雨を切り裂いて
シャーロットがノースと着替えをして、朝御飯に向かう頃、散歩から帰ってきていたシャロが家のリビングでのんびりと本を読んでいた。静かなリビングにページをめくる音が微かに響く。テーブルに置いていた暖かいお茶を飲もうと本をテーブルに置き、お茶が入ったコップに手を伸ばし、ふう。と一息かけて一口飲む。椅子にもたれ、少し休もうと目を閉じるとお腹の上に置いた両手に急に重みを感じた
「シャロ、ただいま」
聞き覚えのある声が聞こえて、閉じてた目をゆっくりと開ける。手の甲の上でリリーが少し濡れた羽の毛繕いをしていた
「お帰り。こんな雨の中、どこに行っていたの?」
「おやつを貰いに。でも貰えなかった」
「そうなの?なんで?」
「雨が降ってたから、窓が閉じてたの」
「閉じてても、リリーなら入れるでしょ?」
「そうだけど、雨降っているから」
毛繕いを終えたリリーがそう返事をすると、テーブルに移動し、シャロがさっきまで読んでいた本に気づいて飛び乗った
「シャロこそまた本を読んでたの?」
「そう。読んでも良いって許可貰った。一応、もう燃えて消えないらしいよ」
「あれ?断わらなかったの?」
「まだ。どうせなら、なるべく魔術を知ってから断らないともったいないからね」
「でも書いてあるの、ほとんど知っていたよね」
「たまに知らないのはあるよ。本当たまにね」
コップに少し残っていたお茶を飲み干し、椅子から立ち上がる。リリーも少し羽を広げシャロの肩に飛び乗った
「そうなの?例えば?」
「この世界のリンゴっていうのが美味しいらしいよ」
キッチンにコップを持っていきながらリリーの質問に答えると、話しに興味を持ったリリーがちょっとシャロの頬に近づいた
「リンゴ?美味しいの?食べたことあるかな?」
「本で見た感じ、食べたことがないかもね、食べに行ってみる?」
「行きたいけれど、雨だよ」
コップを片付け終え、キッチンから出て玄関に向かう。扉の向こうから雨音が聞こえてリリーが濡れないように更にシャロの頬に近づく。シャロが扉を開け、大雨が降り続ける空を見上げると、雲が段々と広がり晴れはじめ、雨に打たれ濡れていた地面も乾いて、玄関にいたシャロがリリーを肩に乗せたまま一歩外に出た
「雨なんて、魔術で晴れさせちゃえばいいんだよ」




