木漏れ日の風から
一方その頃、牢屋から逃げ出したシャロは牢屋の隣にある書庫にいた。シャーロットに似せた白く長い髪を解き、ふぅ。と一つ深呼吸をしてゆっくりと目を閉じた
「ここもわざわざ読まれないようにしている……」
書庫の雰囲気と本の魔力に少し嫌悪感を抱きながら書庫の奥へと進む。掃除が行き届いているのか、机の上には埃一つ見当たらない。数冊の本が置かれたままの机の上にある小さな小窓から風と日の光が入り、机に置かれた本のページがパラパラとめくられ、見ないように目を背けつつ日の光を頼りに本棚を見る。本棚の本もあまり見ないように見渡していると、小窓から入る光が急に無くなり、書庫がまた少し薄暗くなった
「シャロ、見つけた」
小窓からリリーが袋を咥えて入ってきた。机の上に袋を置くと、シャロの右肩に飛び乗った
「リリー、どこにいたの?」
「ご飯を貰いにいってたの。一緒に食べよう」
「ここではダメだよ。別の場所に行こうか」
「もうここから離れるの?」
「いや、ご飯を食べる場所に行くだけだよ」
「良かった。じゃあ、急いで出よう」
シャロがリリーが持ってきた袋を持ち、袋を開いて中を見る
「何をもらってきたの?」
「朝ごはんのサンドイッチかな?」
背後から突然聞こえた声に驚き振り向く。書庫の入り口から、コツコツと歩く足音とが近づいてくる。小窓から入る日の光が近づく足元を照らし、仄かに見えていた人影が光で現れる
「それはシャーロットが好きな具材が入ったサンドイッチだね」
クロームがシャロが持つ袋を見てニコリと微笑む。それを見てリリーがシャロにちょっとだけ一歩近づく
「君の使い魔か。魔力がとても素晴らしい。でも、維持するのは大変そうだね。食事で維持しているのも、とても面白いよ」
リリーを見てまた微笑むクロームに、リリーが隠れるようにもっとシャロに近づいて頬に触れる
「早く逃げよう」
「本の魔力と結界で逃げられない。無理」
静かな書庫の中では、ヒソヒソと話す二人の会話がクロームまで聞こえて、クロームがパチンと指を鳴らす。その瞬間、シャロが書庫に感じていた嫌悪感が無くなり、シャロが顔を上げクロームを見ると、クロームは二人から背を向け一歩書庫の入り口方に歩くと、少し振り返った
「サンドイッチとは別に食事を用意しよう。その代わり、お願い聞いてくれるかい?」




