6/7
2-『承』
三学期のある日、娘が高熱を出した。
パートを休んで看病する私に娘は言った。
「きっと悪いことしたから、バチがあたったのわたし」
娘は手のかからないイイコで、イタズラのひとつさえしたことが無い。
「かんなは、悪いことなんかしてないよ。いつもいいこじゃないの」
頭をなでる私にかんなは言う。
「かんなね、パパの嫌いな絵を描いちゃった。その絵をパパに何度も見せたの、褒めてくれるから。でもきっとパパはあの絵が嫌いなの」
私はハッとして思い出した、あの絵とは交通安全で書いたポスターのことだ。でももう半年近く前のこと。
「大丈夫よ、かんなは何も悪くなんかない、あのポスター上手に書けたじゃない、先生も褒めてくれたでしょ? でも、なんでそう思うの? パパがあの絵が嫌いだって」
「だって」
そう言って娘は口をつぐんだ、そして辛そうな顔をしっかり私に向けて、ハッキリと答えた。
「だってママが楽しそうなんだもの、あの絵を見ているパパを、見ているときのママが楽しそうなんだもの」




