魔術を見届けて
「このクッキー、美味しいね。シャロ」
「そうだね。ちょっと甘めでいい感じ」
シャーロットの部屋で、窓から聞こえる雨音を聞きながら、シャロとリリーがメアリから貰ったクッキーを食べている。パクパクと食べ続けていると、ベッドに寝転がりメアリから貰った魔術書を読んでいたシャーロットが気づいて起き上がった
「ちょっと、それは私が貰ったのよ。残しておいてよ」
怒りながらシャロとリリーの元に向かう。シャロがクッキーを食べながら、一緒に持ってきたシャーロットの魔術書を見て奪い取った
「あなたには簡単すぎるでしょ。返して」
シャーロットの言葉を無視して、パラパラとページをめくる。すぐにパタンと魔術書を閉じてシャーロットに返すように差し出した
「とてもいい魔術書だね。これは参考になるね」
「そうなの?良かった」
「この本を書いた魔術師は誰?」
シャロに聞かれて魔術書を取り表紙を見る。表紙にメアリと書かれた文字を見て、目を開いて驚いた
「メアリさんだ。あの魔術書のお店の人だよ」
ぎゅっと魔術書を抱きしめる。シャロも腕の隙間から見える表紙を見てメアリから貰ったクッキーを食べた
「一日でそんなにもボロボロになるほど読んだんなら、一つや二つもう使えるでしょ、使ってみてよ」
シャロにそう言われてまた表紙を見つめると、魔術をパラパラとページをめくりだした。クッキーを食べ終えたリリーがシャロの肩に乗り、シャーロットを見ていると、魔術書のページを開いたままテーブルに置いた
「これにも書かれている、それじゃメアリさんが使っていた魔術を使ってみるわ」
そう言うと、テーブルから離れ部屋の真ん中付近に立つシャーロット。シャロが座る椅子の向かいにある椅子に置かれた小さなウサギのぬいぐるみを睨むように見て人差し指をぬいぐるみに向けた
「メアリさんが使っていた魔術って?」
「飛行の魔術だね。雨が降る前にお洗濯物を取っていたよ」
「飛行ねぇ。それは中々面倒な……」
シャーロットが開いたページを押さえながら魔術書を取る。ページに書かれた内容と一人ブツブツと唱えるシャーロットと見比べながら、向かいの椅子にあるウサギのぬいぐるみが浮かぶかどうか、リリーとクッキーを分けあって見届ける
「疲れたわ……」
「やっぱり、ダメそうだね」
数分後、椅子から動かないままウサギのぬいぐるみに、疲れたシャーロットがペタンと床に座り込む。シャロが魔術書をパタンと閉じテーブルに置くと、ウサギのぬいぐるみが独りでに浮かんで、そのままテーブルにある魔術書まで移動し、表紙の上に止まり、シャロの魔術を見て、少しムッと怒った顔をしているシャーロットを見てフフッと笑った
「まあ、ここにある魔術書よりも良いから魔力が少しあれば、いつかは魔術が使えるようになるかもね」




