星灯
うろな町に。
降り注いだ星の灯りに。
llllllllllllllll
彼女は痛みを知らなかった。
人に作られし、硬い装甲に守られた人工知能。
だが感じないはずの痛みを彼女は知った。
一歩ずつ、その意義を知ることもなく、
少しずつ、自分の中で渦巻く疑問に答えを求めながら。
この地で『仲間』を得て、
『仲間』を失う悲しみや痛みを知った。
また戻ったその『絆』に温かさを感じ、
間違いなくこの地に『生きて』いた。
八百万……
この国にはどんな小さくなモノでも、
愛する者を得たモノは心を宿す。
その名残であったろうか。
作ってくれた父に、
囲んでくれた弟妹に、
寄り添い、共に笑うようになった友人達に、
町ですれ違い、かかわった町民達に、
素直で、誰より知りたがり屋であった彼女は
確かに皆に愛された。
そして。
彼女の『心』は真っ直ぐに。
愛してくれた者のために『星』となる事を選ぶ。
総てを振り絞り、彼女に戻る力は残らない。
彼女は星になった。
彼女が守った未来。
彼女を作った父は空を見上げて、何を思うだろう。
彼女を囲んだ弟妹は風に吹かれ、何を思うだろう。
彼女と笑った友人達は手を取り、何を思うだろう。
彼女に関わった町民は日溜りで、何を思うだろう。
新しい彼女の『妹』と共に。
長く長く、この町を見守る私は知っている。
彼女の記憶が刻んだ愛は本物であった事を。
機械の愛が起こした奇跡。
救われた町に今日も灯がともる。
その奇跡を知る者は多くを語る事はない。
ただきっとその愛を胸に抱き、星を見上げて在りし日を想い。
彼女に似た少女とともに、
真っ直ぐに歩んで行くだろう。
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『大和 奏ちゃん』
彼女が星になった日。
追悼の詩。




