾点など、ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。
あれから何分たっただろう。もしかしたらそれほどたってはいないのかもしれないが無言の時間も終わりを告げる。
「坊ちゃん、何とか生き延びましたね…」
ケビンの言葉に、この世界がいかに厳しいのかつくづく思い知らされる。
「確かに、初日からこんなんじゃ命がいくつあっても足りないよ…」
戦いが終わったばっかだからか、俺たちの言葉にはどこか覇気がない。でも生き残ったのは事実だ。その事実を噛みしめながらも次の戦いで勝つためにも、皆を守るためにももっと強くなる必要がある。
強くなるためには、こんな世界になってしまったが、その代わりに得たスキルやレベルといったステータスの強化が必要だ。敵もそれだけ強力だが、これらのおかげで敵にも歯向かうことができるのだから。
「そろそろ戻るか、まだ見回りの途中だったしね。その前に今回の戦闘でレベルが上がったのか見てみよう」
そういって俺とケビンで一緒にステータスボードを開いて確認した。その結果がこうだ。
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名前:黒神 色人
種族:人族
職業:死神
ジョブレベル:0
必要経験値:77/100
【ステータス】
|M P:10+(10×0.9×0)+(10×0.1×1)|=9/11
|攻撃力:8+(8×1.2×0)+(8×0.4×1) |=11
|耐久力:8+(8×0.5×0)+(8×0×1) |=8
|速 度:11+(11×1.2×0)+(11×0.4×1)|=15
|知 力:10+(10×0.8×0)+(10×0.1×1)|=11
【所持スキル】
暗殺術 レベル 1 【属性付与(毒)】
鑑定 レベル 1 【物品鑑定 1MP】
【所持SP】
1,017,707P
【装備品】
死神の短剣 レベル 1
【その他】
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名前:ケビン・マイケル・フォースター
種族:人族
職業:戦鬼
ジョブレベル:0
必要経験値:98/100
【ステータス】
|M P:7+(7×0.5×0) |=2/7
|攻撃力:12+(12×1.1×0)+(12×1)|=24
|耐久力:11+(11×1.1×0) |=11
|速 度:9+(9×0.8×0) |=9
|知 力:8+(8×0.2×0) |=10
【所持スキル】
怪力 レベル 1 【爆裂拳 5MP】
【所持SP】
40P
【装備品】
なし
【その他】
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とこんな感じだった。俺とケビンは固有職なので必要経験値が大きいが、それでもかなり経験値をためることができてきたな。ケビンに至ってはあと少しでレベルが上がる。
ケビンのステータスが加算されると、その加算幅は大きいのでかなりの戦力アップだ。
しかしいつまでもここにいるわけにはいかないし、早く屋敷に戻りたかったのでこの怪物を換金し、先ほど倒したゴブリンたちもしっかりと回収しながら、帰宅するとする。
魔物討伐のボーナスポイントをもらいつつ、先ほどの強敵の死体を鑑定してみる。
「【物品鑑定】」
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ホブゴブリンの死体:ゴブリンの上位種ホブゴブリンの死体。ゴブリンの上位種の中では平均的に身体能力が上がっているタイプで、バランス型。群れ型の魔物は上位種が下位の魔物を統率することが出きるため、ゴブリンたちを従えることもある。その配下の個数はそのものの実力による。
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鑑定によると、こいつの名前はホブゴブリンというらしい、さらに鑑定によるとゴブリンの上位種には種類があり、その中でもバランス型の物の様だ。
今この情報がどこまで使えるかわからないが、今後他の上位種とも戦うこともあるだろう。
また気になる文言は群れ型の魔物というところだ、魔物には群れるタイプとそうで無いものがいるらしく、群れるということはこの近くにまだまだいる可能性があるということだ。
この情報をケビンと共有したところ、露骨にいやそうな顔をして。
「さすがに今日はもう戦いたくありませんな、早いとこ切り上げて帰りましょうや」
というので、それもそうだなと思い。
「確かに、今日は疲れたな…。帰ろう」
と二人で帰路についた。
その後はほかの魔物とも会うことはなく、屋敷に無事戻れた。通る途中に破られた塀も確認したが、しっかりと応急処置されていたので、おそらく大丈夫だろう。
「大丈夫ですか!?」
屋敷に戻るなり、俺とケビンの服がボロボロなのに気が付いた屋敷のみんなを心配させてしまった。
「なんとかな、ちょっと危なかったけど、これで今日のところは大丈夫だと思う。」
「悪いな五十嵐さん、坊ちゃんを守るって約束したのに、逆に守られちまったぜ。」
俺たちがそういうと、爺や鈴木さんはとても心配そうな表情を一瞬浮かべたが、すぐに俺たちが疲れ切っていることを察して爺が。
「かしこまりました、詳しい話は明日伺います。今日のところはもうお休みになられた方がいいでしょう」
といってくれたのでそれに甘えることとする。
「助かるよ、俺はもう寝るとする。その前に南さん、ケビンを見てやってくれ、俺は途中で中級ポーションを飲んだからけがは治っているんだけど、ケビンは低級しか服用していない。今もうちの最大戦力なんだからしっかりと回復させてやってくれ、もし必要なら渡してあったポーションを使用してもらって構わない。その時は言ってね、補充するから。」
とそういうと、優しそうな表情を浮かべながら
「かしこまりました」
と了承してくれた。そのすべてを包んでくれるような雰囲気に、こういう人が治癒士になるのだなと思いながら、次の指示を出そうとして口を開きかけると。
「坊ちゃん、あとの指示は俺や五十嵐さんが出しますから、今日のところはもう寝て下せえ」
とケビンに止められてしまったので、
「それもそうだな、わかった。頼んだ。」
といって後のことは爺たちに任して俺は自室に向かう。
部屋の扉を開け、そのまま体を洗うこともせず、ベットに倒れこむようにして横になる。
目を閉じ今日あったことを思い返すと、何もかもが非日常で、怒涛の一日だったなと思う。
疲れで今にも眠りたいのに頭は興奮してしまっていて、完全に目が覚めている。まいったなと思いながら目をつむっていると、やはり体は休息を求めていたのか、先ほどまでの目の冴えはどこえやら。すぐに意識は深い闇の中へ。
こうしておれの長い長い一日は終わりを迎えたのだった。
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