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溺愛。または囲い込みーー静留

ちょっと短いですがしぃちゃん視点二話目です。ちなみに次もしぃちゃんです。さあ、みなさま。ブラックコーヒーの準備はよろしいですか(笑)

 あれから病院に母が迎えに来てくれたので、看護師さんに言付けて真桜を連れて帰ってきた。

 あのあわあわしてた小堺父が、真桜の面倒を見れるとは思えない、というのが母との一致した見解だったからだ。


「遠慮しなくていいのよー! 疲れたでしょ?」


 母は真桜が気に入ったらしい。妹の瑠花(るか)と一緒にお風呂に放り込むと、嬉々として世話を焼き始めた。

 おろおろとしてる間に母に丸め込まれて流されてる真桜が可愛い。


 ……マジか。いやマジだ。真桜は可愛い。あの涙目でおろおろしてるとことか、キラキラとした瞳で本読んでるとことか、ほやんと笑うとことか…………どうしよう、もう真桜がなにしても可愛いとしか思えない。


 ………………………………よし。とりあえず真桜は嫁にもらうとして、学生結婚もいいけど、さすがに大学卒業しないと就職キツいだろうし、真桜に楽させられないのは困るから、高校卒業で婚約。二十歳で入籍だな。式は挙げたいから貯金しないと。


「静留、どこで寝る?」

「どうせ瑠花が一緒に寝るとか騒ぐんだろうから、広いとこがいいんじゃない」

「じゃあ母も一緒に寝よーっと」

「なんでだよ」

「えー、静留一応男の子だし? でも真桜ちゃんと寝たいでしょ」

「一応じゃなく男だけど」

「きっと与一君も一緒に寝たいって言うもん」

「その父はどうした」

「小堺父のフォローしたら帰るって。研究途中らしいわ」


 大丈夫か小堺父、そしてとばっちりうちの父。


 その日は真桜を真ん中に川の字で寝た。

 早々に真桜と瑠花が眠り、俺達は真桜の寝顔を眺めていた。


「可愛いわねー」

「可愛いねー」


「やらないぞ」


「あら、娘になるならそれでいいわよ?」

「可愛いお嫁さん、いいねー」


「しばらくは別居だ」


「ラブラブね!」

「ラブラブだね」


 うるさいぞ、バカップル。


「なんでもいいのよ。静留が大切にしたいと思った子なら、私達も大切にするわ。それが真桜ちゃんなら、なお嬉しいのよ」

「………………」

「全てに無関心だからね、静留は。君が頑張って周りに馴染んでるのは知ってるよ。だから、同じような感性の真桜ちゃんとならわかりあえるのかもしれないだろう?」


 ……本当に、この親は。ここまで考えてくれてたのか。普段は騒がしいバカップルのくせに。


「親だからね!」

「愛だよねー」


 ……寝よう、うん。


 バカップルには叶わない。それが自分の親ならなおさらだ。しかし、仲の良い両親でよかったとは思う。言わないが、絶対本人達には言わないが、理想の夫婦の一組ではあるから。




 それから、真桜とはほぼ毎日一緒にいる。朝の登校から授業中も休み時間もお昼も放課後も下校も、帰ってから寝るまで一緒。真桜鈍感スキルで総スルー。俺役得。なにがって? 真桜独り占め。今じゃ小堺父より真桜に近い。これを役得と言わずになんとする。

 登下校に手をつないで周りを牽制することも忘れない。大抵はすぐに諦める。厄介な奴は今のところいないのが救いだな。


 初めて一緒に登校した朝、そういえば城田が騒いでいた。気を使って少し不安そうに俺を見上げる真桜に、なにこの可愛い生き物! もう堕ちてるのにこれ以上堕とすわけ!? と悶えたのは内緒だ。


 ちなみに、城田はどうでもいい。向こうは友達だと思ってるみたいだが、ほんとどうでもいい。しいて言うならウザイ。真桜になにか迷惑かけたらひっそりと抹消してやろうと思うくらいに。


 早く鎌田が調教してくれないものかと、最近本気で願う寸前だ。


 後、さらに言うなら、真桜以外はどうでもいい。城田ほどではないが、転校前の真桜がされたようなことをしようとする(やから)がいれば、社会的に抹殺してやろうと思っている。


 俺の完璧な囲いの中、鎌田という友達と少しずつ友好を深める真桜。鎌田ならハイエナのような女子共もあしらえるだろうし、真桜のフォローには最適な人物だ。



 そうして5年に進級して、同じクラスに安堵したのもつかの間。あの女に遭遇した。

 あの女なら、まだ城田の方がましだと思うくらいに、やかましくて我が儘な女。俺の事が好きだと公言し、周りの女子を排除したり、高飛車な態度で俺に迫る女。俺は上から目線で他人をバカにする奴は嫌いだ。


 正直、父の会社の社長の娘とかじゃなかったら、速攻で闇に葬っていた。我慢した俺はマジで偉いと思う。


 あの女の好き好きアピールは気持ち悪いのだ。ぞわっとする。触られたくない、甲高い声で話しかけられるのも不快でしかない。当然ながら逃げる。なんで相思相愛だと思えるのか、その思考回路が謎。


 どれだけ興味ないと、好きじゃないと伝えようと通じない女は、嫉妬なのか焦ったのか、真桜をロックオンした。最もやってはいけない悪手をとったな。

 もちろん、正攻法で叩きのめした。大人を巻き込むしかなかったのはまだまだ子供な証拠だ。


 まあ、それ以来真桜に嫌がらせをしようとするバカがいなくなったのでよしとしよう。


 ああ、真桜は知らないが、俺達の父の会社の社長は、離婚後一発奮起して幼馴染みの女性に告白、かなり年下だったその女性に逆プロポーズされて入籍。翌年には長男、二年後に長女が産まれて幸せな生活をしている。まだまだ子供は増える予定だそうだ。いいんじゃないか、子沢山。少なくても3人は欲しいよな。


 なぜ真桜は知らないのかって? あいつがこの話に興味があると思うか? あの女のことだって、おそらく箇条書きに語るくらいしか記憶には残ってないだろう。いや、残ってるのか? 多分とかだろうとかおそらくとかでしか語れないかもしれないな。



 そんな感じで小学校生活は過ぎていく。


 イベント的な運動会とか修学旅行とか学習発表会とかは、周りからリア充爆発四散しろ! とか散々な言われようだったとだけ言っておこう。


 俺が真桜を愛でるのに場所もイベントも関係ないからな。



ちなみに桜月は某ほろってよう缶アルコール片手に書いてました(笑)なにこの男、やってられんわ!

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