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ゆきだるまとシマエナガ  作者: 鈴音あき
1/4

勢いだけで書いてます。

拙い文章をお許しください。

真冬の大地に誰が作ったのか分からない雪だるまが、一つだけ、ポツンと出来ていた。


自分を作ったのかは、雪だるまも知らない。


自分を作ってくれた存在に、夢を見た。


誰が自分の身体を作ってくれたのか、誰が自分の頭を載せたのか、誰が自分に魂を入れたのか、分からなくて、雪だるまはこの真冬の中、動けないでいた。


だが、春が来る前に、身体が融けてしまう時に、製作者が現れた。


小さな小さな小鳥だった。


作られては融けて、また雪が降り積もり、作られては融けての繰り返しの中で、その小鳥は孤独で寂しくて、友達が欲しくて魔法を使って雪だるまを作る。


小さな小鳥は雪だるまを作ると魔力が無くなり、その反動で雪だるまを作った記憶を無くすのだ。


そしてまた魔力が溜まってくると寂しさを覚え雪だるまを作る、もう数十年間もその繰り返し。


雪だるまは小さな小鳥に問いかけた。


『あなたはなぜ僕をつくるの?』


すると小鳥は雪だるまの正面に降り立ち答えた。


「寂しいから」


雪だるまはまた話しかける。


『僕も寂しいよ』


小鳥はまた答える。


「そうなの?」


『僕と一緒にいてほしい。どこにも行かないで。一人はいやだよ……』


雪だるまは泣きだしてしまった。


その涙はポロポロと氷となって零れ落ちる。


「そうなの? じゃあ、一緒にいよう」


小鳥は小首をかしげて氷の涙を眺める。


『あなたは何者?』


雪だるまの流した涙を突く小鳥にまた問いかける。


「私は雪の妖精。シマエナガって名前だよ。君は?」


『僕には名前がないの……』


しょんぼりとした雪だるまの心を感じ取った小鳥は驚いた。


「そうだったのか。私はきっと君を魔法で作った後に記憶を無くしてしまっていたんだね。ごめんね。一人ぼっちにしてしまっていて」


小鳥は雪だるまに謝った。


それからは二人は雪が融けて春になるまで一緒にいる事にした。



……という夢をみて、僕は涙を流していた。


真っ白な極寒の世界で、白い雪だるまとふわふわなシマエナガがぽつんと、曇天の下の平原の真ん中で寂しい場所だけど、二人の寂しかった世界が暖かくなった心を感じ取って、雪だるまになっていた僕は目覚めた。


ここは?


目を開けた僕の、見えた世界は白い天井らしい。


ぼんやりと焦点の合わない視界を彷徨わせていると、かすかに物音が聞こえて何かが近づいてくる。


「朔くん!?」


女の人の声が聞こえた。


「朔くん、分かりますか?」


朔とは、僕の名前だ。


声が聞こえた方に目を向けるとぼやけてはいるけど、白服の人が慌てた様子で僕が寝ているベッドの周りで動き回っている。


「…ん……」


僕は呼ばれて返事をしたけど、うめき声にしかならなかった。


「良かった。お医者さん呼びますからね」


そう言って、ナースコールのボタンをカチカチと鳴らしている音がする。


暫くするとパタパタと足音が聞こえて数人の白衣の人がやってきたようだ。


僕はまだ焦点の定まらない世界で何が起こっているのかを考えてみる。


お医者さんを呼ぶ、白い集団が来た、ここは病院。


それは分かった。


なぜ僕が病院にいるのだろう?


そして巧く身体が動かせないのはなぜだろう?


「日高朔くん、喋れますか?」


今度は男性の声が聞こえて僕は僅かに頷いたと思う。


頭も重い。


「……う」


声を出そうと思ったけど、言葉にならなくて顔を顰めた。


「あぁ、喋らなくても良いよ。ごめんね。君は交通事故に巻き込まて重傷を負ったんだから、無理はしないで」


男の人の声は慌てた声で止めた。


「…………?」


そうなの?


瞬きをゆっくりと繰り返して僕は記憶の中を探る。


僕は日高朔。


小学五年生、マンガが好き、工作が得意、走るのはちょっと苦手。


お父さんとお母さんと猫のマロン(僕の弟分)がいる。


「事故の事は覚えているかな?」


お医者さんが僕に訪ねてくる。


……事故?


どうなってるの? ええーっと。


あぁ、そういえば、お母さんと買い物に行って、荷物を持たされて重くて文句を言ってて、バス停まで歩いてたら……?


お母さんが急に「朔!」って叫んで抱き着いてきたんだ。


そこで、分からなくなった。


微かに眉をひそめる僕をみたお医者さんが説明してくれた。


「朔くんは交通事故にあって、救急車でこの病院に運ばれたんだ。それが一年前の出来事だ」


え? なにそれ。


分からない。一年前?


僕の表情を見てお医者さんはゆっくりと説明してくれたけど、理解が追い付かなかった。


お医者さんが言うには、僕は一年間ずっと事故の所為で眠り続けていたということ。


お父さんは仕事でいないこと。


もう連絡していてすぐに駆けつけてくれているらしい。


僕の身体は全身打撲と数か所の骨折、頭を強打した事による脳挫傷をおこし、手術をした。


一命を取り留めることは出来たけど、どんな後遺症が現れるのか、回復率がどうのとかいろいろ聞かされた。


事故にあった僕が両手両足があって、生きているのは奇跡のような出来事だというのも知った。


でも、何度も瞬きしてみても目はぼやけていて見えにくい。


気になって仕方ない。


お医者さんっぽい人が近くにいても目の前が白い霧に遮られていて、しかめっ面にしても顔がよく見えず、両目が黒くぼやけてしまう。


おじさんなお医者さんなのか、お兄さんのような若いお医者さんなのか、声だけでは分からない。


僕を観察していたお医者さんだろう人が、聞いてくる。


「朔くん、喋るのが辛そうだから、瞬きで返事をしてくれるかい? YESとかOKとか分かったら瞬きを一回、ゆっくりと。NOとか分からない時や困っている時は二回。いいかい?」


僕は瞬きを一度する。


「オッケー。じゃあ、君の身体をいろいろ触るよ?」


うん。


僕は瞬き一回。


「足を触るよ?……触っているのが分かったら瞬きしてくれ」


そう言われて直ぐにつま先をツンツンと突かれていることが分かったのでお医者さんに伝えた。


ギュッと強めに押されたので今度は僕も出来る限り力強く瞼を閉じた。


「お? 痛かったかな……ごめんね。触る場所を変えていくよ?」


僕は瞬き一回。


お医者さんは片足ずつ順番につま先から足首、ふくらはぎ、ひざ、太股と、くまなく触っていく。


僕もどんどん答えていく。


「次はどこを触ってあげようか?」


僕は瞬きしかけたけど、お医者さんのフヘへという気味の悪い笑い声にびっくりして息をのんでしまって、びくりと眉が動く。


「ちょっと先生? 朔くんが目覚めてくれたのが嬉しいのは分かりますけど、ヘンな発言はやめてくださいよ。朔くん怯えてしまって可哀相じゃないですか」


「あ、バレた。こほん。まじめにやりますよ。大丈夫。ちゃんとまじめにやってるから! 両足は奇麗に回復してる!」


僕はお医者さんに遊ばれているの?


あれ? 右手の小指の先に感触があった。


僕は瞬きをする。


「おぉ、朔くん、優秀だね。そう右手を触ったんだよ。それじゃ、どんどん触るよー」


瞬き一回。


お医者さんは嬉しそうに緩急つけて指を一本ずつ確かめていく。


それから全身を、……本当に全身触られて、わき腹を擽られそうになって困ってしまった。


なんども瞬きをして頑張ってうめき声を出していたら女の人が気づいてくれて、お医者さんは怒られた。


「一年間寝たきりだったから、筋力が無くなっていて手足が動かせないだろうけど、頑張ってリハビリすれば、またちゃんと歩けるようになるんだけど……」


お医者さんの声が途中から暗い感じになった?


「ねえ、朔くん。きみ、目が見えてないんじゃない?」


お医者さんの問いかけに僕は瞬き一回。


「…………そっか」


「えっ」


「頭部強打の影響で視力が落ちてしまうことがあるから、もしかしたらと思ったんだ」


瞬き一回。


「ふぅ。……疲れてないかい? 目覚めたばかりで、目も見えてない中医者とはいえ、知らない人に体中触られてびっくりしただろうし怖かったと思う。休憩にしよう。なんなら眠ってしまっても良いよ」


瞬き一回。


そして僕は今度は目を閉じて休憩しようと思ったら、本当に眠ってしまったようだ。


想像を絶するような辛いできごとを表現しきれません。


表現力が乏しく申し訳ございません。

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