表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

最終章 再見! 北京

1


明けて翌朝はどんよりとした曇り空……、三人は九時にホテルで軽めの朝食を済ませた。

「飛行機の時間までには、まだ間があるな」

施川は時計を見ながら言った。

「出発は何時だっけ?」

「午後三時。つうことは一時ごろ、空港へ着けばいいだろう。ここから北京空港まで一時間ぐらいだから、……わしらは十二時に出発すればいいや。峪口は?」

「俺は二時半発だ」

「そうか。峪口は国内便だからナ。じゃあ、同じころに空港へ行けばいいんじゃない」

「最初から、あんたらの便に合わせたの。放し飼いにできねぇからナ。王莉さんも日本の恥って、言っていただろう」

「日本の恥、そんなことゆってねぇよ」

「ゆってたべよぉ、エロハゲって」

「おまえだろうが、ゆったのは。置いてくぞ」

「まだ、三時間ぐらいあるな。さて、どうするか?」

「天安門広場へ、もう一度行ってみたいな」

「あんれ、マッサージじゃねぇのかぁ」

「やっぱり置いていく」

峪口は施川の希望を受け入れることにして、フロントでチェックアウトを済ませた。

「二人とも忘れ物はないな?」

「わしはこれだけ、これだけだもの」

と言って、施川は鞄を差し上げた。

「俺ぁも……」

同じように邑中も鞄を掲げた。

峪口たちは天安門広場まで向かう途中で脇道に逸れ、北京市民の生活臭のする住宅街を探索しながら、北京との別れを惜しむように、ゆっくりと二時間ほどかけて広場へ到着した。

相変わらず広場は観光客で溢れかえっている。

三人は一時間ほど広場で過ごし、屋台で昼食替わりにホッカホカの肉マンと野菜マンを購入した。

「さて、そろそろ空港へ向かうか」

時刻は十二時、ちょうどいい時間だ。

その日の北京の空には、今にも泣き出しそうな黒雲が立ちこめていた。

「北京もわしらとの別れが辛いンだろうなぁ」

施川がポツリともらすと、

「うんだ」

と邑中が応じた。

「再見! 北京。謝謝! 北京」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ