会えたら微笑んで
「本当にすぐ戻ってきた……」
リリーにディオロイ城の稽古場に戻されたシャーロット。ほんの一瞬前まで両手に持っていたはずのクレープはなぜな無くなっていた
「じゃあまた後でね」
「えっ、どこ行くの?」
「シャロのところ」
と、リリーと稽古場の真ん中で話しているとシャーロットを見つけた家政婦達が大慌てで稽古場に入ってきた
「シャーロット様!」
「良かった。探していたのですよ」
「どこにいたのですか?お怪我はありませんか?なにか……」
シャーロットを囲うように家政婦達が集まる。あちこちから聞こえる話を聞こうとあたふたとしているその隙にリリーが稽古場から逃げだした
「なんなのよ、みんな矢継ぎ早に……」
「不審者がまた入ったんですよ、それでみんな心配して探していたんですよ」
「探していたの?私はずっと稽古場にいたわよ」
「えっ、でも……」
シャーロットの返事に家政婦達が首をかしげ顔を見合わせる。家政婦達の様子にシャーロットが笑って誤魔化そうとしていると、稽古場の入り口がまた騒がしくなり、次々に魔術師達が入ってきた
「シャーロット」
「お父様!」
一番最後に稽古場に入ったクロームがシャーロットを呼ぶ。声に気づいたシャーロットがクロームの姿を見て嬉しそうに駆け寄る
「お父様、帰っていたのですね!」
「ああ。少し時間が空いてね。シャーロット、怪我はしてないかい?」
「ええ、もちろんです」
「剣術の練習も素敵だけど、魔術の方の練習もしているかい?」
「いえ、それは……その……私は」
クロームの質問に元気だったシャーロットの声が辿々しくなり、返事に困っているとクロームの側にいた家政婦がそっと声をかけた
「クローム様、お時間が……」
家政婦がそう言うと、クロームが一度頷いてシャーロットにまた話しかける
「シャーロット、僕達はもう仕事に向かわないと行けないんだ」
「分かっています。不審者は私の剣術で倒しておきます。安心してください」
「それはとても心強いね」
素振りする真似をしながら言うシャーロットの言葉にクロームがフフッとまた笑い、入り口の方へと向かっていく。稽古場から去り際に少し振り向きシャーロットを見る。家政婦達に囲まれあれこれ質問をまたされて困っている姿を見た後、近くにいた魔術師を呼び、シャーロットに聞こえないように小声で話しかけた
「僕達のどちらかが帰ってくるまでシャーロットを見張っているように」




