落ち込んで動かない前に
「シャーロット、そんなに食べて大丈夫?すぐ夕御飯なのに……」
「大丈夫です。夕御飯も食べれますから」
いつものおやつの時間から大分遅れて用意されたケーキやフルーツをパクパクと食べるシャーロットにノースが心配そうに声をかける。ケーキと紅茶のおかわりをもらって、美味しそうに食べるシャーロットをクロームがクスクスと笑ってみている
「魔力の維持に、お腹がすくのは仕方ないよ」
「そうね、でも……」
少しお腹いっぱいになってきた頃、シャーロットの側にあるお皿の側にいるリリーがまだ用意された果物を食べずにいるの気づいた
「食べれない?切ってあげる」
フォークとナイフを取り、小さく切られた果物を更に小さく切り分ける。リリーが細かく切られたイチゴを一つ咥えてゆっくりと食べはじめる。いつもと違うリリーに心配しつつも、食べてくれたことにホッと胸を撫で下ろしていると、二人の様子を見ていたクロームがリリーに声をかけた
「君、一人かい?シャーロットに似たあの子はどうしたんだい?」
「……シャロは」
クロームの問いかけに、隣にいるシャーロットに聞こえないほど小さな声で呟く。また細かく切った果物を食べなくなり、心配したシャーロットがノースに声をかける
「お母様、残りはお部屋で食べても良いですか?」
「ええ、もちろん」
ノースが答え、食堂の入り口付近で待機していた家政婦達を呼ぶ。リリーとシャーロットが食べ残したケーキや果物をテキパキとワゴンに乗せる
「リリー、行こう」
椅子から立ち上がり、リリーに手を差し出す。トボトボとゆっくりと歩いて、シャーロットが差し出した手のひらにのり、腕を渡り歩いて肩に飛び乗った。リリーと一緒に一足先に食堂を出て、部屋に向かう。家政婦もケーキや果物を乗せたワゴンを押し後をついていく。食堂の扉が閉まり、カラカラとワゴンを引く音が聞こえなくなると、クロームが持っていたフォークをお皿のふちに置いた
「魔力が無くなって来れなくなったのか。残念だ」
「そうね、シャーロットの友達になれると思ったけれど……。無理そうかしら」
「いや、本当に魔力があるなら大丈夫だよ」
家政婦がおやつの片付けはじめ、クロームとノースも席を立つ。食堂を出て二人が各自、自室に戻ろうと、会話をしながら廊下を歩いていると、シャーロットの部屋のある方から騒がしい声が聞こえてきて、二人顔を見合わせ、フフッと笑った
「なにしているの?」
シャーロットが部屋に戻り、ケーキや果物をワゴンを運んできた家政婦達が居なくなるとすぐ、服についているポケットに果物を入れはじめた。急いでポケットに入れているため、果物がゴロゴロと床に落ちる
「助けてほしいんでしょ?助けるために、少しは足しになるかもしれないから」
そう言いながら床に落ちた果物を拾い、テーブルにいるリリーの隣に置く。沢山ポケットに入れた果物の重さのせいで少しバランスを崩しながらも部屋の窓辺に足をかけ、暗くなっていた空を見上げ、雲に少し隠れた満月を見る。テーブルの上でまたシャロを思いだし、しょんぼりして動かないリリーに気づいて、手を差し出した
「ほら、夕ご飯までには帰ってこないといけないんだから、落ち込んでいる暇なんかない」




