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それとほぼ同時刻、中央区の最も人通りの多い商店街は、ひっそりと静まり返っていた。


人が居ないというわけではない。それは、圧倒的脅威に対して本能が反応し、身を隠さざるをえない状況。


狙われているというワケではない。それは、物理的、精神的衝撃から自身を護るが故の行動。


噴水が目立つ大通りの中の中央公園。

大通りを貫く脇には、天高く聳えるビル群が所狭しと並んでいた。


そんな中で――――人気のない大通りに立ち尽くす二つの影。


交わす言葉が無い代わりに、その視線が交わった、その刹那。


一人の男――――黒い短髪に黒衣を身に纏う姿が目立ち、黒衣を背ではためかせながら、右手を正面に居る男へと向ける。


その瞬間、何の予兆も見せずに、轟、と唸る爆炎が、目の前の男の足元で爆ぜた。


それは超能力か――――そんな目を疑う現象を巻き起こした黒衣の男を嘲笑うかのように、正面の男は、爆炎を軽く避けるように高く跳び上がる。


まるで飛ぶように、みるみる内に地上が遠ざかり、ものの数秒で、高いビルの中腹辺りまで飛び上がったのだが――――


高く跳んだそらから見る地上には、既に黒い姿は消えていた。


黒衣の男とは対照的な白髪を肩まで伸ばし、線の薄い輪郭がよく目立つ、一見優男のような風貌を持つ男は、それでも焦る様子も見せずに息を一つ吐くと―――


その足で、強く宙を蹴る。


無論、そこには何もなく、意味もない行動と見て取れたが――――


まるでそこに確かな『何か』があるように、男の足先はソレを蹴り、そのそらよりも更に上空うえへ飛び上がった。


次の瞬間――――白髪の男が高く跳んだ直後、先程まで男が居たそらが、突如として爆発を巻き起こした。


地を底から揺らすのは地震ではなく、空気を激しく震わせるのは声ではない。


そらを見上げると8割が占める煙の視界。それが根本的原因で――――だが、しかし。


白髪の男はそれがどうした? と聞きたそうな顔で、誰もが気付かぬ内に、黒衣の男の背後へと回っていた。


黒衣の男は小さなため息を付いたまま――――その背後に、自身をも巻き込んでしまうほどの巨大な爆発を生み出す。


辺りの些細な音を簡単に掻き消す爆発は、白髪の男もそれが予想外だったのか――――その顔に表情を作るのも忘れ、逃げるという行動に至る思考を持つ前に、その強大で巨大な爆発に、黒衣の男もろとも飲み込まれていった――――

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