夜風が吹いて
「練習ってちゃんと私は頑張っているのに……」
魔術書の上に置かれたウサギのぬいぐるみを手に取り、テーブルの上に置き直すと、今度は魔術書を取ってテーブルから少し離れ、右肩に乗ってきたリリーと一緒に魔術書を読む
「もう一度、こうやって……」
魔術書を左手に持ち、右手はウサギのぬいぐるみに向けて手を向け、眉間にシワを寄せ、集中するシャーロット。一方、リリーは首を伸ばし少しアクビをする。急に静かになったシャーロットの部屋には、コツコツと時間を刻む時計の音と、シャロが開けっぱなしにした窓を、風が小さくカタカタと鳴らす。しばらくすると、突然ウサギのぬいぐるみがコロンと倒れテーブルから落ちた
「えっ?今……私……」
「違うよ、風で動いただけだよ」
「ああ……そう」
喜びもつかの間、リリーにすぐ否定されて落ち込みながら倒れたウサギのぬいぐるみを拾い椅子に置く。開いてた窓も閉めて、ふぅ。と一つため息をつくと、いつの間にか肩に乗っていたはずのリリーがテーブルの上に移動して、椅子に座るウサギのぬいぐるみを見ていた
「ところで一緒に腹ごしらえに行かなくてもいいの?」
少しだけカーテンを閉じながらリリーに問いかける。シャーロットに聞かれたリリーは、左肩に飛び乗り、体を少し左右に揺らす
「うん、ここでご飯食べたいから待ってるよ」
「そう……。ご飯はどうしてもなのね」
「それに、何となくシャロは今、一人の方が良くなさそうだったからね」
「そうなの?へんなの」
リリーの話に適当に返事をして、シャロが座っていた椅子にシャーロットが座る。また魔術書を手に取り、パラパラとページをめくり、リリーはテーブルの上に止まり、首を伸ばして背伸びをした
一方その頃、シャーロットの部屋から外に出たシャロは、ディオロイ城の屋根の上で空を見上げていた。雲の隙間なら少しかけた月を見ていた。夜風に当たって少し目を閉じると、雲が動いて、月が隠れ辺りはほんの少し暗くなり、町から見える明かりが
見えた。シャロがもう一度、空を見上げると雲が広がり、ポツリと雨粒が頬についた
「まあこの世界も悪くないけれど、よく雨が降るからちょっと嫌いだね」




