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Cage  作者: 内田智明
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三話

現在俺達は旧校舎の中にいる。

校舎の中は埃が積もってる為か、古い建物なのに懐かしい気持ちが少しも沸き上がらない。

そんな中、俺を含む生徒全員は入口前の廊下で立ち往生してる。


「なぁ、これシャッターしまってるぜ」

「…鍵かかってんね」

「うーん…どうしましょうか」


俺達の前には錆だらけのシャッターがある。

察するにその向こう側には二階へと続く階段があるだろう。


「しゃーねぇ、一階だけにするか」


そう言った先頭の男は仲間数人を引き連れて空いてるかもしれない教室へと向かう。


「うーん、じゃあここからは自由行動かな?」


先頭の男達の様に他の生徒達もそれぞれ勝手に動く。

中にはまるで当然の様に男女ペアで行動する者もいる…ケッ。


ーーー

ーー


俺は連中から離れて一人で職員室へと向かった。

一人になったのは別にハブられたからではなくただ鍵を捜す為だ。

あのシャッターを開ける為の鍵も多分職員室か用務員室のどちらかにある筈だからな。


「…ここだな」


職員室に到着した。

引き戸の横にある木札も職員室と書いてあるので間違いないだろう。

引き戸を開けて入る。

職員室の中は特に普通だった。

どこも埃が積もっているが机と椅子がきちんとしているので以外と落ち着いている。

窓から夕日が差し込み、思わずノスタルジーに浸ってしまう。


「へー、中々いい雰囲気ね」

「うわっ!」

「ひゃっ!」


いきなり後ろから声がしたもので思わずビクッとする。

振り向くとそこには茶木さんがいた。

俺が声を上げたせい彼女もビックリした様だ。


「な、なんだあんたか…」

「あ、あははは…」

「えっと…何で茶木さんがここに?」

「あー古田君が一人でここに向かったらそれが気になっちゃて…」


まぁ、他の奴らは教室を見に行ったのに対し俺はその反対方向に向かったからな。

一人だけ違う行動をしたからそれが気になったのか。

あれ、俺の行動って何気に不審者っぽくないか?


「あー…あれだ、入口前のシャッターがあるだろ?あれの鍵ってもしかしたらここか用務員室にあるかなと思って」

「ふーん、それで見つかったの?まだなら私も手伝うけど…」

「いや、これから探すんだけど…」

「そっか…じゃあ私は隣の用務員室を調べるね、その方が早いから」

「え、いいのか?」

「うん」


茶木さんはそれだけ言って職員室を後にする。

うーん、相変わらずいい子だ。

前から頼りになる奴なんだけどきっと卒業後もあの調子なんだろうな。

さて、とりあえず俺も探すか。

ここまで来たらせっかくだし、二階も見てみたいしな。

…二階、か。

ふと、俺は外での事を思い出す。

窓から見たあの謎の人影。

いや、多分錯覚何だろうけどどうにも気になる。

気になるから確かめたい。

これをハッキリさせないと今夜は眠れそうにないからな。


ーーー

ーー


どれだけ探しても鍵が見当たらない。


「…おかしいな」


いくら廃坑寸前の旧校舎だからって普通は用務員さんとかが掃除しに来るから鍵は置いてある筈なんだ。

用務員さんが鍵を持ち帰ったとも考えにくいし。

…うん?

あれ、でも掃除しに来てるならここが埃だらけってのもおかしい気がする。

…試しに机に触れてみる。

机の埃が厚い。

一週間とか一月で溜まる様な厚さじゃないなこれ。

いや、そもそも入口が普通に空いてたなんておかしくないか?

何で空いてたんだ。

普通は鍵が閉まってる筈だろう。

なのに入口は空いてた。

…まさか誰かが鍵を持ってる?

いや、肝試しするから事前に準備してたら何もおかしくない…か?

だとしたら…誰が持ってるんだ?

持ってるならあのシャッターもとっくに空いてる筈。

…引っかかる。

何かがおかしい。

ふと考え事をしてると俺の目がそれに止まる。


「何だこれ」


それは小さな金属で出来た漆黒の鳥籠だった。

さっき探し物をしてた時にそれはなかった様な気がする。

…とりあえず手に取ってみる。


「なにこれちっさ」


鳥を飼う為の籠にしてはその大きさは余りにも小型すぎる。

ちょうど手のひらサイズだ。

これじゃあ小鳥が入れても窮屈なだけだろう。


「…ん?」


少し薄暗くなってきたから分らなかったけど鳥籠の中央には黒く光る多面体の宝石がある。

宝石とかは詳しくないがその宝石が出す輝きに思わず見とれてしまう。

そして…。


―――バン!!!


…大きな金属音だった。

それは金属が何らかの理由では破裂した様なそんな音だった。

その音の出処は多分入口前の廊下。

そしてその音を出せる物体といえば…。

シャッターしかない。

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