第七話。
「南奈…ちゃん、じゃ、馴れ馴れしいか。…海原さん」
私は、少しがっかりした。
…名前で、呼んで欲しかったな…。
「風邪。ひいてるのに、雨に打たれたんだって?」
彼の瞳が、少し厳しくなった。
…え。
「お陰で、肺炎にまで拗らせてるよ。長期入院の、一歩手前だって」
今度は、泣きそうな顔になって、言った。
…え。
「死んじゃうかと思った……」
彼は、泣き出して私に抱きついた。
…ええ!?
「…わっ。ちょっ。……大丈夫ですか?」
返事が無く、泣いたままだった。
私は、手を彼の背中に回した。
「……ごめんなさい。其所まで、心配してくれていたのですね」
此所まで、赤の他人が心配してくれたのは、初めてだった。
けど、何だか、違和感が無くて、抱きしめ返した。
頭を撫でて、髪の毛に顔を埋めた。
シャンプーの匂いが、心地よかった。
「心配させて、ごめんなさい」
名前も知らない人なのに、繋がりができた。
私は、この人を好きになる。
直感だった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
俺は、一目惚れをしていた。
気付いたら、抱きしめていた。
南奈のことが、好きになっていた。
……キスまでしたくなった。
「ゴメン、急に……」
「いえ。別に良いです。此所まで心配されたのは、初めてでしたから」
南奈は、首を傾げてニッコリと微笑んだ。
可愛くて、可愛くて。
本能を理性で押しつけた。
「あっ、そうです。お名前、聞いていませんが……」
…すみません、ボロボロですね。
次回は早めに投稿です!
これからも宜しくです。