王達の屹立(8)
どうも、猛暑続く中、如何にお過ごしですか? くれぐれも夏バテにはお気を付け下さい。
ちょっと遅れてしまってすみません。お馴染み東の外記でございます。
また(初めて?)お読みになって下さって有難うございます。
第2章も山場に続く山場ですが、その度にシロエTUEEEEEが何だかいたたまれなく恥ずかしくて悶絶しております。ままれさんがクラスティ・タイクーン・ロードを書き上げてからダウンしたのもむべなるかな(いやそれだけが理由じゃないですよ)。お蔭で俺が自分の小説ほったらかして、こんなん書く羽目になってますがな。もう大変、ひでぶ。
苦労した分面白かったり感動して頂けるものになっていればいいな、と祈る毎日。
読んで下さった方からはいい感想が頂けるのですが、いかんせん読んで下さる方が少なく、SNSなどで宣伝して頂ければ幸いと、伏してお願い致します。
m(TT)m
まあ、勿論そんな事して頂けなくとも本編をお読み楽しんで頂ければ何よりです。
ではでは(^^;)。
―第19話:王達の屹立(8)―
-1-
グンマ平原。
カーツやユーマ等、最初から平原で撤退戦を繰り広げていた小部隊達が見守る中、遂に駆け付けたアキバの〈百人隊〉5部隊と言う堂々たる大軍勢が、二千を超す〈典災〉の大部隊と今まさに衝突せんとしていた。
「あれはなんだ?」
カーツが傍らのユーマに訊ねる。
「ああ、真ん中の2部隊ですね」
「シロエさんは複合斜線陣とか鋸陣とかゆってたよ」
横から口を挟むピンキー。
確かに良く見れば鋸の歯の様に、幾つもの山と谷を重ねた形をしている。
「オラ、行けぇえ!」
「遅れを取ってはなりませんわよ!」
鬨の声を上げるアイザックとリーゼ。
この複雑な陣形を率いるのは当然アキバの誇る最強指揮官二人だ。
鋸陣は以前クラスティが用いた防御的かつ万能な方陣に比べて超攻撃陣形と言える。
目的は単位時間ダメージ(DPS)の上昇と集中である。
凸凹の凸の先端には突破力と防御力のバランスの取れた〈武闘家〉。凹の谷底で挑発し最大ヘイトを稼ぎ敵を引き付ける役は当然〈守護戦士〉。斜線の要所をカバーしつつ自らも攻撃役として活躍するのは〈武士〉や攻撃型ビルドの〈戦士職〉。
そして斜線の辺で攻撃するのは勿論近接型〈武器攻撃職〉であり、薄く広い辺の隙間からは長距離〈武器攻撃職〉と〈魔法攻撃職〉が射撃攻撃を加える。
以前の方陣であれば、射撃攻撃は間接火力に過ぎなかった。
ゲーム時と違い、そのまま撃てば、前衛の背中を撃ってしまう。
だが、魔法や飛び道具には良くも悪くも射程が存在する。斜め上空に撃ち、射程に達した射撃攻撃は地面に落下し、そこに居る敵に当たる。故に狙いも付けられずに効率は悪いが、安全に方陣の中から射撃する方式が取られていたのである。
だが、クラスティとシロエは、いずれこのままでは通用しなくなるのではないか?との危惧を持っていた。理由はクラスティ達が確認したゴブリンの軍事訓練である。
モンスターが人間と同じように訓練するならば、いずれ人間と同じ様な戦術も駆使してくる。
人間と同じ様に盾役、攻撃役の分化は進み、より前面の盾役の敵の撃破は困難になるのではないか?と。
最もその話は念話で触りだけしただけで、その後すぐにクラスティは中国サーバーに飛ばされてしまった訳だが。お蔭でその後この件はシロエが抱え込む羽目になってしまった。
火力を集中して速やかに敵盾役を撃破する。
その為にシロエが着目したのは現代射撃戦闘における鋸陣である。
本来は鉄条網で敵の前進を止めて行う防禦陣形なのだが、その火力集中効果は高く、戦士職の挑発能力を活用して、動く鉄条網陣地としたのである。
中央の二部隊はその目論み通り、敵を噛み砕いて行く。
その二部隊の両脇を方陣二つでフォローし、背面に敵を回らせない。
「いっくよおおぉぉ!」
そして櫛八玉率いる遊撃隊が逆に敵背後に回り込み、万能的な方陣から、まさしく〈突貫〉の名に相応しい突撃用の鋒矢陣に陣形を変え、敵後衛を切り裂いて行く。
「信じられない、イセルス様、4倍の敵がまるで紙の様です!」
「あの強大な〈典災〉が!?」
後詰を努める大地人部隊の陣地で騎士たちがざわめく。
「当然です! アイザック君は僕の自慢の友達で、リーゼ様は自慢の先生なんですから!」
-2-
イコマ、プラントフロウデン本部。
ノイズが五月蠅い。
インティクスは報告書を捌きながら眉根をしかめる。
勝敗など最初から見えている。
戦いはつまるところ経済でも軍事でも物量であり、物量とは、より強大な資本とその集中だ。
アキバとミナミの資本力、マネーパワーの差は明らかだ。
なのにノイズは抗う。
第5席〈南征将軍〉ナカルナード率いる遠征軍は未だに〈典災〉と一進一退の攻防を続け、戦線は硬直している。なのにアキバの軍勢は大勝をおさめたと言う。
悔しいが小賢しい戦術の差を認めざるを得ない。
だがそれがどうした?
その戦術は明日にもこちらも模倣を始める。そうすればレベルと装備に優れるこちらがすぐに優位に立つ。奴のしている事は結局ノイズに過ぎない。
経済戦でも多少は粘るようだが、これもまた同じ事。結局は資本力に優れるミナミが勝つ。
所詮戦術は戦略に敵いはしない。
こちらがミスをしなければ、所詮シロエなどノイズなのだ。
だが苛立ちは残る。
第4席〈東伐将軍〉ミズファの失態。
だが、これは彼女ばかりを責めるわけにはいかない。彼女の軍を当てにし過ぎ、〈典災〉の矢面に立たせた元老院の失態だ。
所詮彼女が育てたのは安全な温室育ちのゲーマーだったのだ。レベルこそ高いが故に大地人同士なら無敵だったろうが、モンスター相手には、転移したての冒険者が自分達より低いレベルのモンスターに負けていたのと同じ理由だ。〈闇精霊〉憑依は諸刃の剣だったのだ。
だが、元老院は同じ大地人の軍隊であるグリーンリーブスが善戦していたのを理由に彼女を責めたてる。馬鹿馬鹿しいにも程がある。大地人同士の戦いでは無敵だと言うのに。
また濡羽に元老院への宥めを頼むしかない。
苛立つ。
そう。ノイズよりも濡羽に苛立つ。結局は彼女と彼女がもたらす資本力を当てにしなければならない事に苛立つ。
今日はどうやって彼女とその醜さを責めたてよう。
そうして彼女は自分のプライドの綻びを、マウントとディスで満たすべく、濡羽の元に向かうのだった。
濡羽は憂鬱だった。
それはインティクスになじられたからでも、彼女の願いを聞きミズファの救済を元老院に訴える為に、偽善者の仮面をかぶったからでもない。
彼女を苦しめていたのは、彼女のかつての理想だった。
ヒリュウの残した言葉だった。
『色んな奴がいてみんないるって、それだけでワクワクして楽しいよな』
ヒリュウが今のミナミとアキバを見たらどう思うだろう?
ミナミと私に幻滅するかも知れない。
きっとアキバの方を選ぶだろう。
シロエがアキバで、いや、生産ギルドのトップ3に指示した事は、否定しない事と工夫の推奨であった。
これにはその3人がイセルスたちの教育も担当していたことも役立った。
そのままでは役に立たないアイディアを、否定では無く肯定の為に意見をぶつけさせ、更なるアイディアを重ね、改良を加える事、創意工夫を以って実用的なアイディアに変えて行く。
子供の才能を伸ばすには重要な事だ。
それは生産ギルド全体と初心者講習の方針ともなって行き、アキバの街全体の空気となった。
そしてシロエの『誰もが特殊な脳構造を持っていて、誰もが誰も手の届かぬ星である』と言う言葉。
シロエの知り合いたちは、その空気を勢いづけるために歌を唄い、噂や流言を流した。
その言葉に勇気づけられ、また戒められ、誰もが自分の思い付きを勇気を持って発言するようになり、そして周りもそれを尊重する風潮が生まれた。
アキバの街でも、ミナミのような独創的なアイディアが、次々と量産され始めたのである。
シロエはまるで精密な機械を組み立てるように、アキバの街の人間の心理を組み立てたのだ。
更に二次的な効果として犯罪発生率も下がった。
犯罪心理学において犯罪を行う者の多くは、両親や周りにその夢や希望や意見を否定され続けた者である事は、一部において有名な事実であるからだ。
なのに比べてミナミの街はどうだ?
確かに独創的なアイディア、技術革新には溢れている。どれだけ突拍子無かろうと有能で独創的なアイディアを出す者への援助を惜しまなかったからだ。
だが、それはあくまでも一握りの勝者の物だ。
勝者と敗者の格差は広がり、中間層の話す言葉は勝者の言葉の劣悪なコピー。
そのコピーが敗者や貧困層の意見やアイディアを押し潰して行く。
「これが成功しているから、結果を出しているから」
個性など欠片も無い中身空っぽのコピーが幅を効かせて行く。
意見と人格を否定された敗者は増え、ある物はいじけひねくれ、ある者は効率良く利益を得るために、犯罪率はさらに上昇して行く。
勝者と勝利者は違う。
勝利者とは『利』を勝たせるものであり、敗者にすら『利』を与えるものだと。
それならば既にしてアキバは街自体が勝利者では無いのか?
ミナミに勝利者などおらず、あるのはただ勝者が乞食へ貶めた者への憐れな施しではないか?
今ではシロエが何故自分に敵対する事を選んだのか、うっすらと分かって来た。
所詮、自分は逃亡者だったのだ、と。
自分とヒリュウの望みを叶える為に、本当の意味で現実に立ち向かっていなかったのだと。
これでは例えインティクスが勝ちを収めたとしても、誇るに足らぬ惨めな勝ちでしかない。
理想への侮辱でしかない。
自分が手に入れた王国は自分の欲しかった王国などでは無く、逃げ出した世界の劣悪なコピーだったのだ。
ヒリュウがもしこの世界に来たとしても、どちらの街を選ぶかは明白ではないか。
濡羽は声を漏らすこと無く嗚咽し、涙を落とした。
その涙は濡羽の頭を載せていたアカツキの膝の上に落ちたのだが、アカツキは何も気づかなかったように、ただ変わらず濡羽の髪を撫で、子守唄を口ずさみ続けた。
-3-
ナインテイル自治領、ノースナイン、ウチュウ遺跡。
シロエ達は遺跡内の安全と思われるポイントで休息を取っていた。
「ぷはー、生き返る」
水筒の水を飲み干してマヒルが息を付く。
「はい、サンドウイッチですよ」
甲斐甲斐しく差し出すソウジロウ。
「お、おう。済まねえ」
「気にしないで下さい。こんなの先輩に比べれば何でもないですよ」
「ああ、あれな」
「こんな時でもすごいですね~」
アヤメが感心する。
「まあ、好きでやってんだ、気にすんな」
「カズ彦さんの筋トレや素振りみたいなものですね~」
「………………」
話題のシロエと言えば、休憩中、ひっきりなしにアキバの要人と念話で連絡を取っていた。
「ああ、ああ。それで頼むよ」
にゃん太がそっと傍らに置いたコップの中身とサンドウィッチを、半ば無意識に喋りながら喉に押し込んで行く。
「シロエちはあっちでもこっちでも〈全力戦闘管制〉ですにゃあ」
「アキバとこっちと両方指揮するなんてすごいですぅ」
「そうでも無いよ」
「ええっ?」
シロエがいきなりセララの声に応えたので、セララはわたわたする。
「僕の想定してなかったインティクス達の攻撃もいっぱいあったしね。それに的確に対処してくれたのは個々みんなの働きだよ。あっ、そうだ、ささやかでもアキバの街全体で宴席みたいなものが開けないかな? 善意と漢気は金じゃ買えないからこそ、労わないと。トウヤとアインスさんに頼んでみよう。何も天秤祭みたいに大がかりなものじゃなくていいから――――」
「ワーカーホリックですなあ」
「どっかのバカ漫画家もお店の福利厚生にあれくらい力を入れてくれれば」
相変わらずのヴァディスとミカサだった。
-4-
アキバの街、大広場。
あちこちに屋台や露店が立ち並び、そこでの飲み食いは今日に限り全部タダ。
アキバの街戦勝会と名付けられたそれは、アイザックたちの〈典災〉への勝利を祝うものであったが、多くの者が、ミナミから経済的な攻撃を受け、これを一旦防ぎ切った事への労いでもある事を知っていた。
「あのアイテムの生産効率を上げたのは俺のアイディアなんだぜぇ!」
「バーカ、それを言うならあの装備を開発したのは俺だっつーの!」
「知ってるよ~、そんなの」
「アタシたちってすごいよねー!」
串焼きと各々のドリンクが入った紙コップを両手に駄弁り合う若者たち。
特設ステージから楽器の音が響く。
激しいロックナンバーに衆目がステージに集まった。
ドラム(本格的なモノに比べ簡素なものだが)を叩いていた若者、互助会代表トウヤが演奏を止め、中央のマイクを取る。
隣には円卓代表、アインス。
「みんな、今日は有難う!」
「アキバの街を守り抜いてくれて、街を預かる代表二人として、感謝の念に堪えない」
「そんな事無いって思ってる人もいるかもしんないけど、そうじゃないって、今回〈典災〉やミナミとの戦いの総指揮を取ってくれた人はそう言ってくれてる。これから、その言葉を伝えるよ」
トウヤはそう言うと、ポケットから紙を取り出し広げた。
『こんにちは。僕は今回の作戦の総指揮を執った者です。
僕は前任者のクラスティさんほど有能では無いので、今回のアキバ防衛線に於いては、たくさんの見落としが有りました。
でもそれでもよかったと思います。
それを沢山みんなに助けてもらえたからです。
皆さんはマーフィーの法則を御存知ですか? 僕らが生まれる前に流行った法則で、〈それが上手く行かない可能性が一つでもあるならば、いずれそれは何であれ上手く行かない〉と言う、少し悲観的な法則です。
この法則は、宇宙にロケットを飛ばすNASAでは最も重要視される法則で、その打ち上げる宇宙船とミッションに、万に一つの組み立てミスも無い様に、何十人、何百人のスタッフが入念にそれぞれの担当する部署のチェックを繰り返し、時に全体のチェックや、より安全にミッションを遂行できるアイディアを出し合うと言うものです。
今回アキバ経済防衛線に於いて、皆さんはまさしくNASAのアストロノーツだったのです。
アイディアを出した人やレギオン戦闘に関わった人は勿論、挫けそうな人を励ましたり、優しい言葉や態度をかけたり、美味しい料理を出して元気付けた人だってそうです。
それは例え僕は勿論、クラスティさんがどれだけ有能でも一人で出来る事ではありません。
どんなに頭が良くても、一人の人間の脳容積には限界が有ります。マーフィーの法則に打ち勝つには、いつだってみんなが必要なんです。
誰もが違う特殊な脳構造を持つみんなが。
誰もが違う特別な強さと優しさを持つみんなが。
ありふれて何気なく見える強さと優しさこそが特殊で特別なんです。
他の誰にも気付けない事に気付けるから、大切にできるから、その人独特の強さと優しさがあるんです。
自分は何の役にも立たなかったと嘆く人もいます。
でも、そんな人を馬鹿にする人もいますが、そんな人を励まそうとする思いで勇気と力を貰った人もいます。自分を無価値だとは思わないで下さい。そして勇気と力を貰った人は、貴方が悔しさをバネに立ち上がってくれれば、もっと勇気と力を貰える事を、どうか忘れないで下さい。
もう一度言います。貴方達は、僕達は、みんなアストロノーツです。
セルデシアと言う星に、アキバと言う宇宙船に乗って来たアストロノーツです。
一人の例外も無く。
アキバに勝利をもたらしたのは貴方だと、どうか胸を張り、その己に恥じる事の無い生き方をしてください。
不出来な総指揮官からの御願いです』
トウヤのそれを読み上げる声は、最後は少し鼻声だった。
「みんなーっ! それじゃあ、銀河系アイドルてとらの新曲をプレゼントするよーっ!」
てとらがトウヤからマイクを奪って陽気にシャウトする。
「曲は五十鈴が、歌詞は〈記録の地平線〉のみんなで作ったナンバーさっ!
タイトルは〈フライング・ソーサー〉っ!!」
♪フライング・ソーサー フライング・ソーサー 自由自在に飛べるなら
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 思いのままに世界を一周
フライング・ソーサー フライング・ソーサー あの星までさえ一っ飛び
頑張っても 赤点スレスレ
努力しても 一回戦負け
結局冴えない僕だけど 夢見る事は自由さ
空飛ぶ円盤乗り込んで 自由自在に空を飛ぶ
フライング・ソーサー フライング・ソーサー あの星ならば僕は勇者
フライング・ソーサー フライング・ソーサー ドラゴンだって退治する
フライング・ソーサー フライング・ソーサー お姫様だって救えるさ♪
その日、アンコールは何度も続いた。
-5-
ノースナイン、ウチュウ遺跡。
「うっひょー、デッケー」
玲央人が軽口を叩く。
「あれがダンジョンボスですね」
武器を構え直すテツロウ。
「ケッ、喰いごたえがあるってもんだ」
「ですね」
いつもの様に不敵なカズ彦とソウジロウ。
「なあシロ、あれ言っちゃいなよ。カナミの代わりにさ」
ナズナが唆す。
シロエはニヤリと笑い返す。
「よーし。じゃあ、みんな、美味しい所に向かって突撃!」
「食い散らかすにゃあ」
「おう!」「がってん!」「よっしゃあ!」「はいっ!」
そして陽気に突撃して行くメンバーたち。
シロエは思う。
まるで〈茶会〉の時のように格好いいメンバーたちだと。
ああ、そうか。
自分はきっと、このセルデシアに来た時と同じ我が儘を持ち続けていたのだ。
格好悪いみんなは見たくない。
アキバのみんなに、〈放蕩者の茶会〉になって欲しかったのだ。
格好いいみんなに。
それはきっと現実の日本でも、地球でも、勝ち組だの負け組だのと別れて、金を持て余して退屈になり暇潰しばかり繰り返す人にも、貧しさにしょぼくれる人にも、そんなのはやめて格好いい人になって欲しかったのだ。
それがどれだけ大それた野望か知っている。
でも、シロエの口は不敵に笑んでいた。
♪頑張っても ノルマに届かない
努力しても 上司と上手く行かない
結局冴えない僕だけど 夢見る事は自由さ
空飛ぶ円盤乗り込んで あの子をデートに誘おう
フライング・ソーサー フライング・ソーサー あの星ならば僕らは勇者
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 一緒に魔王を倒したなら
フライング・ソーサー フライング・ソーサー きっと指輪を贈ろう
金持ちになっても 意外と味気ない
政治家になっても 退屈な仕事ばかり
幼い頃は持っていた 夢見る勇気下さい
世界さえ救えるくらい 夢見る力をみんなに
フライング・ソーサー フライング・ソーサー この星のみんながヒーロー
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 願い祈る歌唄おう
フライング・ソーサー フライング・ソーサー 銀河の果てに届いたなら
フライング・ソーサー フライング・ソーサー みんなの元に帰ろう
大切な人の側で 掛け替え無い人になる
掛け替え無い人の側で 大切な人になる
大切な幸せの 僕と貴女になる
フライング・ソーサー フライング・ソーサー♪
―第20話に続く―
筆者(以下:筆):「今回のテーマは『個人と個性』でーす」
アカツキ(仮名、以下:あ):「うむ。今話の演説の内容にもリンクしているな」
クラスティ(仮名、以下:く):「何で僕は今回この姿と口調で出演なのかね?」
筆:「なんとなく」
く:「せっかく稼いだ親しみやすいニートなヲタクのお兄さんのイメージが」
あ:「めっきは剥がれるものだぞ」
筆:「めっきとばかりも言えないんじゃあ。まあ、どっちが本当の顔かは複雑な所ですよね」
く:「それよりなぜ僕がゲストなんだい?」
筆:「日本の石垣とフリーメーソンの話をもう一度したいからですよ」
く:「ああ。西欧でフリーメーソンスタイルが浸透したのは社会的必然性からだと言う事だね」
あ:「?」
筆:「欧米は基本乾燥した気候(日本に比べて)が多く、結果モノの考え方もドライで、個人主義が基本です。なので個性は『自然に』尊重されますが、社会はその分まとまりに欠けます」
く:「なので『画一的な教育』で平等な技能と社会科学知識を与える事で、人を均一化する事によって、それを補った訳だよ」
筆:「これはまあ、職工ギルド制から始まったもので、特に石工ギルドが建物を作るのに必要な均一な大きさと形の石を作る事から、石工ギルドの名を冠された教育システムとして統合されたわけですね」
あ:「バラバラな人間でも、『学校に通った』という共通体験が有れば、同じ話題で盛り上がり友達になり易いと言う事だな」
く:「例えが微妙にあほですが、まあそんなトコロです」
筆:「このシステムは強力な軍隊を作るのに向いているので、あっという間に世界中に広まりました」
あ:「日本もそうなのか?」
く:「明治維新当時、日本は諸外国と渡り合える強力な軍隊を必要としていたからね」
筆:「さて、日本は本来湿潤な気候で、ものの考え方もウェットです。協調や連帯がモノの考えかたや行動の基本に自然となっていました。なので個性は尊重されにくいので、一休や千利休は仏教の『天上天下唯我独尊』をアレンジした『数寄』と言う概念を広め、人それぞれが異なる個性や考え方や趣味やモノの好みを持っていても、それを尊重しようと言う文化システムを浸透させ、一般的な価値観になっていました」
く:「日本の石垣システムだね」
筆:「ですがまあ、それは明治維新以降の簡易速成の強力な軍隊を作るのには邪魔だったわけですね」
あ:「ひどい話だ」
筆:「もともと日本語には否定の概念が乏しかったのですが、フリーメーソンシステムに必要な個人の規制矯正に必要な否定語が沢山作られ、現在の日本語の元となり、それはGHQの日本語矯正によってさらに加速されたわけです」
く:「だがそれが問題でね。近年の日本経済が立ち遅れているのは、まさにその個性や個人の才能が否定され、独創的なアイディアも否定され枯渇している所為なんだよ。好景気のアメリカの成功要因とはまさしく真逆だね」
筆:「同じ教育システムでも、元の国家風土の土台が個人主義なのと協調主義では、『出る杭は叩く』協調主義である日本の方が、より個性個人が否定されてしまう訳なんですよねえ」
あ:「うむ。よくわからないが、個人と個性と才能を尊重した方が、日本は発展すると言う事だな!」
筆&く:「「そうなんだよねー」」
あ:「ではまた来月」
一同:「「「じゃあっねー!(^^)/」」」