幸せへのチケット(8)
つくしの子も顔を出す3月、訪れた春に、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今月も続けて(初めての人も)お読み下さり、毎度ありがとうございますの東の外記・しげき丸です。
書いても書いてままれさんの文章に似ねー(涙)。これが個性かと割り切って書く毎日。文才生えて来ないかな。
さて、舞台は本格的に現在に戻って、意外な人物も再登場したりします。
彼等は何処に向かって行くのやら?
それでは本編をどうぞ。
新ログ・ホライズン
-第8話:幸せへのチケット(8)-
-1-
〈ログ・ホライズン〉、〈D.D.D〉、〈プラントフロウデン〉
この三つのギルドのギルマスにはある共通点がある。
見る人によってはまるで超能力のようにも見える、驚異的な洞察力だ。
クリスと呼ばれる有名プレイヤーにも、『スーパーシャーロキアン』と自称するその能力が有るが、残念ながらギルドは運営しておらず、勿体なく思われれているが、そこを本人がどう思っているかは謎である。
(そんな暇あるかあっ! という心の叫びが推察できるような気もするが、この際無視(笑))
シロエは自分のそれを『心理歴史学者(笑)』と称している。その詳しい説明はまた別の巻でする。
クラスティは自分のそれを『悟りの妖怪』と称している。彼がこの辺のネーミングに関して悪趣味なのは今に始まった事では無いのでさておくが、その実態は、無数の選択肢をチェスの指し筋の様に脳内で展開し整理再構築できる、本来ならば『チェス・グランドマスター』と呼ばれる類の物である事は、旧ログホラ内で語られた。
ダリエラ、いや、濡羽の場合はどうだろう。
彼女は繊細な心理描写を得意とする小説家である。カード等の占いも併用すれば、ほぼ100パーセントに近い確率で人の心や行動が読めてしまう。本当に霊能力も有るのかもしれない。
そう言う人は良く居る。彼女の場合、それが凄過ぎるだけで。
だが、彼女にも先の行動があまりよくわからない類の人種はいる。
普段、彼女には他人の欲望が手に取るようにわかる。
だが、仮に、欲望と言うものをほとんど持たない人間ならばどうであろう?
そんな人間の心や行動は、彼女にも読み難い。
そんな人間は多くは無いが、やはりそれなりの数存在する。
玲央人が以前心中で語った処の、『ケダモノ』と呼ばれる類の人種である。
彼等は、すぐ目の前の事しか見えていない脊髄反射の様な行動をとり、そうかと思えば、とんでもない気の遠くなる様な夢しか追いかけていないように見える節もある。
実は、『天使』と呼ばれるにゃん太班長やアヤメ、マリエも実は同じロジックで行動していると言えるのだが。
それは、カナミを始めと啜る元茶会のメンバーの多くもそうであり、己を己の主とする人間は皆そうとも言える。
「永遠に生きるが如く夢見よ。今死ぬが如く悔いなく生きよ」
有名なアメリカの俳優、ジェームス・ディーンは若者に向けそう語った。実は、無闇やたらに死にたがる精神論と受け取られがちな武士道『葉隠』にも、よく読めば同じ内容が随所に書かれているのだが。
その大本の禅の言葉で言えば、覚触の悟り、つまり一般がよく知る所の『覚悟』の語源となった精神である。
うん、やっぱ無闇やたらに死にたがりに間違われてるよね。ある意味その真逆なのに。
今を悔いなく味わい尽くして生きて、今感じた幸せを、誰もが永遠とすべく生きなさい。
ありふれた日常の幸せを、誰もが永遠に繰り返せるように、それを一つずつ増やして行き、いつか全ての人、世界中を満たせるようになりますように。
そんな、ちっぽけだけど、掛け替えのない祈りと願いの言葉なのに。
濡羽の大事な『あの人』も、ある意味そんな人だった。
後にわかったが、超残念なお調子者、黄色(金髪)レンジャーだったのだけど、うん(頭痛い)。
まあ、ソロモンの小説を自分も読んでおきながら、濡羽が誰か気付かなかった自分も悪いが(爆)。
だから、濡羽が自分達に同行するのは、素晴らしい喜びであったと同時に、恐ろしい苦痛でもあった事に気付くべきだったのだ。後にして思えば。
後悔は常に先に立たない。
-2-
トウカイドウのとある場所。
テツロウは道端に座り込み、動かなかった。
いや、もう動けなかった。
かつては恋人ミチルの元に還るため、ありとあらゆる事をした。
一時は、帰還派、≪オデュッセウス≫のリーダー格とまでなった。
なりふり構わず、先頭を切って行動したからだ。
そして、余りになりふり構わなかった為、今度は逆に帰還派の仲間からも爪弾きにされた。
分かっている。
あの日かつて出会った、真っ直ぐな武士の少年に言われるまでも無く、どれだけ自分が身勝手で醜い大人かなんて。
目の前で、それが大地人であれ冒険者であれ、誰が苦しもうと、見捨て続けて、ただ自分と恋人の事しか考えなかった、考えない様に見えない様にしていた自分が、どれほど醜いかなんて。
だから、今、こうして誰からも見捨てられるのも、当然の報い。
かつて90有ったレベルが、78になるまで死のペナルティを受け続けても、結局は何にもならなかった。
死ねば地球に還れるなんて、ただの妄想。現実からの逃避。
ただ死ぬために身に付けた呪いのアイテム、狂信者の兜と狂騎士の鎧。敵の攻撃をほとんど避けられなくなる[放心]のバッドステータスと、余分に喰らうヘイトダメージと引き換えに、大技の使用MPを下げ、攻撃力を上げる。バーサーカー気取りの自爆プレイの為の秘宝級痛アイテム。実はゲーム的にはそんなモノを付ける位なら、最初から守護戦士で無く武器攻撃職を選んだ方が余程効率よく強い。
それを未だに着続けているのは、ただ投げ遣り自暴自棄以外の何物でも無い。
馬車を先導する、馬に乗った6人のマイハマの騎士は、彼を見付けて眉をしかめた。
酒でも飲んで泥酔しているかの様にしか見えないが、万一兇漢の類だったら困る。
「もし?」
リーダーであるサイクス卿が近付き話しかける。
「…………」
無言で首をわずかに上げ、サイクスを見やるテツロウ。
その兜越しの眼の光は、恐ろしく暗く淀んでいた。
「―――もし?」
「……何か用か?」
やっと開いた口から出た言葉は、重苦しくまるで呪詛か何かのようだ。
「高貴な身分の御方がここを通られます。どうか、おどきくださいませんか?」
「勝手に通ればいいだろう?」
サイクスたちは顔を見合わせ、再び眉をしかめる。
溜め息をついてから、再びテツローに向き直る。
「この際、はっきり言います。貴方は信用できない。どいて下さらないと、我々が安心出来ないのです」
「そうか」
「では、お退き下さるので?」
「嫌だ。面倒臭い」
「~~~~っ!」
サイクスは続く馬車とレイネシア達を止め、こんな時に頼るべきシロエ達を呼ぶ。
彼等のうち半分はレイネシアの元に護衛として残り、来てくれたのはシロエ達5人。
「どうしたんです? サイクスさん」」
「あ、シロエ殿、実はこの御仁が道を塞いでいて」
一緒に付いて来たダリエラが、テツロウを見て眉をしかめる。
「私、こいつ知ってる。ロクな奴じゃないわよ」
「?」
「≪帰還派≫、オデュッセウスって名乗ってるロクデナシの集まり。こいつはそのリーダー格だったの」
「そうですか」
カズ彦もダリエラの後を継いで語り出す。
「ああ、こいつか。一応ウチの所属だ。フロウデンならどんな奴も受け入れっから、地球に還れる手段が見つかるまで、大人しくミナミでみんなと仲良くしろって呼びかけて入れた。だから一応所属はフロウデンだ。だがま、お嬢の言う通り、ロクでも無い行為を繰り返した。こうなってるのは、おそらく自業自得だな」
それでも除名しなかったのは、情けも有ろうが、他にフロウデン内の地球帰還を願う者が、≪帰還派≫の行動に望みを託しているとの政治的理由もあるだろうとシロエは当たりを付けた。
だが、今はそれはどうでもいい。
「ふーん」
シロエはしゃがみこみ、テツロウと兜越しに目線を合わせる。
「君さ、何で、地球に還る方法を探すのを『人任せにできなかった』の?」
テツロウは呆気にとられた。
彼は頭ごなしに何も命令しなかった。
物腰柔らかだが卑屈にへりくだってもいない。
ひょっとしたら、このヤマトに来て、こんな行為を繰り返し始めてからの自分に―――
初めてまともに、心の目線を合わせてくれた人ではあるまいか、と?
「何で?」
「……………あっちに女がいるからだよ。ありふれた、つまんない理由だろ?」
「フーン。全然つまんなくないよね、それ。どう聞いてもつまってるよね、それ」
よし決めた。もうこいつは僕の友達。決定。
「じゃあ、取引しない? 僕はこう見えて、陰険狡知蛇蝎の如き、ハラ黒策士陰謀眼鏡、血も涙も無い傭兵参謀シロエとして、ネットじゃあ少し知られてるんだよ、覚えておいて」
「え?」
なんてろくでも無い呼び名だ、こいつひょっとして俺より悪いロクデナシなんじゃ?
「僕は地球とセルデシアに通路を開くために手段を選ばない事に決めた。但し僕の気にいる手段に限りだけど。こう見えて悪党としての美学くらいはある」
「はあ?」
「だから、僕はもう、君をその為の優秀な手駒として利用させてもらう事に勝手に決めた。その代わり、君も僕の事を地球に還るために利用する。どう? 結構、悪党の割には公正で公平な取引じゃない?」
そう言ってシロエは手を差し出す。
「え、あ、あの、その」
「ま、拒んだ処で、僕は君を罠に嵌めてでも君を利用するけどね。だから、今は対等なパートナーシップを結ぶチャンスの大バーゲンセール。ほら、どうするの?」
こいつ、罠に嵌めてでもって言い切りやがった。いいだろう、それなら腹を据えて、取引してやる。どうせ今は他に当てなど一つもない。
テツロウは手を差し出し返す。
「おーけい。じゃあ、取引成立。ギルド、記録の地平線へようこそ」
そうして、二人は握手を交わした。
ダリエラが目を白くして、すっかり毒と、ついでに魂の抜けた間抜け顔をしている。お気の毒様。
逆にアカツキは今にも腹を抱えて笑い出さんばかりだが、文字通り忍び笑いで堪えている。よしよし。
「あ~、あれだ。聞くがそいつはどんな女だ?」
カズ彦がやれやれとばかりに訊ねる。そう来なくちゃ。
「自慢できるような奴じゃないよ」
「ほう?」
「いっつも親とぶつかってばかりの奴でさ。俺が付いてやらなくちゃ、危なっかしいったらないんだ。だからさ」
地球に還りたいんだ。その言葉を飲み込んでも、僕らにはその続きの台詞が確かに聴こえる。
その証拠にカズ彦は僕シロエと顔を見合わせる。
こりゃ駄目だ、こいつ僕らの親友決定。うん、もう決めた。きっとカズ彦も決めた。それくらいわかる。
「しょうがねえな、じゃあ俺も手を貸してやるよ。フロウデンの件は関係なしでな。面白そうだからだ」
「面白そう?」
「ああ、悪いか?」
「悪いよ。でもまあ、偽善者じゃないから、それくらいは大目に見る」
テツロウは立ち上がりカズ彦とも握手を交わす。
「やっぱり、カズ彦さんは~優しいですよね~」
アヤメも笑う。こっちは屈託なく。
「バーカ、そんなんじゃねえよ。強者の余裕っていう、所謂嫌味な奴だな」
あーうん。なんかカズ彦のお尻で、見えない尻尾が全力で振られてるのが見えるよね。大した狼だよ。まったく。
まあ、わかるよ。結局好きな女の子の心からの笑顔は、いつだって男の子の導きの星で羅針盤だもん。
これ永遠不変の法則。だからしょうがない。
「どうだ、主君にかかればこんなものだ」
「あー、うん、アカツキ。お手柔らかにね」
アカツキの笑顔が引き攣り、その後シュンとなる。
あー、うん。これ僕が抱きしめたくなる衝動を堪えるのに苦労する奴だよね。
深呼吸深呼吸。
「はあ。じゃあレイネシアさん、見に出て来たみたいですけど、もう解決しちゃったから、心配しなくてもいいですよ」
「…………やぱし、眼鏡って何様?」
あれ、この人淑女の仮面剥げ落ちてるよ。まあいいけどね。
「その人の分、護衛料の割り増しなんてしませんよ」
「まあ、それくらいはサービスしますよ。ハラ黒と言えども」
こうして、後の伝説の12人は、無事揃う事になったのだった。
ちなみに、その後しばらく馬車からは、
「眼鏡氏ね。やぱし奴ら自ら称する通り、陰険狡知蛇蝎の如し魑魅魍魎。何でみんなあんな奴らの外面良子に騙され籠絡されて、掌で転がされるんですか? 信じられない、真面目に生きるのが嫌。私の苦労って何なのです?」
と言う、昏い呪詛が漏れ聞こえて来たそうな。
「貴女がそれを言いますか? 外面良子さま」
エリッサのそんなツッコミも聞こえて来たらしい。
レイネシアは何でも魂が抜けた後、更にエリッサに従順になったと言う。
御愁傷様。
-3-
アキバの街で、トウヤ達と、アインス達は、引き籠る低レベル冒険者の元を訪れ続ける。
でも、帰って来るのは、いつも似たような答。
「いやだよ。どうせ俺なんかが外で何かしたって、みんな馬鹿にして俺の事玩具にして嘲笑うんだよ。だからもう出て行きたくない。お前等みたいな出来るやつに、何一つ取り柄の無い人間の事なんかわかんないよ。今、お前が上から目線で説教してる事が何よりの証拠じゃん」
トウヤ達も、アインス達も、低レベル冒険者に対して侮辱の言葉を投げかけないよう、アキバ中の人間に訴えかける。
「お願いします」
トウヤ達は、ひたすら愚直に。
「何故、他人を傷付けると言う、卑怯卑劣な行為を繰り返すのですか? 同じ行為を繰り返す人は学ばぬ人です。 学ぶ事こそがネチケットであるのに、なぜ貴方達はそれを実践しよう、そうあろうとしないのですか?」
アインスは、先生と呼ばれるその生き方を貫いて。
そして、トウヤ達の愚直な行為は次第に支持を増やしていったが、
「傷付けるな、悪口も言うな、繰り返すなって言われてもよ、それじゃ、迂闊に冗談も軽口も言えなくなるじゃん」
「本当だよ。学べ学べって、アインス何様?」
「今の円卓って、悪い意味で、校則一杯の学校みたいで窮屈じゃねえ?」
「まだ素直にお願いしてる互助会の方がマシだな」
「上から目線~」
「勘違い可哀想~」
「どうせ僕ら学習能力の無いサルですから~、アインス先生をディスるの止められませ~ん」
「お生憎様~」
アインス達は、ますます支持を失って行く。
円卓の崩壊は、相変わらず進み続ける。
-4-
そして、旅は、旅の節目を迎えようとしていた。
大領地、ナゴヤ。
ナゴヤを治めるキスキン侯爵に挨拶を終えた僕らは、郊外にある、賓客を止める迎賓館も兼ねた、公爵への別荘へと案内される。
予定では、ここで一週間の滞在となる。
彼女レイネシアが、東西に分かれたヤマトの友好の懸け橋になりに来た。と、言う事実を民に知らしめる為の、いわゆる政治宣伝広報活動をしなければならないのだ。
別荘に到着して、僕らとエリッサしかいない空間に解放されたレイネシアは、当然―――
スライムの様に溶けた。
「一応、殿方もいらっしゃる事、お分かりですよね?」
エリッサが溜め息を衝く。ここまでの彼女の努力は何だったのか?
「~ん。でもこいつらにまで気を使うの面倒。どうせ魑魅魍魎しかいないやって思ったら、遠慮するのバカらしい」
ぶっちゃけましたね、遂に。
「まあ、いいんじゃないんですか? ヲタクが友達の家に遊びに行くと、大抵悪い意味で自分の家のように振る舞う悪い癖があるモノです。結局、彼女は僕ら冒険者と呼ばれる、ヲタクと同じ人種なんですよ」
僕シロエは苦笑する。
「冒険者って、もっと高潔で立派な御方々と思っておりました。ショックですね」
「エリッサち、その言い方だと、姫ちをを間接的にディスってるにゃ」
「それ以外の何にお聴こえで?」
「苦労してますにゃあ」
「お分かり頂けて幸いです。基本、この人には何言っても馬の面に小便、失礼、なので、その分時に手加減せずに済むのだけは、お仕えさせて頂いて有り難い事です」
「エリッサひどい~」
「それに比べて姫ちはまだまだのようですにゃあ」
「所詮子供ですから」
「私エリッサの心無い一言に激しく傷付いたので、明日はゆっくり一日静養するって侯爵にお伝えして~。は~、人のせいにできるって楽~」
これにはカズ彦が笑い出す。
「おいやべえな、おい。俺だんだんコイツの事面白いから気に入って来たぞ、マジで」
だが、気付くとアヤメがこちらを見ている。
アレ、殺気籠ってない?
「うはは、は?」
カズ彦がタダならぬ気配を感じて後ろを振り向くと、既にアヤメはいつものように、ほやほやと女の子同士で笑い合っている。最早先程の殺気はミジンコたりとてない。あー、これ絶対長期戦になる奴だ、やれやれ。
仕方ない、フォローしよう。
「カズ彦って、相手が男前だと、女性相手でも漢の友情感じちゃうタイプだよね」
「まあ、それが礼儀ってもんだろ」
「カズ彦さんは~礼儀正しいんですね~。すごいです~」
「ふっ、まあな」
鼻高々ってアンタ、おい、皮肉入ってるよ、気付けよ。
「人を小馬鹿にするのが冒険者の礼儀ってどうかと思います。まあ、取り繕わなくていいから楽ですけど~」
相変わらずのレイネシア。
「本音出てる割には認めれないんですよ」
頼れる大人がいるせいか、こっちも大概遠慮なく愚痴こぼすエリッサさん。
「やれやれですにゃあ」
それを聞くセララが不安げにちらちらと班長を見やり出す。
当然優しく微笑み返す班長。安堵するセララ。あー、マジで役者が違う。
「結局、いつも主君はいつもいつも主君をしていないと気が済まぬのだな」
お茶を飲みながらアカツキがこぼす。
主君って言うと格好いいけど、やっぱり自分がタダの世話好きオバハンに思えてきて、密かに汗を流すシロエだった。
やれやれ。
-5-
ナゴヤの地下深く。
『イベント【〈――〉の誘拐】を発生させます』
『了承。当イベントに、マナ、魂魄、及び〈共感子〉採取後のメモリシアの供給を開始』
『これにてこのイベントは、冒険者の個人能力では打開不能な強制演出としての実行力を持ちます』
『アキバやミナミやヤマトサーバー所有エリアと違い、このナゴヤ地下制御エリアの所有権は勿論我ら〈典災〉の物』
『アキバ〈衛兵〉事件と違い、彼らが裏ワザで解決する事も出来ぬ』
『だが、このイベント自体には、〈――〉を廃棄する能力が欠如』
『仕方あるまい、システム上、ストーリー重要NPCを殺害する事は、戦闘用NPC〈モンスター〉には不可能な様に魂魄に書き込まれ設定されている』
『解決法はある』
『どのような?』
『最終的に、大地人NPCに――させるのだ。〈――〉を――する事を望む―――を籠絡する』
『すでに条件に合う者は選定済み』
『表舞台からは消えるのだから、〈――〉は死んだ事になる。代理イベントは発生する』
『妥当な解決策と認める』
『実行を了承』
『了承』
―第9話へと続く―
※キャラクター設定
●テツロウ(守護戦士、ヒューマン、調教師)
かつてトウヤからの説教を食らった、帰還派≪オデュッセウス≫の元リーダー格。今はそれからも落ちぶれた。
ビルドはモーニングスタービルド。スキルポイントは。モーニングスター系の武器の使用にほぼ全てつぎ込んである。
彼とその相棒である地球に取り残された女性プレイヤー、ミチルにも、星にとても強い思い入れが有った。銀河鉄道と言う、昔のアニメファンには有名な、あるタイトルを皆さんご存知だろうか? そう、テツロウの名は彼の本名でもあるが、それからも取られゲーム内でも使用されている。そしてミチルの名は、そのヒロインからである。ただ、逆にそのタイトルを半端に知る人からは?が出ている事だろう。実はテツロウとは、そのアニメの元ネタとなった作品『青い鳥』の主人公、ティルティルのアナグラム変換である。そして、ヒロインの名は、『青い鳥』の妹ミチルのアナグラム変換(より正確には原作者の名メーテルリンクのアナグラム変換がミチル)なのだ。
彼のサブ職業の〈調教師〉も、ゲーム内アイテムの〈メッセンジャーバード〉を、ドルイドやサモナーでなくとも使いこなせるから、という理由からである。もちろん色は青を選択している。
彼自身の境遇は、既に語られているし、これからも明かされるだろう。そしてミチルの境遇も、また同様である。
その後伝説となった、12人ハーフレイドパーティー、その最後の一人の彼の今後の活躍に、どうか期待して欲しい。
※アイテム設定
●ライジングスター
テツロウが現在振るう、モーニングスター系の秘宝級の武器。
モーニングスター系の武器は、斧やメイス、ハンマーと同じく、本来命中しにくい武器である。だがそれでもSTR強化(間接的に戦士系の命中力と物理防御力を上げる)のアイテムやスキル、そして何より高いレベルでそれを補えてきた。だが彼は死のペナルティでレベルを多く損ね、流石に命中力を無視できなくなってきたのである。
この武器には高いSTR上昇に加え、TRPG版で言う所の[連撃の]の付与がかかっている。大量のMP消費で、外れの命中判定を振り直せるのだ。しかし余りにコストが高いので、TRPGデータではシーン内1回制限として再現されている。だが皮肉にも、本来呪いのアイテムの〈狂信者の兜〉のお蔭で、使用回数は2回となっている。そして『譲渡不可秘宝級』アイテムだけあり、追加でノックバック効果(TRPG未実装)もある。命中した敵を1Sq後退させる事を選べるのである。ただ、これは現時点では命中しにくく威力の高い、両手持ちの斧メイス系の武器にしか採用すべきでないとして、検討中である。逆に言えば、不利なアイテムにはそう言うご褒美が有ってしかるべきだろう。また剣や刀には、それに相応しいオリジナルアイテム効果が専用に付与し得るべきである。続報を待て。
以前はもっとダメージの高い、普通に有利な武器を使っていたのだが、今は命中を少しでも底上げする為に、譲渡売却が不可な事も有って、この武器を使っている。他は全てとは言わないが、かなりの数を生活の為に売り払ったのだ。
●狂信者の兜、狂騎士の鎧
本編中でも語ったが、TRPGデータとしての捕捉。
兜の[放心]は回避ペナルティで無く、阻止能力の喪失も発生する。つまり、壁としての前衛職の意味が無意味に。そりゃ只帰還だけでなく、生存も視野に入れ始めた元仲間から追い出されるわ(涙)。スキルやアイテムのシーン内使用回数+1にさえ、割に合うかと言えば、多分ペケである(滝涙)。鎧も鎧にかかわらず、〈怒りの〉(シーン内1回(兜の効果で2回)ダメージロールに+自己ヘイト値)と〈痛撃の〉(ダメージロール上昇、常時)の二つ!と攻撃力上昇効果てんこ盛りだが、ひきかえに、自分の喰らうダメージも、ヘイトダメージ倍率+1である。はっきりいえば、守護戦士としてはダメダメになるのだ(涙)。前線維持できない壁タンクって……なのにどちらも守護戦士専用にして売却不可。何じゃそりゃ。救いとしては、両方ともそれなりのSTR上昇が有る位である。
それでも、何でこんなアイテムが有るかと言えば、ある日の特撮厨二連の光景でお伝えしよう。
部員A「燃えるー! この駄目アイテム~!!!」
部員B「バーサーカー萌え~w 滅びの美学~~www」
クラ「君ら、何でこんなのに萌えてるの?」
高山「ポンコツこそ男の浪漫です」
クラ「男って………。まあいいけど、不利なスタイルアイテムこそ、実用に耐え得る様、細心のビルドで組むべきだろう。男の浪漫を貫きたいなら得に。悪役だって勝つべき時は勝つべきだよ。それこそ容赦無く」
一同「「「はああ」」」
クラ「なんだね、その憐れなモノを見る目は?」
高山「貴方頭良過ぎ」
部員A「まあ、いつかわかりますって」
部員B「そうそう。いずれはね。逆にその時こそ反動でどハマりするんでつよ。この手は」
そしてその通りになった(笑)。
だが逆に、部員達もネタながら強いビルドにも目覚めて行ったのだが(苦笑)。友達っていいものだよね。
そう、筆者もネタ黒でもつおいデッキにも只の一発ネタにもこだわるのである。きっといつまでも。
そう、おのれ白デッキ(おい)。も、きっと(大人気ないのをいい話っぽくまとめようとしてますよこのお兄さん)。
筆者:ぱんぱかぱーん。てな訳で遂に12人そろいました~。って、どったのトウヤ(仮名)?
ミノリ(仮名)以下『み』:海よりも深く自己嫌悪してます。
トウヤ(仮名)以下『と』:………どうせオレ、兄ちゃんに比べればダメダメだよう。えぐえぐ。
筆者:いやまあ、状況の違いとかあるからさあ、ほら。
み:ホント、まだまだ。
と:今度ばかりは反論できねえ、ぷしゅ~。
筆者:う~ん。まあ、負けず嫌いだからね、俺。
み:トウヤは負けず嫌いが良くない方向に行きがちなんですよね。よく。
筆者:そこがトウヤのいい所じゃん。
み:この場合、甘やかすと余計ダメージです。
筆者:あ、ゴメン。
と:もうヤダ、こんな生活…………。
筆者:頑張れ責任者。
と:誰が押し付けたの、誰が!
筆者:俺とクラスティ(仮名)さん。
と:リアルでもそうじゃんよおおおおおおおぉぉ!(酷過ぎる)
み:トウヤ、ぶっちゃけすぎ。筆者さんも。
筆者&と:スンマセン。
み:それにしても、お二人、何でこんなに行動に差が出るんです?
筆者:いや。実は俺も直情径行猪突猛進タイプ。
と:え?
筆者:ただし、子供の頃、本当にの◎太な超運動音痴だったの。だから、常に色んな方法を模索せざるを得なかったんだよねえ。暴力に訴えるなら卑怯な手を使ってでも、そうでないなら如何に仲良くするか、それこそ何でもありでさ。
み:あー、だからクラスティさんが『何でもありの妖刀』って。
筆者:そゆこと。でも、トウヤは事故に遭うまでは逆にスポーツ万能だったじゃん。
み:アー(可哀想なモノを見る目)、だからこんな残念。
と:いや、その通りだけど、言い方!
筆者:恵まれてる事が必ずしもいい事ばかりにはならないって話。
み:つまり簡単に言うと自惚れですよね。
筆者:どうしてあなた、身内にはそう容赦ないですか? 付き合う相手選ばナイト、騙されたーって言われるヨ。
み:ロニー(仮名)はそこがいいって言ってくれます。
筆者:嗚呼、うん。ロニー(仮名)はね、結局自分を厳しく鍛える事が好きなんだよね。いいコンビだよ、君ら。
み:でもそれでほったらかしにされ過ぎるのは嫌です。
筆者:まあ、ソロモン(仮名)君にそこネタにされるくらいだからねえ。何だろう、俺も身につまされる。
み:アカツキ(仮名)さんに謝って下さい。
筆者:やぱし。ごめんなさい(いやマジで)。
と:あのー、ほったらかしにされてるの僕もなんだけど。
筆者:で、君の彼女はやっぱり(検閲削除)似?
と:(突っ伏す)
み:えー。私はこの件に関して一切のノーコメントを貫きます。
と:心理歴史学者(笑)なんて嫌いだ……………。
筆者:まあ、その件は、次の機会のオフ会でじっくり聞かせてもらおう。
み:それじゃあ、みなさんまた来月。
筆者:次回次話で、まったね~
と:オレもう、このコーナー出たくない。二度と(滝涙)。
ちゃんちゃん。
それでは次回来月をお楽しみに。
まったね~。




