ちょっとやる気が出てきたよ
「はーい皆さーん!早速ですが、担当から渡された指輪とスマホはお持ちですかあ。これからするゲームはそれが必須ですのでご注意ください!」
ブロンド女が公園内にいる参加者達に注意喚起をする。
ポケットの中にあるスマホと指にはめたままの指輪を確認する。
寝起きで家を出てきたから一瞬ドキッとしたがきちんと持ってきていた。
「それでは、皆さんに参加していただくゲームに名前を発表します!その名もリングリンクス!
これから皆さんには指輪の争奪戦をしていただきます!」
指輪の争奪ってどうやって奪えばいいのだろう。
ポーカーとか麻雀とかで賭けるとかか。
「ちなみに指輪を奪う方法の手段は何でもありです。交渉、売買、暴力とどうぞご自由に」
無法地帯であった。
こちらとただの高校生だ。
資金もなければ、交渉力など皆無だ。
どうすればいいのか考えていると、大柄で坊主頭の男がブロンド女に質問を投げかけた。
「一ついいか?」
「何でしょうか?」
「殺して奪っても構わないって事か?」
またしても公園内にどよめきが広がる。
「ええ、勿論。先ほども言った通り、手段は問いません。無論、相手参加者を殺害した場合は事故処理とさせていただきますので、罪にも問われません」
平然と、なんの躊躇もなく自己処理と言い放つ女に僅かながら恐怖を抱いた。
「今回集まっていただいたのは参加表明のためだけなので、あと何か質問があれば個別にスマホを使って我々にご連絡ください!」
スマホのアドレス帳を確認すると四木の名前だけがそこにはあった。
「では次の0時から争奪戦を開始とします。早とちりしてそれより前に指輪の受け渡しだったり、暴力で奪ったりするとその時点で失格、デットエンドとなりますのでご注意くださいね?ああ、それと争奪戦の終了はこちらのスマホにご連絡させていただきます。時間経過で終了するのか、規定数指輪を集めれば終了するのかは、ご自分で考えてみてくださいね?」
思い出すようにして告げたそれは中々にシビアなものだった。
いつ終わるか分からない状況は精神的にかなりきつい。
「では解散でーす!ゲーム開始まで各々ご自由にー!」
公園にあれだけいた人間があっという間にはけていく。
「どうだい?少しは乗り気になったかい?」
「四木さん、正直状況にはついてけてない感じはあるけど、ちょっとやる気が出てきたよ」
「それを聞けてよかったよ。誘ってみた甲斐がある。また後でスマホに連絡するよ。注意事項教えないといけないし」
四木はそう言い残してその場を去って言った。
自分も帰ろうと思い公園を出ると、一番最初に質問を投げかけていた少女と目が合った。
背中まで届くであろう長い黒髪が風に舞い綺麗な線を描いている。
歳は同じくらいだろうか。
しかしこの少女どこかでみた事がある気がする。
いや、前世であったとか一目惚れだとかそういう話ではなく、下心なく本心で。
声をかけようか迷ったが、彼女はそっぽを向いてどこかへ言ってしまった。
「いや、気のせいか」
とりあえず、リングリンクスの開始の前に明日、すでに今日なのだが学校も普通にある。
帰って寝よう。
こんばんは。
次回更新は土日までには必ずしますのでしばしお待ちを。
(グラマスを先に更新します)