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1-『結』

 姉が死んだ。


 交通事故だ。

 当初警察は事故と自殺の両面で捜査すると言っていたが、結局は事故で落ち着いた。

 アオイさんからは妙に感謝されたが、別にあんたの為じゃない。


 俺が殺したようなもんだ。


 結局、姉が何を考えて、何に苦しんでいたかどうかは解らない。


 連絡先を交換したアオイさんからは、姉がよく弟の話をしていて、姉と僕の仲がいいんだろう、と思っていたらしい。とんだお門違いだ。

 姉にとって僕など犬以下なのだ。でないと下着のないスカートの中など見せないだろう。

 僕じゃあ羞恥心など湧かないのだ。

 昔からそうなのだ、姉は。


 雨の夜に、ブレーキランプで赤く染まった地面を見ると姉さんを思い出す。


 姉にかけられたおしっこの匂いを想起させて、鼻の奥がつんとしてたまらない。

 

 だから雨の夜が嫌いだ。


 ブレーキランプが嫌いだ。


 スカートをはいた女性が、嫌いだ。

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