五大国
現在、国際社会に絶大な影響力を持ち、文化的にも経済的にも地域大国である5つの国がある。大陸島群を支配し、世界一の人口を有するトルパナド朝ブルグムドーマ帝国。最強の海軍を持ち、近代市民革命の発祥地であるエスル連邦、資本主義を発明し、産業革命の発信源であるシャプルル協商国、世界最大の領土を保有し、石油の輸出で巨万の富を有するレーテル会議国、世界一の経済と世界一の文化を有するヴァルステジオス共和国。270ヶ国の中でもこの5ヶ国が人類史に影響を与え続けた。
図:世界地図と五大国
トルパナド朝ブルグムドーマ国(Torpnard Dynasty Brgumdoom):帝国
トルパナド朝ブルグムドーマとは、アルマンダーズ島に首都ネルダーズおく専制君主国である。本島を含む四島と一万を超える諸島、大陸植民地を含んだ広大な領土を保有している。ルヌイ朝時代に、外戚トルパナド=クスキニアが反乱を起こし、ルヌイ朝のダーズから皇帝の地位を簒奪し、現在に至るまで君臨している。海洋貿易が盛んで、世界中に港を保有している。ツンバーバ教が国教であり、『聖山の火山灰が積もった土地は帝国の所有権に帰属する」という「聖灰政策」を歴代の王朝を通じて継承している。強固な身分制度があり、王宮があるアルマンダーズ島、聖山があるマテンフーイ島、エトルホ島、バーリ島に住んでいる人が「一級臣民」、一万の島々に住んでいる人が「第二臣民」、大陸側の植民地や保護国、港都市に住んでいる人々が「第三臣民」、その他多くの労働奴隷は「バズゲ(奴隷階層)」のピラミッド階層に分かれている。ブルグムドーマ語を話し、地域最大の文化大国である。聖山が噴火する際に王朝の統治能力が試され、臣民が多く救済されれば王朝は存続し、逆に不十分だった場合は王朝の権威が失墜している。聖山の噴火が王朝の「革命」を引き起こすことが歴史的に多い。
エスル連邦(Esl Federation):連邦
エスル連邦はアポルーエ大陸にある連邦制の国家である。首都をベーリンに置くアーキス哲学国である。東のオーボ地方と西のベーリン地方に分かれている。オルエント国との「リアート戦争」によって飛び地となっている。封建的だったがベーリン家によって統一、荒縄哲学教王国オルトガサスから独立する「エスル革命戦争」を起こした。近代化を果たしたエスル連邦にオルガサスは統治能力を維持できなくなり、6年の年月を経て完全に独立した。ブルグムドーマ帝国と海洋貿易の勢力を競い合い、「サクマンの海戦」以降、互いの勢力分布を明確にした。のちにブルグムドーマ帝国との貿易を独占したため、シャプルル協商国のテズオス大陸への進出のきっかけとなった。分断された国の統一の為にオルエント国とは臨戦対戦を維持している。アーキス哲学の聖地を保有しており、オルトガサスの安全保障を担保し続ける「ケルプリンス(協約)」を結んでいる。古代オルト文明がかつて存在しており、民主主義・議会制・立法主義の発祥地でもある。先祖はレーテル大陸から移住してきた侵略者エス人であり、原住民であったアポー人を追放した。
シャプルル協商国 (Shapllu Entente):協商国
シャプルル協商国はシャプルル・ギルド連盟が国家統治権を持ち、テルジプラール朝から市民革命を経て立憲君主制国家になった。首都をリンドゥー、王都をバンギーグに置くアーキス哲学国である。アポルーエ大陸の東側にあるテルプアル島に在し、大陸から逃れてきたアポー人が文明を築いてきた。3つに分かれていたがテルジプラール家率いる王国が統一を果たした。エスル連邦とはブルグムドーマ帝国との貿易をめぐって争い「スフェルニンゲンの海戦」以降、海洋貿易の利権をほとんど失ってしまった。エスル連邦とブルグムドーマ帝国との「サクマン条約」のもと、貿易圏のほとんどを支配されてしまったために、直接レーテル会議国との貿易を目指すために「東進」を開始した。そこで偶然見つけたテズオス大陸を発見。一夜にして最大の植民地帝国を築き上げた。植民地から輸入した大量の鉄鉱石や石炭をもとに、軽工業から重工業に移行し、産業革命が起こった。荒縄派の総本山があり、現在の君主は哲教者レグジメデントの子孫である。貿易港町であったシャプルルで宗教指導者の支配から、人民への支配を目指した「シャプルル革命」が勃発し、立憲君主制になった。君主は儀礼的な地位のみ維持されており、選挙で選ばれた首相や政権に権威を付与するという形を行う。
レーテル会議国(Lether Conference State):会議国
レーテル会議国はレーテル大陸の大部分を占め、世界最大の領土面積を誇るメテオリタス教国である。巨大クレータ「ヴォプラチル(大穴)」を保護しており、国民の多くもメテオリタス教徒である。かつて最大の民主主義国家だったが、二度の帝政を経て、ヴレニー率いる「会議」が武力で政権を掌握。のちに「会議革命」と呼ばれる実質一党独裁が発生した。国家最高指導者は「会長」の称号をもち、国の象徴となる。豊富な地下資源を世界中に輸出し、巨額な富を生んでいる。国民はその莫大な利益による福祉の中に生活が組み込まれ、「役員」以外の国民は仕事をする必要はない。ブルグムドーマ帝国とは大陸の宗教覇権をめぐり、長年対立してきたが、経済面では相互不可欠の存在になり、近年急速に接近している。「会議」がメテオリタス教の聖地管轄権を保有し、世界中の信者の巡礼の支援を行っている。国土の北側は凍土に覆われており、作物が育ちにくい気候である。食糧自給率が国土面積と比例して極端に低い為、その大部分を輸入で賄っている。
ヴァルステジオス共和国 (Republic of Valstezios ):共和国
ヴァルステジオス共和国はテズオス大陸の大部分を支配するアーキス哲学国である。ヴァルステジオス共和国の歴史は、先住民ヴァル人が文明を築いてきた「前史時代」、シャプルル協商国の植民地になった「占領時代」、独立戦争で勝利し、共和国を建国した「独立時代」、覇権国家となった「近現代」に大きく分けることができる。レーテル大陸とは前史時代から交流はあったがブルグムドーマ帝国とは現代まで接点がなかった。ヴァル人の文明は太陽を主神とした宗教を信仰していたが、のちにメテオリタス教が支流となっていった。シャプルル協商国の東進によって大陸の大部分を植民地にされたが、文化交流と共に近代化を進め、独立戦争を機にシャプルル協商国とは上下間の主従関係ではなく同盟関係になった。戦争時代後、重工業化と金融業が発達し、重工業製品の輸出も相まって、世界経済に絶大な影響力を持つようになった。占領時代の時に国民の大半が荒縄派アーキス哲学徒になった。ブルグムドーマ帝国とは世界の覇権をめぐって対立している。