寒さが戻る前に
「なんだか疲れたわ……」
広い湯船に浸かるシャーロットが一人呟きながら、はぁ。とため息をつく。一人きりの静かなお風呂場に、窓の外からまだ雨音が聞こえてきて、ぎゅっと目を閉じた
「魔術師はああやって魔術を使うのね」
と、稽古場でシャロが雨を降らせた時の事を思い出し顔に水をバシャンとかけた
「のぼせる前に出ましょう」
と、また一人呟いて湯船から出ると、暖まった体をまた冷やさないように、脱衣場に用意されていた、ふかふかなタオルを手に取り体を拭いた
「変わったところは?」
一方その頃、稽古場に来たクロームが先に様子を見に来ていた魔術師に声をかけていた。声をかけられた魔術師が稽古場にいた他の人達に振り向く。クロームの返事に答えるように、何名か顔を横に振り向き、声をかけられた魔術師も数回顔を横に降る
「いえ、特に変化は見られません」
「魔力や魔術は?」
「いえ、それも……」
魔術師の返事を聞いたクロームが稽古場に入り、稽古場の中を見渡す。クロームが見ても特に変わった様子の無い稽古場に顎に手を当てた
「なるほど魔術じゃなかったか」
「魔術ですか?」
「ああ、今日の天気は魔術かと思ったんだが……」
「天気をですか?」
クロームの話しに魔術師達が稽古場から出て空を見上げると、朝から太陽が見えず、時間が分からなくなる程、まだ雨が降り続いていた
「不可能かね?」
「いえ、不可能ではないですが……」
クロームも他の魔術師と共に稽古場から出て、降り続く雨のせいで稽古場よりも少し冷えた庭を傘を指しながら歩く
「晴れている場所があるな」
と、クロームが空を指を差す。魔術師達も指差す先を見ると、ディオロイ城から少し離れた場所に、一部分だけ雲から日差しが差していた
「あの場所は村の方ですね」
魔術師がそう言うと、クロームが一瞬フフッと笑い、近くで空を見ていた魔術師がいる方に振り向いた
「ノースにお願いできるかい?シャーロットの部屋にリンゴだけでなく、紅茶も用意しておくようにと」




