ここに残したもの
「リリー、準備はいい?」
「いつでもいいよ、早く帰ろう」
台所や食堂から食べ物を探し終えたシャロとリリーがシャーロットの部屋の窓の側にいた。食べ物がたくさん入った袋を床に置き、ふぅ。と一つ息を吐き、リリーがシャロの右肩に乗る。シャロが部屋の窓に触れ、鍵が開いているのを確認した後、扉を開けようとゆっくりと押す。外側に向けて開くはずの窓は開かず、今度は、はぁ。とため息をついた
「ここもダメか」
「やっぱり結界が張られているね」
リリーが窓に近づいて、少し窓をつつく。窓が一瞬ほんの少し開いてすぐにバタンと勢いよく閉じた
「やっぱりリリーだけでもダメか」
「シャロの髪形また変えて玄関から出る?」
「いや、誰かに会った時に術を解かれるかもしれないから」
二人で悩んでいると、バタバタと騒がしい足音がシャーロットの部屋の前まで聞こえてきた
「仕方ない。リリー」
「シャロも一緒に後で謝ろうね」
そうリリーが返事をすると、シャロが窓にまた触れ、リリーがシャロの背後に隠れると、窓に触れる指先にぐっと力を込め開いている手のひらを拳に変えて窓を強く押した瞬間、ガシャンと窓が割れる音と共に天井近くまである大きな窓が粉々に砕けた
「これは……」
窓が割れた音を聞いた人達が次々とシャーロットの部屋に駆け寄り、部屋を空けるとカーテンが揺れ粉々に砕けた窓を見て呆然としている。恐る恐る中に入りシャーロットがいるか確認していると、少し遅れてきたクロームが割れた窓に近づいて外を見た
「術の気配は?」
「ありません。かなりの術者だと思われます」
「僕も痕跡が分からないから、中々だね」
クロームが困ったように笑いながら窓に向けて手をかざす。シャロが粉々に壊した窓がクロームの周りに集まり元の窓に戻し、その様子を見ていた術師達の方に振り向いた
「シャーロットはいましたか?」
「いえ、この部屋には見当たりません……」
「ではシャーロットの捜索を優先に」
「了解しました」
「ノースにも一応連絡を」
「すぐに」
クローム以外の人が部屋から出ると、窓の側にあるテーブルの下に一つ果物が落ちているのに気づいたクローム。果物を取り、果物を見つめながらまた困ったようにフフッと笑った
「なるほど……。これでシャーロットも魔術が使えるようになるだろうか」




