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†時空の狭間にて。†  作者: 清水 ミレイ
‡第1章‡
2/11

†1† 堕ちる

 ソラは剣を女に突きつけた。ひぃっ、と女が声をあげる。ソラは冷たい光を瞳に宿しながら言った。


「金は?返せるのか、返せないのか?」


「どうかお許しください・・夫は、病死し・・・・少ない儲けで・・やっと・子供たちを食べさせていけるんです」


ソラは眉をピクリと上げて言った。


「食わせる事ができるのだろう?多少減らしたところで飢えることはない」


そんなっと女が言うのを黙らせた。


「ならお前の子を奴隷市へ出すしかあるまい」


女はそれはおやめください、と言った。


「利子も、とは言わない。貸した金は返せ」


「今・・家には・一銭もありません」


子供達が怯えた表情でこちらをじっと見ている。長男が泣いている小さな妹をあやし、長女が他を落ち着かせようとしていた。二人とも、まだ13にもなってはいないだろう。


「なら命で返してもらおう」


さらに剣を首に近づけた。その瞬間


「やめろーーーっっ!!」


と叫んで長男が手に(ソラの剣の4分の1ほどしかないような)剣を持ち、突っ込んできた。ソラは女を突き飛ばし、自らの剣ではじきかえした。それでも長男は雄たけびを上げて突っ込んでくる。ソラは何度かはじき、彼の手をひねって剣を落とさせた。長男は怒りをこめた目でソラを見上げている。


「なかなか荒削りだがいい度胸だ。名は?」


「・・ノラーン」


「そうか、ノラーン、か・・・。奴隷市に出せば兵士として高額で売れるだろう。借金なんてらくらく返せるほどな」


「やめてっ!」


長女が叫んだ。ノラーンは心配いらないよ、ランナ。大丈夫だよ、と声をかけている。


ついて来い、と強引にノラーンの手を引き、ソラは出ていこうした。しかし、眼前に母親が立ちふさがった。ぶつぶつと古代の言葉を唱えている。


「お前、まさか・・・」


ソラは呟いた。


「時空の民の娘かッッ!!?」


そう叫んだ瞬間、女は呪文を唱え終えた。ぶわっと冷たい竜巻がソラをさらい、白く、白く、白く・・・・・。


ソラはその間に、こんなことを考えていた。リナムは狂ってしまった母さんと残されて、生きていけるのか・・・・・・・?

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