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俺【死神】になりました ~喧嘩もしたことない俺の、選べる職業が【死神】だった!?~  作者: 伝説の孫の手
~1章~ 鬼人達の襲来

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第13話 ホブゴブリンとの戦い~ケビンside~

誤字脱字や物語の矛盾点など、ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

~~(ケビン視点)~~


「坊ちゃん、奥のあのでかいやつはやばい!、突っ込んできているゴブリンたちのことは任せていいか?おれがでかいのを相手する!」

「任せろ!」


 ゴブリンのでかいやつ、名前はわからないが奴を見たときにまず思ったことが、”やばい”だった。


 こいつは今までのやつと一線を画している。正直俺が戦っても勝てるビジョンが見当たらない。


 とにかく坊ちゃんをこいつから遠ざけようと思って、ゴブリンたちの相手を頼んだ。あの数はそれはそれで危険だが坊ちゃんなら何とかなるだろう。


 正直これまでの坊ちゃんは俺の目から見ても異常だ。昨日まで人を殴ったこともないようなただの高校生が、こんなおかしな世界になったからって、いきなりあそこまで戦えるはずがない。命を奪う行為に対して全くの躊躇もないのももちろんだが、相手の動きを観察して戦闘を組み立てているのを見ると、才能を感じずにはいられない。


 とにかくそんな才能あふれる坊ちゃんでも、こいつに今当たったら十中八九命を失うだろう。それほどやばい相手だし、小さいころから坊ちゃんを見ている身としては坊ちゃんだけは助けたいと思う。


 そして坊ちゃん助けるためには、この勝ち筋の見えない化け物相手に勝たなくてはいけないのだから世の中ってのは理不尽だ。


 「ギャア」


 こちらを見ながらにやりと笑い挑発的にあまり力を入れてないような簡単なそぶりで振り回した棍棒が、目の前でしっかりと太い木の幹を待っ二つにへし折った。


「おいおい、マジかよ。どうやったらそんな簡単に木が折れるんだよ…」


 あまりの理不尽さに、つい弱音が漏れてしまった。あんなもんちょっとでも食らったらひとたまりもないぞ…


 とわ言っても、あいつをどうにかしないと俺は生き残ることができない。それにこいつを見逃すと屋敷のみんなや坊ちゃんが危ない。覚悟を決めよう。


 こんな気持ちになるのは傭兵をやってた以来だな、もう命を懸けるようなことをするのはやめようと追っていたのにな。あの頃はいつ命を落としてもおかしくはなかった、いつからだろうか何も考えずに笑えるようになっていたのは、こんな世界になっちまいやがったが今の居場所をしっかりと守らないとな。


 頭の中でスイッチを傭兵の時の物に切り替えた。懐かしい一歩間違えたら手のひらから命が零れ落ちていく感じ。この感覚に魅了されていた時もあったが、今はこれを利用して生き残らなければいけない。


 まず腰に下げていたサバイバルナイフを逆手に持ち腰を落として相手の動きを見る。


 こちらの変化を目ざとく感じ取り、先ほどまでへらへら笑っていた化け物も真剣な表情でこちらをうかがってきている。


「へえ、そんなかをもできるのな。ちゃんと敵として認識してくれたか、かかって来いよ」


 こちらの言葉を理解しているのかわからないが、意志は伝わったようで、


「ギャアギャウ!」


 と叫び声をあげて襲い掛かってきた!


「ぶおんっ!」と風を切る音とともに振り回される棍棒の威力はさっき木をへし折ったことから造像するに、とてつもないだろう。なので正面から攻撃を受け止めるのではなく受け流すことで対応していく。


 傭兵時代に培った勘と経験をもとに攻撃の軌道を読み受け流す。そして攻撃の軌道が甘かったりすればすぐさまその隙をつきサバイバルナイフで切り傷を与える。安全パイを取りながら攻撃していく、生き向くための戦術だ。


 しかしやつの攻撃は受け止めることはできないし、こちらの攻撃も奴の筋肉や皮膚が固く、全く決定打になっていない。そんな攻防を五分近く続けていると、奴が焦れたのか大ぶりの右ストレートをかましてきた。


 今までそこまで大きな隙を見してこなかったので、このチャンスを逃すまいとしっかりとかみつく。


 奴の右ストレートを一歩踏み込んだところでよけ、そのまま腕に組みつき一本背負いをかます。


「かはっ」


 背中から地面にたたきつけられて肺の中の空気が押し出され、大きな隙を見せたやつの顔めがけてナイフを突き立てる。


 決まった!そう思った時には腹部に衝撃を感じ、そのまま後ろに蹴り飛ばされた。


 奴の反撃のほうが一瞬早かったようだ、チャンスと思ったが逆にダメージを負ってしまった。


 おなかを抑えながら立ち上がるが、立っているだけでもつらい。しかしそんな隙を見逃してくれるわけもなく。すぐさま襲い掛かってくる。


 このまま防戦一方だと状況は悪くなる一方だ、なのでこちらも反撃を加える。すでにダメージは追っているのでけがを恐れず、逆に相手に深手を負わせるつもりで。


 奴の棍棒をバックステップで躱し、続いて右のジャブは衝撃を吸収することで受け止め、その隙に奴の右わき腹にフックをかます。鉄でも殴っているようだがここで攻撃の手を緩めるわけにはいかない。

 

 右フックに続いて奴の頭に膝蹴りをくらわす、これにはさすがのやつも少しひるんだのでそのまま左足で奴の右足を払いもう一度地面に背中を押し当ててやる。


 そのまま奴の喉元に先ほどから逆手で持っていたナイフををし当てようとしたが躱されてしまう、しかし逆手でもったナイフをこのまま横にずらし、首筋に突き立てようとするがも一歩のところで押し飛ばされ、ここでも逃げられてしまう。


 しかし、昔の世に攻撃は最大の防御といった感じで連続攻撃を行うスタイルが一番合っているな。心なしか先ほどよりも攻撃の危機がいい気がする。


「ん?、さすがに攻撃が効き始めているよな…」


 化けの物首から少し血が垂れるのを確認しながら、攻撃が通りやすくなっていることに疑問が生じた。


 攻撃スタイルが戻り、昔の勘を取り戻しているだけかとも思ったが、もしかとしてと思い、少し距離を取りながらステータスボードを確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:ケビン・マイケル・フォースター

 種族:人族

 職業:戦鬼

 ジョブレベル:0

 必要経験値:89/100

 【ステータス】

 |M  P:7+(7×0.5×0)        |=7

 |攻撃力12+(12×1.1×0)+(12×1)|=24

 |耐久力:11+(11×1.1×0)      |=11

 |速 度:9+(9×0.8×0)        |=9

 |知 力:8+(8×0.2×0)        |=10

 【所持スキル】

 怪力 レベル 1 【爆裂拳 5MP】

 【所持SP】

 40P

 【装備品】

 なし

 【その他】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 予想は当たっていて、怪力のスキルレベルが1に上がっていた、怪力ステータス加算で攻撃力が倍になり。また5MP使用して【爆裂拳】というアビリティが使えるようだ。


 なんとなくの感覚で【爆裂拳】が爆発のような威力のパンチを放てるアビリティだとわかっており、スキルの強力さを知っている身としてはこの攻撃力と、スキルさえあればもしかしたら勝つことができるかもしれないと思いだした。


 奴は身体能力としては俺の数段上を言っているが、こと戦闘技術に関しては俺のほうが上回っている。この綱渡りのような危険な戦闘の中で、一筋の光明が見えた気がした。


 何とか攻撃をつないで最後の【爆裂拳】までつなげよう。そう思い爆裂拳を打つうえで邪魔になりそうなサバイバルナイフを一転腰にさしてあるケースにしまい、ボクシングのファイティングポーズのような体制で奴の出方を確認する。


 先ほどの怒涛の攻撃で戸惑ったのか、こちらを警戒して動かないためこちらから攻めることにする。


 奴の呼吸を読み、呼吸の外れるタイミング、いわゆる裏をかいて一気に近づき、反撃される前に一気に攻め立てる。


 まず奴の防御をよけ、隙間のあった左わき腹に左フック。そこから右フック。ガードが下がってきたところにすかさず目つぶし。そこから顔、あご、喉、防御が崩れたところから一息の間に6発攻撃を入れ、奴はたまらず喉を抑えた、この一瞬のスキを求めていた。


 正直奴に対して攻撃が効くようにはなってきたが、殴るたびにその皮膚の硬さにこちらの手の甲からは皮膚がめくれ、血が出てきている。


 こちらもそこまで長くはもたない。ここで決着をつける。


「【爆裂拳】!!」


 喉を抑えるために完全にがら空きとなった腹に向かって渾身の【爆裂拳】が突き刺さる。


 衝撃の瞬間、俺のパンチを出している右の握りこぶしが青く光り、インパクトとともに「ドンッ」という爆発が起こった。


 その反動を受けて、奴は体をくの字に曲げながら吹っ飛んでいく。


 森の木々を二、三本な字倒しながら吹っ飛び、奥の茂みの中に入り姿が見えなくなった。


 スキルのおかげか、こちらの拳にはダメージはなく、反作用で吹っ飛ぶこともない。やはり不思議だなと感じて奥を警戒しつつ、手のひらを開いたり閉じたりと、手の無事を確認していると、


「ギャアーーーーーーーーーー」


 あまりの声量に、周りの枝がふるえ、枯れ葉が落ちてくる。


 とどめまで刺すことはできなかったらしい。奴が茂みの中からゆっくりと出てくる。


 さすがに無傷とまではいかなかったようだが、まだまだぴんぴんしている。さらに今の一連の攻撃で相当お怒りらしく、体が赤く光った瞬間に「ガーーー」と叫んで、口から衝撃波らしきものを出してきた。


 赤く光っていることからこれは奴のスキルなのだろう。衝撃波という性質上目で追うことができず回避行動もとれないまま後ろに吹っ飛ばされ塀にぶつかって止まった。


「かはっ」


 さすがに塀にぶつかるのは堪えた、起き上がるのも一苦労だし、頭から血が垂れてきて、視界がぼやける。いわゆる絶体絶命だ。


「おいおい、その強さでお前までスキルを使われちゃあ、たまんねえよな…、どうしたもんやら…」


 ここまで逆境にも関わらずかなり頑張ったとは思う、でもさすがにここまでかとあきらめかけたその時だった。視界の中で化け物の肩越しに坊ちゃんが向かってくるのが見える。


「このタイミングで登場か…、さすがにカッコ良すぎやしないですか」


 ここまで坊ちゃんの姿が頼もしく思えたことはなかったな。



 第二ラウンドってか。


読んでみて、もしちょっとでも続きがみたい、面白いと思っていただけたなら。ブックマークと高評価お願いします。作者の励みになります。

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