表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

だから彼女にはかなわない。

調理部の恋愛事情:内藤孝介&小野奏

 俺の彼女である小野奏は、涼しげな目元が印象的な外見と男前な性格の持ち主だ。無駄な愛想を振りまかない性格のせいか、俺はよく「内藤は小野のどこがよかったんだ」と聞かれる。

 奏のいいところ?誰がお前らに教えるかっての。笑顔のかわいらしさとか、かわいい雑貨が好きだとか、奏のにぎるおむすびはすごく美味しいとか。ついでにいうなら、一緒に寝たときの相性だって。「小野のどこが」なんていうやつは、そのまま小野の良いところに気づかないでもらいたい。虫は少なければ少ないほどいいのだ。


 奏との待ち合わせ時間まで、中途半端な間があいたので大学内にあるコンビニをぶらぶらすることにした。

『学内のコンビニにいるから』とメールし店内に入ると、店内人気商品ランキングなるものが張り出されているのが目に入った。

 気軽に食べられる中華まんや、弁当に並んでスイーツもランクインしてるのか・・・と見ていると、“急上昇!”と書いてあるスイーツの名前に目が点になってしまった。

-初恋ショコラ・・・あの“ケーキとぼくのキス、どっちがすき?”ってCMのやつか。

 純情(と、お兄ちゃんは思っているのだが)な裕介あたりなら赤くなって目をそらしそうなネーミングだな。駿介は・・・うーん、あいつはパッケージを外して苑子ちゃんに中身だけわたしそうな気がする。

 俺はもちろん、堂々と購入して奏に食べてもらって同じことを聞いてみる。

 今日のデートは、奏の部屋でDVDを見たあとに食事をすることになっているので食後のデザートに購入してみようかな。もちろん、一つだけ。

 俺はなんだか楽しくなってきて、デザートコーナーにまわって残り少なくなっていたこのショコラを購入したのだった。


 奏の部屋で、借りてきたDVDを見ながら夕食を取る。

「ごちそうさまでした。やっぱり孝介の料理は美味しい。」

「奏、デザートの余地はある?」

「デザート?あ、さっきコンビニで買ったやつ?」

「そうそう。今、冷蔵庫から持ってくるから」

 さあ、きみはどんな反応を示してくれるだろう?

 俺はちょっとどきどきしながら、あえてケースから出さずにそのまま奏のところに持っていく。

「これ、店内人気商品ランキング急上昇のスイーツなんだってさ」

 俺が差し出すと、奏は「ふーん、そうなんだ」とあっさり受け取った。

 あれ・・・・?そういう反応は予想外なんだけど、固まるとかないのか?

「どうしたの、孝介」

「いやー、あのさ。そのショコラの名前、見た?」

「ん?これ初恋ショコラでしょ。この間歩実が “噂のやつ買ってきたわよ”と家に遊びに来るときに持ってきたから、二人で食べたもの。すごく濃厚で美味しいのにカロリー控えめなのよね。」

 食べたあと、あのCMで誰のシチュエーションがいいか歩実と盛り上がっちゃってさ~と言いながら奏はケーキを口に運ぶ。

 く、工藤・・・・。あいつは俺の行動が読めるのか?!


「・・・・もしかして、孝介。」

「な、なに?」

 奏は、俺をじっと見た後「ふーん。なるほど。」と言ったあとにショコラを一口食べた。

「うん、美味しい。ねえ、孝介。」

「なに?」

「キスしてもいい?」

「は?」

 そう思った瞬間、奏の唇が近づいた・・・と思ったら、チョコレートの味がする。歯列をなぞって、俺がいつも奏にするようなキスをされた。

 唇が離れると、呆然とする俺に奏が笑いかける。

「ふふっ。私のキスとケーキどっちがいい?」

「えーっと、俺はそのケーキを食べてないから分からないな」

「じゃあ食べてみたら?」

「今はいらない・・・・だけど、食べたいのは別にあるんだけどな」

「明日、朝一で講義があるのよね。」

「・・・・善処します」

 たまには、こういうのも悪くない。ちょっと調子は狂うけど・・・・。


読了ありがとうございました。

誤字脱字、言葉使いの間違いなどがありましたら、お知らせください。

ちょっと感想でも書いちゃおうかなと思ったら、ぜひ書いていただけるとうれしいです!!


「調理部の恋愛事情」主役カップルの話ではなく、ヒーローの兄の話が先に出来てしまいました。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ