第15話 ハマってしまうの
スズメがチュンチュン囀る朝の住宅街。そんな静寂を切り裂くように、2人の人物が走っていく。
ーー俺とスバルである。
「トシ、遅いよ! もっと早く走らないと遅刻だよ」
「はあはあ、そうは言ってもこれが限界って言うか」
「そもそもトシが寝坊したのが悪いんでしょ! さ、もっとキビキビ走る」
はやくもフラフラな俺に対して、流石陸上部、スバルは息切れひとつしていない。
「そ、そんなこと言っても。も、もう限界……」
俺は足を止め、その場にうずくまった。息が苦しいのはもちろん、脇腹が痛い。
スバルは俺の背中をさすりながら、心配そうに言う。
「トシ、大丈夫?」
「はあはあ、だ、大丈夫だけど、もう走れない。お、俺のことはいいから先に行ってくれ」
「親友を見捨てることはできないよ!」
「そんな大げさな。このままだとスバルまで遅刻だぞ」
「それはそうだけど」
スバルはしばらく考えこむと、なにか思い付いたのだろう、目をキラキラさせながらこう言った。
「近道しよう!」
◇
スバルに連れてこられたのは高い塀で囲まれた廃工場だった。使わなくなってかなり年数が経つのだろう、外壁は緑色のツタで覆われ、窓は全て割れていた。なんだか少し怖い雰囲気だ。
「ここを突っ切れば、近道になるよ」
「そうは言っても中に入れないだろ」
「ふふーん、それがそうでもないんだなぁ」
スバルが指指す塀には、穴が空いていた。
「ここから中に入れるんだよ。向こう側にも似たような穴があるから出ることができるし」
「でも……この穴小さくないか?」
頭だけならなんとか通りそうだが、途中で引っかかったらと思うと、ちょっと怖いな。
「大丈夫! ついこの間もこの近道を使ったけど、問題なく通れたよ」
「いや危ないよ。やめとけ」
「へーき、へーき。ほら見てて」
俺の制止も聞かず、スバルは穴をくぐってしまう。
「ほらほら、大丈夫だよ」
「まあスバルは小柄だからな。俺は無理そうだ」
「……あれ」
「どうした?」
「抜けない……」
「えっ」
どうやらお尻が引っかかって出れなくなってしまったらしい。
側から見ると壁からお尻が生えているようでーーうん、なんかエロい!
「だめだ、どうしても抜けない。ねえ、トシ。引っ張ってくれない?」
「えっ」
引っ張る、ってつまりお尻を、だよな。
「いやいやいや、それはちょっと……。流石にまずいって言うか」
「なにがまずいの? ボクがこのままの方がまずいでしょ」
「それはそうだけど。スバルはそれでいいのか?」
「いいに決まってるだろ! だからお願いだよ」
「でも……」
改めてスバルのお尻を見る。チェックのミニスカートに包まれた緩やかな双丘。適度な脂肪が付いたソレは見るからに柔らかそうでーー。
ごくり
俺は思わず生唾を飲み込んだ。
「トシ! 何しているんだよ! 早く押して! 早く、早く」
「わ、わかったよ」
今は緊急事態、仕方ないよな。
ようやく決意した俺は、スバルのお尻に手を伸ばす。
むにゅ
「きゃっ!」
いつものスバルからは考えられない黄色い悲鳴。
思わずお尻から手を離す。
「ごめん」
「だ、大丈夫だよ。いきなり触られたからちょっとびっくりしただけだから」
「そうだよな、ごめん。じゃあ、触るぞ」
「うん」
両手でスバルのお尻を掴む。
スカート越しにも感じる圧倒的肉感。おっぱいより少し固い感じはするが、驚くのはその弾力だ。少し力を抜けば、指が弾かれてしまいそうでーー。
未知の感触に、自分の鼻息が荒くなっていくのを感じた。
「今から引っ張るぞ」
「お願いしまーす」
両手に力を込め、一気に引っ張る。
「弱いよぉ! もっと力を込めて」
「こ、こうか?」
「痛っ、今度は強すぎ! もっと優しくして」
「仕方ないだろ。こういうのははじめてなんだから。お前ももっと動けよ」
「わかったよ。じゃあせーの、で一緒にいくよ」
……なんか滅茶苦茶エロい会話してないか? スバルのお尻を触っているのも相まって、なんか変な気分になってきた。このままだとまずい。早く終わらせなくては!
「「せーの」」
掛け声と共に力を込める。
するとスバルの身体が少しづつ抜け始めたではないか!
「頑張れスバル! もう少しだ」
「う、うん」
さらに強く引っ張る。もう少し、もう少し……。
スポーン!
ついにスバルの身体が抜けた。よかった、無傷とは言えないけど、無事に終わった……。
「やったー!!」
万歳するスバル。しかしその胸元に輝くのは純白のレース。
引っこ抜いた瞬間にボタンが取れてしまったのだろう、ブラウスの前がはだけて下着が丸見えになっているではないか!
もう限界だった。鼻からたらり、と温かいものが垂れてくるのを感じた。
「トシ! 鼻血、鼻血が出てるよ! 早く止めないと」
「そんなことより、お前は前を隠せーー!」
学校には当然遅刻した。




