第四話。
暫く、二人だけだと思います。
名前も、徐々(じょじょ)に分かってきます。
じっくり見て居なかった、この子の顔。
ショートの髪が、似合っている。
頬は、柔らかそうに、プックリしている。
林檎色に染まって、余計に……可愛い。
真ん丸い瞳。きっと、目を開けると、そうなのだろう。
前髪を結んで、横に垂らしている。
ゴムに、ピンクと赤のハートが付いている。
…似合っている
服も、チェックのワンピースで、黒とピンクだ。
……デートだったんだろうか
そんな事を、考えてしまう。
知らない内に、この子の彼を想像して、嫉妬している。
ブンブンッッ
慌てて頭を振って、其の事を追い出す。
「……俺は、バカか」
そう言い乍ら、赤くなる俺。
「あー。ヤベェ。歌の練習、しておかないと」
声に出して、練習し始めた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
私は、ユメ…みたいな物を見ていた。
「……あ、れ?何か、聞こえてくる」
そう呟いて、耳を澄ました。
“僕は そっと 写真を見つめる
埃かぶって
セピア色になって
それでもまだ 笑いかけている”
「……あ」
私は、この声に聞き覚えがあった。
…助けてくれた、声だった。
子供みたいに、声変わりして無い声。
だけど、大人の声。雰囲気が。
気持ち良い、声。もっと、聞いていたい。