000.0 ReN(1)
一度逃げた身ですが、性懲りもなく戻ってきちまいました。
第一章並びに全編のプロローグ。よろしくお願いします。
真夏にしては珍しくカラッとした暑さになったある日。
僕は公園のベンチで目が覚めた。
いや、覚めさせられた。
原因はここで遊んでいたらしい男の子のドッジボールだ。
「ほ、本当に すみ、すみません……でした」
男の子が目の前で竦んでる。
声を途切らせながらも必死に謝ってきた。
それを見てると何だかこちらが悪いことをしている気分になってくる。
この様子だけだと周りからは不審な大人に絡まれて恐怖で泣いている男子児童の図に見られてしまうかもしれない。
これを見た正義感溢れる人物が通報をしたり、っていう展開は御免願いたいんだが……。
幸い周囲には男の子と遊んでいたグループ以外に人はいなかった。
そんな彼らは送り出した勇者の帰還を少し遠くから待っている様子。
いや、状況的には勇者というより生贄か……?
さて、見物はここまでにして。
いつまでも厄介ごとを抱えるわけにもいかない。
早々に謝罪を受け入れ、仲間の元へ還してあげることにした。
急いで仲間の元へと駆けていく男児を見ながら、頭では別のことに考えを向ける。
即ち、なぜ僕が公園で横になっていたか。
白状するならまったく覚えていない。
泥酔でもしてここに辿り着き、そのまま眠ってしまったわけでもない。
そもそも僕はまだ成人していない。
法律違反をする度胸も持ち合わせていないので、飲酒とは関係ないと見て良いはず。
となれば一体どういうことか。
ベンチに座ったまま辺りを見渡してみる。
ドッジボールで遊ぶ男児たち以外には、砂場や滑り台、ブランコに鉄棒、…………あの跳んで遊ぶタイヤには名称があるんだろうか?
とにかく、子供を飽きさせないほど数がある遊具が置かれている。
そういった平凡な風景を眺めていると僕はとあることに気が付く。
この公園には、どこか見覚えがある。
それは最近などではなく、もっと昔。
記憶が正しければ僕が、先ほどのドッジボールで遊ぶ子供たちぐらいの年齢だっただろうか。
確かに小学生の時に登下校の道中、公園のそばを通っていた憶えがある。
この公園がその記憶のものに該当する可能性は高い。
だとしても、なぜ幼少の時に馴染みがありそうな公園に、まだ未成人で無職の僕がベンチで寝転がっていたのか説明がつかない。
夢を見ているのか?
ここまではっきりと思考出来ているのも少し疑問に思う。
あるいは…………。
これが一種の走馬灯の類なのだろうか。
そんな恐ろしい想像を少し他人事のように思いながら、もう少しだけこの謎に対して詳しく考えてみることにするのだった。
現在今までの投稿分も書き直し中。
出来るだけ早く更新していきたい………。