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夜は短し歩けよ乙女

シナリオやら小説やらよく分からない文章です。

頭の中のイメージをしっかりと確認するためのメモ書きのようにも思えます。

とりあえず実験的に投稿してみますので、読んでくれると嬉しいです。

コメントお待ちしております!

「お嬢様、ソフィアお嬢様」

声が聞こえた。若い女性の声。聞きなれた、雇いの使用人の声だった。

意識はまだ朦朧としていて、目の前の景色はぼやけている。

使用人「朝のお支度の時間です」


目を擦り、覚束ない足取りでベッドから降りた少女の名前はソフィア・ローレンス。

銀髪の髪を肩まで伸ばし、日焼けしたように黒い肌とワインレッドの瞳は母親譲りのものだ。二重の瞼の目尻は鋭く、幼い顔立ちの中に強い意志を感じさせる。

彼女はついこの間11才の誕生日を迎えたばかりだった。


ソフィアは学校に通うことはなかった。お抱えの家庭教師がついているからだ。

彼女の家は代々富裕層に位置する家柄で、それゆえに彼女は家の外に出る機会はあまり無かった。

買い物は使用人たちがしてくれるし、病気の際には訪問医師が来る。何処へ出掛けるのも移動手段は車だった。

彼女はどちらかというと活発な方だった。大人しく座っているよりも、体を動かしている方が好きだった。だから彼女は幼い頃から大人しくするように言いつけられ育ってきた。

車から外を覗き、笑いながら走り回っている同年代の子供たちを見ているといつも羨ましく思った。


*******************


放課後を報せるベルの音が響き渡る。

ソフィアはカバンを下げ校門の前に立っていた。

ローレンス家から送られる迎えの車を待っているのだ。

程なくして漆黒の黒い車が彼女の前で停まった。

慣れた手つきでドアを開け、ヒラリと車内に乗り込む。

運転手の「今日はどんな1日でしたか?」という問いかけにも、「いつも通りです」と素っ気なくかわす。

ルームミラーに映る彼女は、いつも通り窓の外の景色をぼっーと眺めていた。


今夜はローレンス邸でパーティーが開かれる予定だ。

彼女はこういった催事は嫌いだった。

髪型から爪先まで窮屈に整えられ、言葉遣いにも気を付ける。

お決まりの挨拶から始まり、何の引っ掛かりもなく終わる会話。退屈で仕方がない。

決して深くは関わらない、上っ面の関係。

どれだけ顔を合わせてもそれは変わらない。

来る日も来る日も、「オトナたちのルール」に染まってない仲間たちを待ちわびていた。

けれど一度として出会うことは無かった。

(どうせやっぱり…)

いつもそう思っていた。心の底からの人間関係なんて、本の中でしか見たことがなかった。

言いつけ。礼儀作法。

周りの子供たちは大人しくそれに従い、何も疑うことはないようだ。

疎外感。だが、あんな分厚い仮面舞踏会の中に埋もれるなるくらいなら独りの方がよっぽどマシだった…。


*******************


パーティーが始まり、グラスがぶつかる音があちこちで聞こえる。

熱気がこもり、ドレスの体を締め付ける部分がうっとおしくて仕方がない。

お決まりの挨拶とおしゃべを一通り終えた彼女は、バルコニーへと続くガラスの扉を開く。

風が冷たく涼しい。

今日も星は天高く昇り、人知れず瞬いている。

手すりに近づき、組んだ腕を乗せてそこに顎を乗せる。

溜息を一つ。それから鼻で息を吸う。

冷たい空気が鼻を通る。

静まり返った外の空気は、真昼とは違い澄み切っている。

これが夜の匂いだ。

(これが私の宝物)

それは彼女が唯一誰からも奪われない大切な持ち物だった。

彼女だけの。

(どうして皆外に出ないんだろう?星がこんなに綺麗なのに…)

空を見上げながらそう思った。

彼女には不思議だった。

外に出れば誰も天を仰ぎ見ない。特に大人たちは。

手すりの隙間にしゃがみ込んで、下を見下ろす。

眼下に広がる町並みを。

彼女の邸宅は丘の上に建っているが、「丘の上」と言えば大概富豪の家が集まっていた。

麓より下は、中流から貧困層までのたくさんの家々が密集している。

彼女は家から少し離れたところに、誰も寄り付かない小さな公園があるのを知っていた。

公園と言っても、砂場とベンチ、それに木が数本生えているだけの空間だった。

名前は知らない。学校帰りの車越しにしか見たことがなかったから。

そしてどのベンチも、いつ見たって空席だった。

風が吹いて、夜の匂いが鼻先を通る。

「匂い」に誘われたせいか、大胆なアイディアが突然閃いた。

ソフィアは思い切ってパーティーを抜け出すことにした。


《作者より(ユート)》

このソフィア・ローレンスが主人公である「チョコレートと散弾銃」(略してV&S)は、2部構成作品の内の後編、前日譚のようなものです。

前編のタイトルは「ローリーポップと機関銃」(略してL&M)こちらを一応本編としています。

ソフィアは今後L&Mにおいて、主人公である女の子(雨森柚貴)を導く存在として序盤から登場します。

雨森柚貴を取り巻くL&Mの物語は、ソフィア・ローレンスが過ごしてきた人生があったからこそ生まれたものです(構想としても先にV&Sから始まりました)

だからこそ、このV&Sから先に投稿した次第です(他にも理由はありますが)

ちなみにこのL&MとV&Sは、ネット小説に留まらず結構デカイこと考えています。

まだまだ調べる事も多く、本編と前日譚を合わせた大まかなあらすじさえ出来上がっていないですが、読んで頂けたら幸いです。


ジャンルとしては「SF×少女×ガンアクション」

キーワードは「ベーシックインカム」「道州制」「少欲知足」「ロボット化社会」etc…。

近い将来起こるであろう未来や、今現在の社会構造が物語全体に貫かれています。

【作品】というものを【極めて政治的な一手段】へと押し上げるための第一歩です。

長くなりましたが、どうぞお楽しみください。

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