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14.キメラとの戦い 其の弐

 俺たちは32階のキメラと魔女より撤退し、ひとまずその下の階の31階に降りていた。

 そこのテナント募集中な殺風景な部屋をぐるりと回っていた。

「うぅううう! 先輩! あんな珍妙で珍名なカイブツ、どうやったらいいんですかぁ!」

「うーん」

「って聞いてるんですか先輩! うーうー唸ってないで何とかしてくださいよ!」

 俺は部屋の壁際に並べられた10の鉛の像へ目を向けていた。

 その10の像はおのおのがなにか事象的で抽象的なモニュメントとなっている。

 これらの像は、どうも魔法の10の属性を表しているようだ。

「ユーカ、さっきのテラスさんの講義で魔法の十の属性について聞いていると思うだろう」

「え、えーと十の属性って……」

「魔法の十大属性デカコロルとは、火炎フランメ水流ヴァッサー雷電ドンナー疾風ヴィント大地エールデ氷寒アイス光輝リヒト暗黒フィンスターニス生命レーベン……あと死屍トート、という十の魔法の属性のことだ。このどれにも属さない無色ニヒツというのもあるが、そこにある鉛像のモニュメントは、その十の属性のイメージを抽象的に形作ったものみたいだな」

「えーと」

 目の前に等間隔で並ぶ十の鉛像。一番左端の火炎フランメの像は炎の揺らめくイメージで、雷電ドンナー稲光いなびかりのイメージ。疾風ヴィントは風で、大地エールデは岩のイメージ……という感じでモニュメントが形作られていた。

「ああー。十の属性って、RPGの魔法の属性みたいなものなんですねぇ。いわゆる水は炎に強くて雷は水に強くて……って感じの話ですか」

「そうだ。もしかしたら、この属性というものを分かっていれば魔女たちと渡り合えるかもしれない」

「おお! じゃああのキメラも属性を考えて戦えば楽勝というわけですか」

「いや、あのキメラに対しては属性を考えて戦わないぞ」

「え? じゃ、じゃあなんで先輩はおもむろに属性の話なんか始めたんですか……」

「属性じゃなくて、今回はこの属性のモニュメントの鉛像を使うんだ」

「えっ? この像を? ま、まさーか先輩、この鉛像の角で頭を叩いてやろうとかそんなこと思っていらっしゃるんですか!」

「さすがにそんなことは考えちゃいないさ。ただ、おまえにはやってもらいたいことがある」

「うーん、先輩の頼みごとって、たまーにとんでもないことだったりしますからねぇー」

「いいからユーカ、俺の言うとおり働いてくれ。とりあえず、そこにある髑髏マークの死屍トートの属性のモニュメントを持ち上げてくれないか」

「これですか? なんだかよくわかりませんが、先輩命令なら従いますよ! とりゃぁ!」

 ユーカが髑髏マーク型の鉛像を両手で掲げるように持ち上げる。かなりの重さがあるだろうが、ユーカにとっては食器を持ち上げるくらいたやすいことだろう。

 そのまま鉛像を持ち上げたまま階段を上っていく。そして、あの名前だけがかわいい『マカロン』ちゃんの元へと向かうのであった。

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