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1-『転』

「もしもし」


 普段より堅い声が僕の口からでた。アオイさんは僕よりずっと慌てている様子で姉のことを聞いてきた。

 とてもじゃないが本当のことは言えない。

 僕に無視された姉は、壁にもたれて膣内を指でなんとかしようとしている。


 僕は何があったのかを訊いた。アオイさんはつっかえながらも説明をしてくれた。その様子は僕の印象どおりで、嘘を言っているようには思えなかった。


 アオイさんの話を要約するとこうだ。

 デートをしてホテルに入った。いざという段階になり、今日はゴム無しでもいいか確認をとって、承諾を得られた。そして外に出すつもりだったが誤って中に出してしまった。

 アオイさんが姉に謝ると、姉は大丈夫だよと言ったらしい。

 その後二人は寝るのだが、アオイさんが起きると姉がいなくなっていたという。

 なるほど、よくある話だと思った。


 ようやく僕の頭も覚めてきていた。


 アオイさんに、大丈夫です解りました。こっちでなんとかしますと伝えると、急いで僕は電話を切った。


 姉はまだ、みっともなく僕のベッドの上に立って、中から出そうとしている。

「せーしが、あの男のせーしをなんとかしてよ」


「うるせぇ! ピルでもなんでも飲めばいいだろうが!」


 僕のベッドに、男の液が落ちるんじゃないか、そう思うと大声が出た。一階の両親を起こしたかもしれない。男に抱かれてきた姉が、その足で僕の聖域に踏み込んだことが頭にきていた。

 僕と似た姉の顔に傷はなく、目に見える範囲では体もきれいなままだ。


 ベッドから姉を引きずりだして、そのまま廊下にほうり出した。

 バッグにスマホを入れて、立ち尽くす姉の足元に投げつけてやった。


 僕は少しだけ後悔している。


 外で大きな音がして、姉が死んだ。

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