秋雨
悲しい雨
さあ、雨を……
降らせ続けても、無くなる事のない惨劇に。
自分の中に巣食う恐怖こそ、戦うべきモノなのに。
人間は己と向き合う事なく、自分と違うと言う理由だけで排他する。
もしかしたら隣の少女が急に刃を向けるかも知れない。
だがその刃は愛する者に食事を供し、その暖かな時を築く為に必要なモノだから。
彼女の手から、その権利を奪う事は理に反する。
だが気付かない人間は、自分の中に巣食う恐怖を安心に変える為。
明かりを灯し、森を荒らし、自分にない刃を持つ者を排他する。
もしかしたら、と。
自分の大切な『モノ』を奪われないかと恐怖のあまり。
力の限りを尽くしてそれを犯し、そして殺す。
さあ、雨を……
降らせ続けても、無くなる事のない惨劇に。
雨は大地を叩き、血を拭い去る。
生き物が生きていく為に、喰い喰われる時に流される血。
生きる為に流さざるを得ない血を洗うはずのこの雨は。
いつしか欲望と恐怖によって、奪われた、命を贖い慰めるだけの雨となった。
さあ、雨を……
降らせ続けても、無くなる事のない惨劇に。
『終止符を打つ者』が現れる様にと祈りを込めて。
『神』と呼ばれしモノの末端に類する私は、
ただただ雨を落とすだけ。
彼女の葬儀まで雨を降らしましょう。
私は小さくそう言って、空を見る。
最期の送りの日は。
どうぞ、空よ、彼女がうろなにこぼした微笑の様に。
たくさんの光がこの地に落ちます様に。
寺町 朱穂様『人間どもに不幸を!』10月11日 向日葵の笑顔を受けて、どうしても書きたくなったので、書かせていただきました。
不都合がありましたら削除いたします。お知らせください。
なお葬儀予定日前まで雨の予報でしたので、水羽が悲しんで泣いている設定にさせていただきました。
とにかく悲しくて。
時間が追いつきましたら、こっそり葬儀を見送らせていただきます。