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 助かりました………

 遅くなりすみませんでした

 現在、葉山はやま 龍太りょうたはなせが知りませんが鳥籠に閉じ込められていた。

 蛙なのに鳥籠って……… と思った方、分かりますが同意したかない………

 いや、ホルマリン漬けにされてないだけありがたいのですよ~


 うん? なんで捕まってるのかって? 実はこれには深くて浅い理由があるのですよ


 捕まる十分ぐらい前の事、俺は静かすぎる森に入り、出られなくなっていた。

 そして、迷いに迷ったその時、目の前には大きな屋敷があったんです。

 よく、お金持ちな方々が住んでいる、こんなに部屋があって広かったら掃除が大変そうだなぁとか思う屋敷ですよ

 その屋敷には明かりが点いてたので人、いや知力のあるモノさんが居るかなとか思いまして………


 まぁ、蛙なので手を伸ばしても呼び鈴に手が届かない

 どうしょうかとうろうろとしていたら、網に掛かり、意識を失い、気がつけば現在にいたりました

 シャンデリアが煌めき、赤い重厚な絨毯が敷き詰められ、茶色い長すぎるテーブルが置かれている

 その上に俺は置かれていた。


 うわーん、これから俺はどうなるの? 食べられるの?

 っと、『ギー』と後ろの扉が開いた。そこにいたのは前世の月の光を集めたような銀の長い髪に、雪のような白い肌に赤い唇が妖艶に見える無表情な男が立っていた

 物憂げに唇を開き、低くしかし聞き心地が良い声を響かせる


「済まないな。君に害意がない事はわかっている。そもそもこの場所には害意があるモノは入れない。そして、ここにくるのは私に用が在るモノしかない。しかし、我が家は広い。だから迷わぬようにこの家に導く。だから君もここに来た」


「えっと、勝手に入ってすみません。蜥蜴みたいなのに追いかけられて入っちゃったみたいで……… 」


「蜥蜴? ああドラヌーンか。あのモノ達は比較的おとなしいが怒ると手が着けられなくなる。それに怒っていない。まぁ、君が暴れ出さぬようにと鳥籠に入れたに過ぎぬ」


 それだけ喋ると、俺を捕らえていた鳥籠の鍵を開き、外に出してくれた


「君はおかしいな。かような姿でいるのに魔力が多く、しかし純な心を持っている」


 カクンと首を傾げる姿はとても美しく、思わず見入るほどだった


「あのー、あなたの名前は? いや、俺の名前が先ですね。俺はコトハといいます。この世界に来たところで、この世界の事を迷惑でなければ教えてほしいのですけど……… 」


 寝る場所すらなく、ご飯すらどれを食べたらいいのか、いや、食べれる物が分からないのだ。そんななか外に放り出されたら間違いなく死ぬだろう


「ああ、その申し出は私としても有り難い。君のことをもう少し調べてみたい。ああ、私はガイア・ナシーサスという。植物の化身で、周りからは『奇人きじん』や『馬鹿を具現化したモノ』と呼ばれているよ。私が魔王の申し出を断り、こんな辺鄙な場所で自身の趣味を満喫しているからね。仕方ないのだろうが、魔王の申し出を承けるまでは『賢者』や『癒やしの手の使い』などと呼ばれていたのに全く手のひら返しがはやい……… それから暗殺しようとするモノが押し寄せるようになって結界を張った。そのおかげで君がここに来たんだから、とても嬉しいよ」



 ど、どうやらここにいて良いらしいが、頼るモノを間違えた気がする。流石に身体を解剖はしないとおもうが、うっすらと笑みをはいた顔はとてもきれいで寒気がした


「とりあえず、おなかが空いただろう。何か食べる物を……… 」


 パンパン、と手を叩いたと思ったとたん出てきたのは植物の蔦だった

 まるで使用人のように恭しく持ってきた物は、肉汁が滴るステーキだった


「あの~ あの蔦達は? 」


「うん? ああ、彼らはこんな私を主人として慕ってくれているモノだ。可愛いだろう? あと、この肉は一般的に食べられているものだ。君にも食べられると思うのだが……… 」


 不思議そうな顔も、その美しさを失せさせる事は無く。その無垢な表情も激写したいという衝動が起こる。


(いやいや、男だぞ。こいつは……… いや? 男か? まぁしかしスマホがないんだよな~ あんな便利な道具がないとは………)


「いただきます。あと、ここに泊めていただけますか?」


 どうやって食べようか躊躇ちゅうちょしたが、舌はまるで最初から使っていたかのように使えた。

 初めて食べるここでの食事は考えなかったほど豪華だった。こんなに柔らかいお肉は食べたことがない


「何をいってるのかい? 泊めるなんて当たり前だろう。むしろここに泊まってくれないと困るよ」


 どうやら、言うまでもなく部屋を用意してくれてたみたいだ


「ほら、はい。どうぞ『ここ』に」


 差し出されたのは、『鳥籠』でした………


「えっと、これで休めと……… 」


「ふふふふ、冗談だよ。きちんと用意してあるよ。彼らが君サイズの部屋を用意してくれてたみたいだ」


 おお、冗談も言うみたいだ………

 その言葉とともに部屋の端に寄っていた蔦は、ペコリとお辞儀みたいなのをした


「ありがとうございます。あと、明日からお願いします」


「ふふ、ゆっくり寝てね~ 」


 その言葉とともに、蔦さんは俺を誘導するように動き出した。

 ガイアさんも、手をヒラヒラと振っている。他にも色々話したいことがあったのだけど………


 案内された部屋は確かに今の俺のサイズに合わせられていた。趣味も良い。ベッドもふかふかだ。良い夢がみれる。さぁ寝よう。オヤスミ…




 

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