ちょっと一息
「これは、どういうことなの?」
書庫から部屋に戻ったシャーロット。ベッドで書庫から持ってきた本を読み、髪をグシャグシャに掻き分け、本を枕の上に投げるように置いた。頬を膨らませ何度も顔を横に振り、気持ちを落ち着かせようと、ふぅ。と深呼吸をした
「もー!ただでさえ、簡単な魔術すら使えないのに!」
本の内容を思い出し、結局少しイラついて叫ぶ。本に背を向けるように体を動かし横になる。休もうとぎゅっと強く目を閉じるが、すぐに起きて枕の上に置いた本を見た
「だいたい、見たことのない文字に魔術ってなんなのよ」
そう言いながら本を手に取り、適当に開いたページを読んで、書かれた文字の上を指でなぞる
「本当にこの魔術を使ったのかしら?でも」
一人呟きながら、本を読み進めていく。最後のページまで読んで閉じた時、部屋の扉がコンコンと叩かれ家政婦がティーポット等を乗せたワゴンを運んで部屋にはいってきた
「シャーロット様、お飲み物を用意しました」
窓際にあるテーブルにティーカップを置き、テキパキと紅茶の用意をする。暖かい紅茶がティーカップに注がれると、ベッドにいたシャーロットが本を持ったままテーブルまで移動する。目の前に紅茶が置かれると、他の家政婦が遅れておやつを持ってきた。本をテーブルの上に置き、テーブルにおやつが並べられてくいくのを見ながら紅茶を一口ゆっくりと飲み、ふと少し手の開いた家政婦に声をかけた
「ねえ、みんなは魔法を使えるの?」
「ええ、全員魔術師までとは言えませんが、ある程度は可能です」
「じゃあ、この本に書かれたのも分かる?使えるの?」
「いえ、私たちではとても……」
「そうよね。魔方陣なんてもう……」
差し出されたおやつのケーキを見ながら、ため息をつく。ケーキを食べようとフォークを持った時、ふわりとそよ風が吹いて、テーブルに置いた本のページがめくられる。窓を閉めようと椅子から立ち上がり、外を見た時、見覚えのある白い鳥が一瞬、横切って飛んでいった
「どうしましたか?」
「いえ、なんでもないわ。紅茶、ありがとう」
椅子に座り直し、フォークを持ち直しケーキを食べようとすると、また見覚えのある白い鳥が窓の外で飛んでいるのが見える。気にせずケーキを食べていると、何度も通る鳥に気づいていないのか、家政婦達もテキパキと片付けをはじめ、たくさんのおやつは残したまま、部屋の入り口でシャーロットにお辞儀をした
「では。また何かあればすぐに呼んでくださいね」




