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幻想奇譚

それはショートケーキの如く

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ケーキ四個食いしたら、鼻から抜ける匂いも勿論美味しい。

そしてぽよぽよしていたら、洋館の匂いに気が付きました。

――此処は、○○の改札口ではありません。

その文言に気が付いたのは、丁度、私が改札を通過致すときで御座いました。生クリームの甘さに酔い知れて、通る改札を間違えてしまいました。

私の旅路では非常に良くある事で御座います故に、行き先を変更致します。えぇ、元より夢想していた、洋館でも……。


あらゆる出版社を超えた先、急な坂道を登った先に、その洋館は御座います。今まで見てきた洋館と同じ匂いのするその場所は、初めて訪れる場所にも関わらず、何だか懐かしさも感じます。

入口を抜けたその先のサンテラス。破格のお許しのその言葉に目を向きながら、私は中庭へと足を踏み入れました。

青い芝生の海を超えた先に、まだ咲き始め手前の花壇が紅葉しております。何となく視線を回すと、西洋の泉のようなその場所に、青い女性が静かに腰を掛けておりました。

聞こえるのは風の音、鳥の囀り、そして時折、鯉が跳ねる水音だけで御座います。

幾つか洋館の庭園を眺めて参りましたが、その中でも一位、二位を争うような完成された世界。夢にまで見た光景で御座います。

青い香りに身を委ねながら、また、サンテラスに戻った時のこと。ふと、甘い香りが鼻腔を擽ります。何だか懐かしいような。甘いような。兎にも角にも、何処かで戯れた様な香りなのです。はて、この香りの正体は……?

そんな事を考えながら、革張りの木椅子に腰かけます。例え曇りであっても、淡いクリーム色のベンチや、天鵞絨(びろうど)の椅子が損なわれる事はなく、寧ろ柔い光沢を持って視線に届くのです。

あぁ、無理難題を承知では御座いますが、本日戴いたケーキを此処で戴く事が出来たのならば、どれだけ良いでしょうか……?

そう思った時に、この香りの正体に気が付いたのです。これはきっと、本日戴いたショートケーキと同じ香り。甘く、懐かしく、昔ながらの香り。それは例え対象が異なっても変わる事は無いのだと。

中庭にまでこの香りが届く事は御座いません。季節と共に香りを変えるのが外の醍醐味で御座います。あぁけれども、洋館の中はこんなにも懐かしい。

骨董品店がある街は、私の好意が五割上がります。

「お邪魔しまーす」

言えるメンタルも経済力もないんですけどね。


ケーキ四個食いした人間なので、鼻から抜ける香りも勿論甘いです。

『ふひひ。二度美味しい。暫くはずっと頭洋菓子だぞ〜』

とか思っていたら、改札間違えました。

変人の末路です。

行き先変更です。良くある事です。


そこで嗅いだ匂いが、純喫茶の匂いのそれで、ただただ美味しい。そして懐かしい。

昔ながらのショートケーキあるじゃないですか。

あの匂いなんです。


昔に建てられた洋館の匂いって、色褪せないんだなと思って感動した話。


トイレが可愛いんですよ。その時代のそれで。

はしゃいで水を出しました。ちゃんと出ることに感動して内心拳を握り締めました。

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